『が~まるちょば シネマティック・コメディー ~Everybody hates MIME~』のプロモーションで、作・演出・出演のが~まるちょばさんが来広!(2024/11/07)
>>>新作公演では、どんなパフォーマンスを見せていただけるのでしょうか?
今回は、『が~まるちょば シネマティック・コメディー ~Everybody hates MIME~』と題してやります。直訳すると、「みんなパントマイムが大嫌い!」。「パントマイムの舞台に、なぜこんなタイトルを?」と思われるでしょうから、後でご説明します。内容に関しては、パントマイムは見た人各自が想像するものなので、「こうですよ」って言ってしまうと、決めつけになってしまうじゃないですか。だから内容は言いません。お察しください(笑)。でも、他のステージでは見られないものが見られると思います。全部で約2時間ですが、前半はショートスケッチとパフォーマンス、途中休憩を挟んで後半は1時間弱のストーリーものをやります。もちろん最初から最後まで1人だけ、言葉も発しません。全く喋らずに1人だけで舞台をやります。パントマイムを見たことある人も、初めて見る人もどちらも楽しめる、バラエティー豊かな2時間になるはずです。
>>>東京五輪開会式のピクトグラムパフォーマンスが印象的ですが…。
僕のことを知っている方の多くは、SNSに上がっている短いパフォーマンスを行う人と思っていて、それを見るために来られるんですよね。とてもありがたいんですけれど、SNSのそれはパントマイムではなかったりするわけでして。言葉は使っていないのでパントマイムと言えるかもしれないんですけれど、僕のやるストーリーもの(ドラマ)は、心が動いて、最後は涙する人もいたりするわけで…。言葉も舞台セットも使わないけれど、表現としては、いわゆるストレートプレイ、皆さんが知っているお芝居となんら変わりはありません。僕は舞台では喋らないけれど、役者として立っています。言葉がない分、お客さまの想像力をお借りして、ストーリーを紡いでいくのだけれど、難しいセリフが分からない小さなお子さまから早口が聞き取りにくくなってしまったお年寄りまで、年齢に関係なく楽しめるのも大きな特徴かもしれません。パントマイムが好きな人はもちろん、お芝居が好きな人、舞台に足を運ぶ習慣のある人にも、ぜひ見てもらいたいと思っています。
>>>公演タイトルに「ヘイト(嫌う)」という言葉を使った理由を教えてください。
『サタデー・ナイト・ライブ』というアメリカのコメディ番組の中で、今は亡き俳優ロビン・ウィリアムズさんが全身黒のタイツで顔を白く塗って、パントマイミスト役を演じるコントがあったんですね。その中で発せられたのが、今回のサブタイトルになっている「Everybody hates MIME」(みんながパントマイムを嫌っている)というセリフでした。つまらないものの代名詞として、パントマイムが扱われているわけです。でも、実際はそんなことは全くなくて。ないものをあるように見せるのがパントマイムなんだけど、もしもそれがパントマイムなんだとしたら僕も嫌いです。だけど、パントマイムは違う。そうじゃないんですよ。もっと奥が深いし、もっと面白い。僕は顔を白く塗らないし、全身タイツでやらない。もちろん顔を白く塗るのは、何にも染まっていないですよ、どんな人にもなれますよという意味合いでやっているし、全身タイツは衣服も見ている人に想像させるという意味合いです。その理由はわかる。だけど、ロビン・ウィリアムズさんが演じるパントマイムがその全てだとしたら、僕はこれを生業にできていないだろうし、僕も多分パントマイムを嫌いになっている。確かに、世界中を回っていくと、パントマイムがつまらないものの代名詞として扱われることだってある。そう言われるのは、それを生業にしている僕の責任です。僕の責任だけれど、僕のパフォーマンスを見てもらう前に、そう言われるのは違うだろう。まずは、見てくれと。「みんな大嫌いなパントマイムって、果たして本当にそうなのか?」というところのタイトルです。実際に見ていただければ、本当にヘイトなのかどうかわかるはずです。
>>>「パントマイム=ヘイト」という感覚は、普段感じていらっしゃるのでしょうか?
僕がパントマイムを始めたのは33年前ですが、その当時からずっと感じているのは、「パントマイム=ヘイト」という感覚よりむしろ、「パントマイム=認知されていない」という感覚です。「ヘイト」はキツイ言葉かもしれませんが、好きも嫌いもない状況、眼中にないと言われる方がもっとキツイわけです。どんなステージでも、実際に見てもらって、合う、合わないはあると思うんです。「落語を聞きに寄席に行ったけれど寝ちゃった」とか、「歌舞伎を見ても面白さが分からなかった」とか、「バレエを見ても何をやっているのか分からない」とか。パントマイムもその一つで、嫌いなら嫌いでもいいんです。それは僕の責任になるかもしれないけれど、眼中にない状況から一歩前へ行ける。本当にパントマイムが嫌いなのかどうかをお客さんに問いたいし、パントマイムを好きになる人も絶対いるから、そういう人に見てもらいたいわけなんです。
>>>パントマイムが初めての方に楽しんでもらうために意識していることは?
例えば、こうして「このコーラ、美味しいね」って言ったら、これはコーラになってしまう。だけど、言葉を発せずにやったら、何の飲み物か分からない。見る人それぞれが、自分の経験で中身を想像できる。こうした想像の連続で、各自がそれぞれの物語を紡いでいくわけですよ。だから、作品を作るときには、誰が見ても何をしているか理解できることが大切だと思っています。説明がないので、見た目で「今、何をしているか」が伝わらないと、ドラマを見せられない。一番大切にしているのは、分かりやすさです。
>>>人によってコーラを想像しても、コーヒーを想像してもOKですよね?
何を想像するかは、見る人によって違っても構いません。お客さんの想像力を借りている部分があるし、だからこそ面白いのかもしれません。同じ舞台を見た人でも、ある人は笑い、ある人は涙することもある。自由に想像できるのが面白いところですし、他の芸術にはない魅力なのだと思います。だから、僕のパントマイムは、舞台セットを使いません。見る人の想像力を掻き立てたいからです。
最後に、今回の舞台に対する意気込みを教えてください。
1999年に、が~まるちょばを結成。「サイレントコメディー・デュオ」として、世界35カ国以上で公演を行ってきました。2019年、約20年におよぶデュオ活動に終止符を打ち、ソロアーティストとしてが~まるちょばを継続。30年以上パントマイムの舞台に立ってきましたが、今でもまだ通過点だと思っています。やりきったという思いは全くないし、次の作品に対しても、何か新しいチャレンジをしなければいけないと考えています。今まで、パントマイムの面白さを皆さんに分かってもらいたくて舞台を続けてきたのですが、まずは入口として「が~まるちょばって、面白いね」と思ってもらい、そこからパントマイムの世界を知ってもらっても構いません。それが僕なりのパントマイムへの貢献かなと考えています。とにかく舞台に足を運んで、自分の目で見てほしい。誰かが切り取った画面ではなく、自分の目で目撃して、心を動かしてほしいと思っています。会場で逢える日を楽しみにしています。