盛川酒造 株式会社(広島県)
今回は、広島県呉市の日本酒カンパニー「盛川酒造」が登場。盛川酒造の日本酒はフランス・パリのミシュラン1つ星のレストランで使われるなどその味が認められ、世界で数々の賞を受賞。元々は安価なカップ酒を主に製造していたカンパニーがなぜ世界で注目されるお酒をつくることができたのか?そこには弱点を強みに変える独自の酒づくりがあった!しかし、長年かけて最高の日本酒ができたと思った矢先、酒蔵を襲った豪雨災害。兄弟の強い絆で困難を乗り越える酒蔵カンパニーのそ~だったのか!に迫ります。
130年以上の歴史を持つ老舗の酒蔵「盛川酒造」。戦後、大手メーカーの下請けとして普通酒と呼ばれる安価なカップ酒を製造。売り上げの約90%を占めていました。酒の多様化が進み、下請けでの酒づくりは減少。独自の日本酒づくりを決意しました。長い間、磨き上げてきた普通酒の製造技術が大きなヒントになると考え、食用米を使ったお酒づくりをスタート。しかし、お米の表面には雑味として感じられる要因のタンパク質や脂質が含まれていて、その表面のタンパク質をうま味成分に変えられないかと考え、酒づくりで最も重要となる麹づくりを見直したのです。麹菌が入りやすい環境をつくるため、普通酒づくりの5倍の時間と労力をかけたことで、食用米の弱点とされていた「雑味」成分を「うま味」に変えることに成功。2012年、カンパニー独自の日本酒「白鴻四段仕込純米酒」が誕生しました。
新たな日本酒を誕生させたカンパニーでしたが、家族経営の小さな酒蔵ゆえに人手がなく、宣伝もままなりませんでした。そんな中、お酒を評価したのは、なんとイギリス。日本酒の世界進出における重要コンテスト「IWC」で金賞を受賞したのです。しかし、2018年の西日本豪雨、2019年の新型コロナウイルスのまん延で出荷量は激減。失意の中で商機と考えたのは、お酒が評価された海外に打って出ることでした。日本食がブームのフランスで開催された食のイベントでお酒を提供し、魅力をアピール。さらに、ヨーロッパ最大級の日本酒展示会「サロンドサケ」にも出展し、見事1位を獲得したのです。