健康基礎知識

【素朴な疑問シリーズ】もしかして夜尿症?子どものおねしょの心配事


小学校中学年・高学年でも、おねしょをするとき「夜尿症」を疑われることがあります。夜尿症は子どもの甘えや親の躾が原因ではなく、しっかりとした治療が必要な病気と判断されるが場合あります。「小学生になってもおねしょをするけど、自然によくなるの?」と悩む保護者も少なくないでしょう。この記事では、なかなか周囲に聞きづらい、夜尿症の原因や病院での治療などをお伝えします。
おねしょをするのは何歳まで?親も気になる夜尿症

夜尿症は「5歳以上で1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3か月以上つづくもの」と定義されます。つまり、幼児のおねしょは夜尿症にはあてはまらず、そのほとんどが徐々に自然消失していくのです。

一方気になるのは、小学生に上がっても続く、おねしょの症状です。『夜尿症診療ガイドライン2021』によると、7歳における夜尿症の割合は10%と推定されています。8歳で7%、10歳で5%。11歳から14歳までは、2~3%です。つまり、小学校高学年の30人クラスであれば、1クラスに2~3人程度、おねしょをする子どもがいる計算となります。それらのほとんどは、あまり神経質になる必要はなく自然に治るとされていますが、そのうちの0.5~数%は症状が続き、そのまま成人に移行する場合もあるのが特徴です。
夜尿症が起こるメカニズム

大きくなった子どものおねしょが治らないと、子ども自身もコンプレックスを持ち、親も「自分のせいでは?」と悩むこともあるでしょう。しかし、夜尿症は親の育て方やこどもの意識の問題ではありません。

原因には3つあるといわれています。
①    覚醒する能力の低下
②    膀胱の容量が少ない・勝手に収縮する
③    夜間の多尿 

①は、睡眠中に膀胱がいっぱいになっても、尿意で目をさますことができない覚醒障害です。②は、膀胱の容量が小さく、またはある程度膀胱に尿が溜まると膀胱が勝手に収縮してしまうなど、睡眠中の膀胱の働きが未熟で、尿を溜める量が少ないことが考えられます。③は、夜間に作られる尿量が多いことを指します。

これら3つの原因のいくつかが重なることで夜尿症になると考えられています。また、便秘が隠れた原因のこともあるとか。便がたまると膀胱が押され、尿を溜められる量が減ってしまうのです。
疾患が見つかることも!?気になったらまず病院へ

治療の基本は、生活習慣の改善です。生活習慣を改善するだけで、約2~3割の子どものおねしょがなくなるといわれています。まずは、早寝早起きといった心身が整う生活を心がけ、夕食後から寝るまでの間の飲水量をできる限り減らしましょう。コップ一杯分200ml以下が目安です。そして、寝る前に必ずトイレに行くことを習慣化させましょう。おねしょをしないようにと、寝ている子どもを無理矢理起こしてトイレに連れていくのは逆効果です。睡眠リズムを崩せば、尿の量の調節や膀胱の働きが悪くなったり、寝ている時間に尿をする習慣がついてしまう可能性もあります。

生活習慣を見直すだけで効果が見えない場合には、薬による治療や夜尿アラームといった装置を用いた治療が行われます。夜尿アラームとは、おねしょをすると下着や専用パッドに装着したセンサーが動き、アラームが鳴ったり、バイブレーションするなどして起こしてくれるアイテムです。そこで自分で起きる、または保護者が起こしてトイレに連れて行くというサイクルを重ねると、徐々に膀胱容量が増えるとされています。

しかし、気を付けなければならないのは、単なる夜尿症でなく疾患がある場合です。夜尿症の子どもの5%弱には、泌尿器科的疾患、内分泌疾患、脊髄疾患や精神疾患が見つかることがあります。そういった疾患を見逃さないためにも、まずは最寄りの病院へかかりましょう。最初の受診で、先述した疾患による夜尿症でないか慎重に診察されます。
おねしょをしても子どもを怒らず寄り添って

小学生になってもおねしょが続いていると、お子さん自身が自分を恥ずかしいと感じます。誰もが好きでおねしょをしているわけではありません。本人の性格が弱い、言うことを聞いていないから、親の育て方が悪いからとマイナスに考える必要はありません。ひとつだけ心がけるのは、おねしょをしても決して怒らないこと。「もう大きいのに、まだおねしょしているの!」と、怒ったり責めたりすれば、子どもの自尊心は低下するばかりです。家族の理解あるサポートがあれば、子どももおねしょを治そうとやる気になります。「起こさない」、「怒らない」、「焦らない」、この3つを軸に、じっくりと子どもに寄り添う姿勢が大切です。
<引用元>
・おねしょ・おもらしについて~『夜尿症診療ガイドライン2021』の紹介を中心に~
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjschhealth/64/2/64_104/_pdf
・おねしょ卒業!プロジェクト
https://onesho.com/educate/
・日本泌尿器学会/『おねしょ』(夜尿症)が治らない
https://www.urol.or.jp/public/symptom/09.html

 

【素朴な疑問シリーズ】ただいま流行中!マイコプラズマ肺炎とは??


昨今、流行中のマイコプラズマ肺炎。主に子どもが感染しやすい感染症のひとつと言われています。感染するとどのような症状が現れるのでしょうか?学校の登校停止期間はいつまで?そんな、マイコプラズマ肺炎について気になる&気を付けたいポイントをお伝えします。
マイコプラズマ肺炎はどんな病気?
マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することによって起こる感染症です。大人が感染する報告もありますが、罹患した人のうち14歳以下が80%を占めており、特に子どもが注意すべき病気だといえます。感染経路は、飛沫感染と接触感染によるものが多く、友達との接触が多い学校、そして家庭内での感染が多くみられます。潜伏期は通常2~3週間で、いつ感染したか明確に特定できないのも特徴といえます。

グラフが示すとおり、2024年度のマイコプラズマ感染者数は、大幅に増加しています。日本では従来4年周期で流行を繰り返してきましたが、近年この傾向は崩れつつあり、1年中見られる感染症です。特に、秋から冬にかけて患者数が増える傾向があります。
風邪と間違えやすい?!辛い咳が特徴のマイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎はしつこい咳が特徴です。初期は、発熱や倦怠感、頭痛、のどの痛みなど、一般的な風邪に似た症状が出ますが、それらが治まった頃に、徐々に乾いた咳が強くなり、3~4週間と長く続きます。

咳以外では、鼻炎、咽喉痛、耳の痛み、下痢など消化器系の症状、胸の痛みなどもみられますが、あまり多くはありません。

多くの人はマイコプラズマ肺炎に感染しても気管支炎で済みますが、一部では重症化し肺炎を起こす場合もあり、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎などの合併症を引き起こす可能性があります。一般的に、大人より子どもの方が軽く済むと言われており、怖がりすぎることはありませんが、すみやかに病院へかかりましょう。

また、子どもが感染した際、看病をする家族も感染しないように気をつけましょう。症状は大人も子どももさほど変わりませんが、先述したとおり大人が感染した場合、症状が重くなりやすく、特にお年寄りは呼吸不全など重症化する可能性もあります。同居する高齢者がいる場合は注意が必要です。
登校開始は医師の診断がおりてから

マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法で「その他の感染症」第三種に分類されており、出席停止期間は「症状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」とされています。そのため、出席停止期間は明確に定められていません。個々の病状により、医師の診断において「感染のおそれがない」と許可が出てから登校するようにしましょう。
こまめな手洗いでしっかり予防

マイコプラズマ肺炎の感染予防には、風邪やインフルエンザなどと同じく基本的な感染対策が有効です。普段からの手洗いやうがいを心がけましょう。特に、外出先からの帰宅後、石鹸と水でしっかりと手を洗うことが大切です。あわせて、教室などの室内で感染が広がっていると場合や、人混みの中へ出かける際、マスクを着用することで感染リスクが減る可能性もあります。また、感染した場合は、家族間でもタオルの共用は避けましょう。

秋に入り、子どもの病気に特に気を配る季節になってきました。日頃から、子どもの健康状態をしっかりと把握し、感染予防対策を進める視点をもって、親子共々元気に過ごしましょうね!
<引用元>
・厚生労働省 マイコプラズマ肺炎
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mycoplasma.html
・厚生労働省 マイコプラズマ肺炎に関するQ&A 平成23年12月作成、平成24年10月改訂
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou30/index.html
・国立感染症研究所 マイコプラズマ肺炎とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/503-mycoplasma-pneumoniae.html
・広島市グラフでみる感染症(定点把握疾患)マイコプラズマ肺炎
https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/infectious-disease-graph/312.html

 

【素朴な疑問シリーズ】Q.近視にならないための生活の工夫はありますか?


・近視になるとどうなるの?
 

「近視」になると、近くのものははっきり見えますが、遠くのものがぼやけて見えてしまいます。近視には、遺伝と環境の両方が関与します。遺伝要因とは、先祖や両親から受け継いだ遺伝子によって生じるものです。環境要因としては、屋外活動の減少や、近いところを見る作業の増加などが挙げられます。実際はどちらの要因によって生じるかという厳密な判断は難しく、人によって異なる割合で、両者がともに深く関係して近視になります。
・外で過ごす時間を増やしましょう。
 

今の子ども世代は、親世代に比べ明らかに近視が増加し、若年化しています。このような急激な変化は遺伝だけでは説明できず、環境が大きく関与しているという重要な証拠です。
近いところを見る作業以外に、世界共通で認識・信頼されている近視の原因には、「外遊び」の減少があります。日光に当たる外遊びが少ない子供は近視になりやすいことがわかっています。近視の予防には日光にあたり、外で遊ばせることが最も近道かつ確実な方法とされています。
実際いくつかの国では、学校の昼休みや休憩中に外で遊ぶことを義務付け、記録を付けさせているところもあります。近視がある子もない子も、1日2時間は外にいることが有効です。
晴れた日の広場では、たとえ帽子、またはサングラスを使用したとしても、室内に溜まることに比べれば、近視予防に十分な日光を浴びることができます。無理のない範囲で、外での活動を取り入れるようにしましょう。木陰で過ごす場合にもスマホなどを使わずに体を動かして過ごしましょう。
・近いところをみる作業では注意しましょう

近いところを見る作業はたくさんありますが、この作業が増えることで近視になる確率が高まるのは事実です。これまでの研究から、読書や書き物をするときは、少なくとも30cm以上離して作業をすること、30分に1度は遠くを見て連続させないことが、近視予防に効果があることが証明されています。読書や書き物をするときは、十分な明るさを保つ(照明度で200ルクス以上)ようにも気をつけましょう。
また従来から読み書き以外に、近くを見る作業として、手元で使用するスマホやゲーム機、タブレット、ノート型パソコンや、デスクトップ型パソコンなどがあります。最新の研究では、スマホや携帯ゲーム機器などの有害な点が指摘されつつあります。使い過ぎには注意が必要です。近視を重症化させないために、日常生活では生活習慣に配慮し、定期検診による適切な矯正指導や管理を受けるように心がけましょう。
◎出典元:公益社団法人日本眼科医会「気をつけよう!子供の近視」
https://www.gankaikai.or.jp/health/57/index.html)を加工して作成

【素朴な疑問シリーズ】Q.食物アレルギーがあるとどうなりますか?


そもそも、食物アレルギーってなに?
食物アレルギーの定義は「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」です。少し難しいですが、簡単に言うと「本来は体に害を与えない食べ物を異物と勘違いし、免疫反応が過敏に働いてしまう現象」です。その結果、蕁麻疹やかゆみ、咳などが引き起こされます。時にアナフィラキシー(発症後、極めて短い時間のうちに全身性にアレルギー症状が出る反応のこと。血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることもあります。この生命に危険な状態をアナフィラキシーショックといいます。)という重い症状が出ることがあるため注意が必要です。
食物​​アレルギーはどんな症状が出るの?

症状は大きく、皮膚症状、粘膜症状、呼吸器症状、消化器症状、神経症状、循環器症状に分けられます。
 
皮膚症状 蕁麻疹(じんましん)、かゆみ、赤み、むくみ、湿疹
粘膜症状 鼻汁(鼻水)、鼻閉(鼻づまり)、くしゃみ、口周りの違和感
呼吸器症状 咳、喘鳴(呼吸時にぜいぜいと雑音を発すること)、声枯れ、呼吸困難
消化器症状 嘔吐・はき気、下痢、腹痛
神経症状 頭痛、活気の低下、意識障害
循環器症状 血圧低下、不整脈、頻脈(心拍数が増加している状態)
どんな食べ物が原因になるの?

年齢や、国、そして個人によって原因の食べ物は異なります。日本では食物アレルギーの原因の食物として、鶏卵、牛乳、小麦が多く、特に鶏卵が最も多いです。しかし、個人によって原因の食物は異なりますのでしっかりと正しい診断をすることが重要です。
気になる症状が出たら早めの受診を

食物アレルギーの治療には、一般的には抗原食物を完全に除去する方法(完全除去)、摂取しても症状が出ない量まで摂取を可能とする方法(部分除去)などがあります。食物の種類や生活スタイル、年齢、アレルギーの重症度などを考慮し治療法を選択します。症状が出た場合は自己流で解決するのではなく、早めに病院を受診しましょう。
◎国立研究開発法人国立成育医療研究センター「食物アレルギー」​​​​​​
(https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/food_allergy.html)から引用。

放射線撮影。子供が不安そうです。

子どもたちが病気やけがで病院を訪れたときに、その程度や範囲を調べるために大人と同様にレントゲン撮影などの画像診断が行われます。画像診断には単純Ⅹ線撮影(レントゲン撮影)、超音波検査、CT検査、MRI検査、核医学検査、透視検査、血管撮影検査などがあります。※1
お子さんの不安が少しでも和らぐよう、事前に子供でも分かりやすい言葉で説明をして検査を受けましょう。
CT撮影について
①CTは大きなドーナツみたいな形をした体の中の写真をとる機械です。
②ベッドに横になってシートベルトをつけます。体が動くと写真がぶれてしまうので、動かないようにシートベルトで固定します。ベッドから落ちないための安全策でもあります。

③ドーナツのような穴の中を行ったり来たりして体中の写真を撮ったら、あっという間におしまいです。準備には少し時間がかかりますが、実際の撮影はとても短く、数秒で終わります。撮影中にはキィーンという音がしますが、それはドーナツの中をカメラで高速で回転する音です。CT撮影は痛くないし、何も感じません。ただし、造影剤という注射をしながら撮影をすることがあります。※2
MRI撮影について
①MRIは、大きな磁石でできたトンネルのような機械です。ベッドに寝て、トンネルの中に入っていき、体の中のより細かい写真を撮ります。
②ベッドに横になってシートベルトをつけます。体が動くと、写真がぶれてしまうので、動かないようにシートベルトで固定します。体内にペースメーカーや金属がないことが前提です。強い磁石のために壊れてしまうためです。このほか、刺青も鉄分が入っており、熱く感じるので撮影できません。

③耳栓をしたり、ヘッドホンをつけて音楽を聴いたりします。頭にヘルメットのような装置もつけます。撮影している間はゴンゴン、ガンガンと工事現場みたいな大きな音が続きます。それはMRIの強い磁石が装置のコイルを伸ばしたり、縮めたり、振動させるときの音です。
④実際の撮影はCTやレントゲン撮影と違って、かなり長い時間がかかります。MRI撮影は痛くないし何も感じませんが、騒音は苦痛な方がいらっしゃいますし、閉所恐怖症の方は検査に向きません。造影剤という注射をしながら撮影をすることがあります。※2
レントゲン撮影
①レントゲン撮影では、体内のいろんな部位を撮影します。
撮影部位や年齢により、座ったり、寝たり、立ったり、撮り方もさまざまです。レントゲン撮影、X線撮影、単純写真、単純X線撮影と呼び方はいろいろですが、全て同じ意味です。
②鉛のエプロンを着た技師さんが、サポートしてくれます。

③胸のレントゲンでは、技師さんのかけ声に合わせて息を吸ったり止めたりしてください。レントゲン写真はX線をするので、放射線被ばくをします。しかしその量はごくごくわずかなので心配はいりません。※2
※1国立研究開発法人国立成育医療研究センター「こどもの医療被ばくを考えるサイト PIJON」​​​​​​
(https://www.ncchd.go.jp/center/activity/pijon/index.html)から引用。

※2国立研究開発法人国立成育医療研究センター「放射線ってなんだろう?どんなことをするの?」
(https://www.ncchd.go.jp/center/activity/pijon/family/ct_picture.pdf)を加工して作成。
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