野村乳業 株式会社(広島県)
今回は、植物乳酸菌の商品開発で業績を回復させた広島県のカンパニー「野村乳業株式会社」が登場。
もともと給食用牛乳の販売を行っていたカンパニーが、最近最も力を入れているのが「植物性乳酸菌」を使ったヨーグルト。一般的に固まりにくくヨーグルトには不向きといわれた「植物性乳酸菌」を商品化まで漕ぎつけたのは、開発現場を支えた菌を愛してやまない名物社員の存在がありました。
さらに、今では海外3か国にも乳酸菌技術の提供も開始し、大きなビジネスが生まれようとしています。今回は乳酸菌ビジネスの最前線とその開発ストーリーのそーだったのか!に迫ります。
乳酸菌飲料を製造しているカンパニー。創業当時は牛乳製造、その後、健康志向が高まると、ヨーグルトの製造も開始しました。しかし、大手メーカーが台頭し、売り上げが伸び悩む中、ヨーグルトを醗酵させる菌として目を付けたのが、「植物乳酸菌」だったのです。当時はまだ、他のメーカーもあまり参入していなかったうえ、生きて腸まで届くとういう優れもの。しかし、なかなか固まらないというのが難点。そこで、大学で微生物を学び菌の知識が高い奥博貴さんと植物乳酸菌をヨーグルト状に固めるための開発を始めました。菌が好むエサを探すため、自然の中に存在する、あらゆるものからエキスを抽出。菌を増殖させるものを見つけるための実験を繰り返しました。そして2004年、ついに植物乳酸菌を使ったヨーグルトが完成したのです。
植物乳酸菌ヨーグルトを発売したカンパニーでしたが、他社製品との差別化ができず、7年後にすべてのヨーグルトの製造・販売を中止に。ヨーグルトタイプではなく、違う方法で乳酸菌を体内に取り入れる方法はないか。そこで、誕生したのがドリンクタイプでした。消費者に認知してもらうため、植物乳酸菌の数をものすごく増やすことに力を注ぎました。しかし、菌を増やすために必要な栄養素を入れ過ぎると味が悪くなってしまう。そこで、栄養素との相性がいい素材を選ぶことに。果物や野菜100種類以上試したところ、ニンジンの風味が栄養素の独特なくさみを、打ち消してくれることが分かったのです。そして、2011年、ついにドリンクタイプの商品が完成。菌の数を倍増したことが話題となり、販売数も累計で200万本にのぼり、カンパニーの業績へ大きく貢献することにつながったのです。