株式会社 中外燐寸社(岡山県)
今回は岡山県岡山市で130年もの間、マッチ製造一筋で歩んできた「中外燐寸社」が登場。カンパニーのマッチの特徴は、擦った時に有害なガスを発生させる「硫黄」を一切使っていないこと。炎を大きくする硫黄を使わなくても安全なのによく燃えるマッチ。その開発秘話とは。さらに、使い捨てライターの普及などでマッチの需要が減少する中、珍しさを逆手にとり新たな付加価値をつけ、マッチの可能性を追求!
130年もの間、マッチ製造一筋で歩んできた「中外燐寸社」。先代の社長・正彦さんは、母がぜんそくを患っていたことから、硫黄を一切使わないマッチづくりを決意。硫黄は炎を大きくする役目がある一方、マッチを擦った時に有害物質・亜硫酸ガスを発生させ、ぜんそくを持った人は発作を起こしてしまう恐れがあるのです。化学薬品メーカーと共同で何十種類もの薬品を調合し、実験を繰り返して、グリコール酸とカルシウム化合物を組み合わせた新たな薬品を見つけ出しました。しかし、硫黄ほど炎を大きくする威力がなかったため、薬品が空気に触れやすくなるよう混ぜ合わせ、頭の薬の量も2倍にしたのです。20年もの歳月をかけ、1976年に硫黄を使わないマッチ「脱硫マッチ」が完成。安全性が認められると、販路は西日本から中部地方、さらに関東・東北・北海道まで広がり、全国ブランドとなっていったのです。
1980年代以降、使い捨てライターの普及などによりマッチの需要が減少。カンパニーは工場を継続させるため、少しでもマッチの需要を増やすことはできないかと模索していました。そこで思いついたのは、「ツン」としたにおいがしない脱硫マッチの特性を生かしたアロマキャンドル用のマッチ。アロマキャンドルやお香を楽しむためには、マッチがその香りを邪魔しないことが重要。2年前に発売したところ、マッチをあまり使わない20代から40代の女性に人気となったのです。さらにカンパニーは岡山らしい桃太郎パッケージのお土産用マッチも去年発売。マッチの珍しさを逆手にとり、付加価値をつけているのです。