三興化学工業 株式会社(広島県)
今回は大竹市にある日本で初めて手術用ゴム手袋を作ったカンパニー「三興化学工業」が登場。現在、農業用や工業用など160種類に上るゴム手袋を手掛けるカンパニー。手術用ゴム手袋は一時、国内シェア90%を誇っていたが、1980年代のエイズ流行に伴い、手術用手袋が海外製の使い捨てタイプに移行したことで売り上げが低迷。そこで、海外製に対抗すべく薄さと強さを兼ね備えた手袋の開発をスタート。その厚さは、わずか0.18ミリ!さらに8倍まで伸びても破れることがないという丈夫さも兼ね備えている。安全な手袋を生み出すために必要不可欠なある検査とは?さらにカンパニーの新たな挑戦にも密着!今回は手術用ゴム手袋で日本の医療の安全を支えるカンパニーのそ~だったのか!に迫ります。
1931年創業の「三興化学工業」は現在、農業用・工業用・医療用のものなど、160種類に及ぶゴム手袋を手掛けています。中でも、日本で初めて製造した手術用ゴム手袋は、日本人の手のサイズにぴったりとして高く評価され、1970年代には国内シェアが90%に達していました。しかし1980年代、エイズの流行により、血液を介した感染リスクが深刻化。当時、カンパニーがつくっていた手袋は洗浄・消毒して再利用するものだったため、感染症予防の観点から、海外製の使い捨て手袋が一気に普及していきました。ゴム手袋のパイオニアとしての威信をかけ、カンパニーは使い捨ての手術用ゴム手袋の開発に挑むことになったのです。カンパニーが目指すのは、「薄さ」と「強さ」という相反する性質を一体化させた、革新的な手袋でした。
丈夫なゴム手袋をつくるためには、原料となる天然ゴムをできるだけ均一な厚みにすることが必要。そのためには、天然ゴムと薬剤の配合が重要となり、配合の割合を変えながら、ひたすら試行錯誤を重ねました。さらに、工場の製造ラインでは、手の型がゴムの液に入っていく角度とスピードによって手袋の穴のあきやすさが変わるため、最善の角度とスピードを見つけ出したのです。こうして完成したカンパニーの手術用ゴム手袋は、現在一番薄いもので厚さわずか0.18ミリ。素肌に近い感覚を実現。そして、丈夫さも兼ね備えていて、最低でも8倍に伸びるまで破れることはありません。さらに、カンパニーでは完成した全ての手袋を膨らませて、穴があいた不良品などがないかを検査。こうした安全への徹底した取り組みにより、現在、手術用手袋を年間約350万ペア販売。売り上げの2割強を占める重要な製品となっているのです。