TSS イベントインフォメーション

ヨーロッパ企画第43回公演 『来てけつかるべき新世界』のプロモーションで、
作・演出の上田 誠さんらが来広!

ヨーロッパ企画第43回公演 『来てけつかるべき新世界』のプロモーションで、<br>作・演出の上田 誠さんらが来広!

「ヨーロッパ企画」の第61回岸田國士戯曲賞受賞作品『来てけつかるべき新世界』の再演が決定!
劇作家の上田 誠さんと俳優の石田剛太さんが来広し、再演への熱い思いを語ってくれました。

(2024/07/17)

>>>再演を決意されるまでの経緯を教えてください。

上田:
『来てけつかるべき新世界』の初演は8年前、2016年の作品でして…。大阪・新世界のオッサンのもとへ、ドローン、ロボット、AI、メタバース、シンギュラリティといったテクノロジーによる“新世界"がやって来るお話です。2016年当時の未来予想図で描いた「新世界のオッサンVSテクノロジー」という構図のSF人情喜劇だったのですが、この8年でテクノロジーはめちゃくちゃ進化し、SFだなんて呑気に言ってられない状況になってきました。ファミレスでロボットが普通に料理を運んでくるのを見て、この作品が現実に追い抜かれないうちに…と再演を決意しました。「ヨーロッパ企画」の本公演は、原則として新作をやってきたし、今後も新作をやっていきたいけれど、過去作の中には一度で終わらせるのはもったいない作品もありまして、時々再演をやっています。

石田:
なんといっても、「岸田國士戯曲賞」受賞作ですからね。“ヨーロッパ企画の新たな代表作!"という見出しで紹介してもらいたいです。これまでは「ヨーロッパ企画と言えば、サマータイムマシン・ブルース」という感じだったけれど、今回の再演からは「ヨーロッパ企画と言えば、“来てけつ"」と言ってもらえるように頑張りたいと思っています。

>>>「岸田國士戯曲賞」を受賞されて、変わったこと、“新世界"が開かれたことは?

上田:
「岸田國士戯曲賞」を受賞して、180度変わったことは何もないですね。ただ、自分たちはトリッキーな作品、変わり種、コンセプチュアルな作品づくりを追求してきただけに、「演劇界でどういう位置づけなんだろう?」と気になることも正直あったけれど、この賞をいただいてからは、「この方向で間違っていないよ」と太鼓判をもらった感じがして、自信になりました。「自分たちが今までやってきたことに、もっと拍車をかけても大丈夫なんだ」という感覚になれたというか。良い意味で「演劇って、何でもありなんだ」と自由になれたというか。開放感を感じています。そういう意味で、本当に有難い賞でした。

>>>この作品が生まれるまでの経緯を教えてください。

上田:
この作品の前までは、トリッキーな企画性コメディをずっとやっていたんですが、その揺り戻しで、もう少し物語チックな作品をやってみたいと思い始めまして…。いっそのこと、笑いあり、涙ありのど真ん中、大阪人情喜劇をやってみようかということになり、それとSFテクノロジーを掛け算させたのが、この『来てけつかるべき新世界』なんですね。この作品の前までは、「自分たちは、企画性コメディで行くんだ!」という強い思いで突き進んで来たのだけれど、この作品では物語や登場人物のキャラクターを深掘りするようになって、その両面を活かしたハイブリッドな作品ができたというのが僕の印象です。

石田:
イヤイヤ、ハイブリッドな作品かもしれませんが、演じている側からすると、トリッキーに拍車がかかった芝居だと思いながらやっていましたよ。京都の劇団「ヨーロッパ企画」初の関西弁のお芝居で、しかも上田さんが得意なSFとの組合せですから。「ヨーロッパ企画」の魅力が凝縮された作品。ヘンテコなお芝居ができたもんだと、演じながら楽しかったし、手応えがありました。「ヨーロッパ企画」の代名詞になるような作品だと思いながら演じていました。「岸田國士戯曲賞」を受賞して、演劇界隈ではかなり有名になった作品ですが、巷ではまだまだですからね。今回の再演を機に、世に広まって欲しいですね。

上田:
自分でいま台本を読み返しても、正直、よく書けたなぁという感じ。めちゃくちゃ努力したというよりは、そもそもの土壌がうまくいって、すくすく育ったなという感覚。だから、初演の良さを残したまま、再演します。2024年の近未来予想図をもとに、テクノロジーのアップデートはしたいと思っていますが、ストーリーは変えません。主人公は、串カツ屋の娘マナツで、初演と同じ、藤谷理子さんが演じます。彼女は、初演当時は大学生で客演さんでしたが、8年経った今では劇団メンバーでして。時の流れを感じます。

石田:
僕も8年前はアラフォーでしたが、アラフィフになりました。初演の時と同じ、将棋名人・坂田三吉を崇拝しているオッサンの役ですが、渋さを出せたらと思っています。だけど、今回のツアーは全13都市41公演と、公演回数も増えました。広島も初の2日公演でして、体力的にはオッサンになっている場合ではありません。体力的にはアンチエイジングに努めながら、役づくりとしては円熟味を増し増しにして、頑張りたいですね。

>>>今回の客演さんの配役について教えてください。

上田:
キャストが初演時と変わるのは、主に客演さんのところですね。「ヨーロッパ企画」では珍しい関西弁のお芝居なので、以前からご一緒したいと思っていた板尾創路さんにオファーさせていただきました。僕としては、クリーニング屋のご主人の役を思っていたのですが、板尾さんから「マナツのお父ちゃんの役はどうかな」とご提案いただきまして…。初演では角田貴志がやっていた役ですが、スイッチングすることになりました。

石田:
岡田義徳さんとご一緒できるのも、めちゃくちゃ楽しみですよね。

上田:
そうなんです。岡田義徳さんは、恋する散髪屋の役です。恋する相手がバーチャルリアリティという、可笑しさと儚さが同居するかなりエモーショナルな役どころです。面白いけれどグッと来る、絶妙な役どころなので、ご期待ください。あと、頭にビリケンを載せた歌姫役は、町田マリーさん。誰が一番似合うだろうと考えたら、町田さんでしたね。

石田:
初演の時も、ただただ楽しんで演じていましたが、今回も今から稽古や本番がとても楽しみです。もしかしたら、お客さんよりも楽しみにしているかもしれないぐらいです。

>>>最後に、広島のファンに向けて、メッセージをお願いします。

石田:
広島は、熱烈なファンが待っていてくださるという感じで、我々も本当に楽しみにしているんですよ。本当に嬉しくて、「帰って来たな」という感じ。しかも、今回は、初の2日公演ですからね。昼公演の方は、広島では初のおまけトークショーもあります。東京や大阪では時々やっている試みなのですが、終演後に20分ぐらいお話をさせてもらっているんですね。下手したら、お芝居より笑いが起こるときもある。そこでしか話せない裏話などを披露しています。そういう意味では、平日ですけれども、昼公演がオススメです。是非ご検討くださいませ。

ページトップへ