#70 アメリカ人! カマボコを学ぶ
今回の行きたがリーノさんは、アメリカ合衆国出身の椎葉レイチェルさん。10代の頃から日本の歴史に興味を持ち、広島大学で翻訳の仕事を経て、2009年に日本人のご主人と結婚しました。現在は夫婦でカフェを営んでいるんです。日本が大好きなレイチェルさん、実は日本の蒲鉾にとっても興味があるんだとか。なんでも紅白で縁起物でもある蒲鉾は、アメリカ人から見るとまるでキャンディーのように甘そうに見えています。それなのに、お魚の味がするからとっても不思議なんだそうです。
というわけで行きたがリーノ号がやってきたのは、広島市西区にある創業100年を超える蒲鉾専門店、坂井屋。その日に瀬戸内海で水揚げされたグチなどの新鮮な白身魚を使い、工業化が進んだ現代でも昔ながらの手作りにこだわって製造されているんです。ここで作られる蒲鉾は地元広島の名物、紅葉をかたどったもみじ天や、アナゴのタレ焼きを丸ごと一匹使った豪快な蒲鉾など、バリエーションも豊富でお土産としても人気を集めています。蒲鉾が初めて日本の文献に登場したのは平安時代の1115年。当時は竹輪のような形だったとされています。その形が蒲の穂と武器の鉾に似ていたことから蒲鉾という名前になり、文献に登場した年にちなみ11月15日は蒲鉾の日に認定されています。昔は上流階級だけの超高級品。あの織田信長が本能寺で食べた最後の晩餐にも蒲鉾が出されていたと伝わっています。そして今では日本を飛び出し海外へ。フランスでは蒲鉾の仲間カニカマが「スリミ」と言う名前で浸透し今や食卓に欠かせない食材になっています。早速、老舗蒲鉾屋さんの四代目に伝統の蒲鉾作りを見せてもらいましたよ!練り包丁と言われる専用の包丁の片面のみを使い、すり身を練る作業とそれを板に盛る作業を高速でこなす四代目。それがわずか9秒という早業なんです!四代目いわく、その作業ができるまでには三年はかかるんだとか。四代目の作業を見学した蒲鉾大好きレイチェルさんも、初めての蒲鉾作りに挑戦!練り作業はとても難しく、思う様に練り包丁も動いてくれません。できあがりは笑ってしまうほどおかしな形に。改めて職人さんの素晴らしさがわかります。続いて、先代の社長が作る日本伝統の「切り出し蒲鉾」と呼ばれる、蒲鉾の中に絵が描かれている日本古来の伝統蒲鉾を作っていただきました!すり身に色をつけ、波や、山、日の出を描いていきます。細かい作業を社長はすごいスピードで仕上げていき、おせち料理などに欠かすことのできない切り出し蒲鉾が完成しました。練り包丁1本だけで見事に作り上げる匠の技は、日本でも数人にしかできないという驚きの伝統技術だそうです。ここまで蒲鉾作りを見学したレイチェルさん、すり身になる魚を選ぶところから蒲鉾を作ってみたいと四代目にお願いし、早速スーパーの魚屋さんへ向かいました。そこで選んだのは高級な天然真鯛と、出世魚ブリの幼魚であるヤズです。しかし蒲鉾とはそもそも白身の魚で作るのが一般的。鯛は白身の魚ですが、ヤズのような赤身の魚でも蒲鉾は作れるんでしょうか!?師匠と一緒に創作蒲鉾を作っていきました。赤身のヤズで作るのは師匠も初めてでしたが、なんとか鯛で作った蒲鉾とヤズの蒲鉾が完成しました!
そしてここで先代の社長さんから、レイチェルさんにサプライズで鯛蒲鉾をプレゼントしてもらいました!色も形も鯛になっているんです。実はレイチェルさん、この日が30歳の誕生日!蒲鉾職人さんからの素敵なバースデイプレゼントです!
蒲鉾大好きレイチェルさんが本日手がけた、オリジナル創作蒲鉾から早速いただいちゃいました。値段にすると高級な鯛の蒲鉾とヤズの蒲鉾。普段口にしている蒲鉾と味や食感も違い、試食も楽しい時間になりました。そしてレイチェルさんのために作ってもらったお祝いの鯛蒲鉾も大きな口でパクリ!レイチェルさん思い出に残る誕生日になりました。