株式会社 笏本縫製(岡山県)
今回登場するのは、日本で数少ないネクタイの縫製工場を持つ岡山県津山市の「笏本縫製」。元々は、婦人服などの縫製を手掛けていたが、生産工場の海外流出が相次ぎ、発注が減少したため、ネクタイ専門の縫製工場へと業種転換。会社存続をかけて3代目が自社ブランド商品を開発・販売。「良いものは売れる」と思っていたが、知名度の低さにより、売り上げに伸び悩む。そんな中、知名度を上げようと始めたSNSのある投稿が話題となり、売り上げアップ!その投稿は、目の不自由なお客さんとのやりとりだった…。さらに逆転の発想で新商品を開発。ネクタイが主役になる○○とは?今回はV字回復を遂げたネクタイカンパニーのそ~だったのか!に迫ります。
津山市にある国内でも数少ないネクタイ専門工場「笏本縫製」。カンパニーがつくるネクタイは「しっかりとしたつくりでありながら、やわらかく締めやすい」と高い評価を受けています。伸縮性を確保するため、45度の角度で丁寧に生地を裁断。また、ネクタイの側面にアイロンがけをしないことでふんわりと仕上げ、立体感を際立たせているのです。しかし、カジュアル化やクールビスの普及でネクタイ需要はピーク時の70%減少。経営が困難になっていく中で、2015年、自社ブランド「SHAKUNONE」の立ち上げに踏み切りました。当初は知名度がなく売り上げも伸び悩みましたが、目が不自由なお客さんからの温かい言葉をSNSに投稿したところ話題となり、2022年には創業以来の最高売り上げを記録。今では、地元岡山のデパートの人気商品へと成長しました。
目が不自由なお客さんからの温かい言葉をSNSに投稿したことをきっかけに、創業以来の最高売り上げを記録したカンパニー。全国から注文が舞い込む中、さらなる展開を目指しチャレンジしたのは「ネクタイに合うスーツ」の開発でした。30年以上スーツをつくり続けている地元津山にある企業との共同プロジェクトとなり、「つやまスーツ」と命名。高級感を誇るネクタイに相応しいスーツを実現するため、生地選びやデザインにこだわり、下襟の幅を少し大きくしたり、肩の縫い目を後ろにずらしたりすることで美しいシルエットのスーツが完成。今年2月下旬に開催されたオンライン予約会では、わずか2時間で全ての注文枠が埋まり大成功。スーツにネクタイではなく、ネクタイにスーツを合わせる逆転の発想で、カンパニーの新しい道が切り開けたのです。