岡本製甲 株式会社(岡山県)
今回登場するのは、岡山県倉敷市でスポーツシューズを製造・販売する「岡本製甲」。バブル崩壊で主軸事業だったシューズの受注製造の売り上げは4分の1に激減。そんな中「オリジナル足袋型シューズ」を開発!アイデアのヒントとなったのは高校球児の足元だった?その足袋型シューズは地面を捉えられると評判となり、高校生はもちろん、なんとプロ野球選手も使用するまでに!今回は、世にも珍しい足袋型の野球シューズを開発したカンパニーのそ~だったのか!に迫ります。
70年以上にわたりスポーツシューズを製造している「岡本製甲」。1950年に紳士靴の仕立て業をスタートさせ、1960年代の高度経済成長と共にゴルフの人気が高まる中、ゴルフシューズの受注生産に特化した道を選びます。1995年には売上高13億円を記録し、順調に業績を伸ばしていました。しかし、バブル崩壊により、わずか1年で売上は3億円まで激減。経営難の中の2002年、ゴルフシューズに加えて野球スパイクの製造も開始しましたが、それも他社からの受注生産にすぎませんでした。カンパニーが新たな道を模索していた時、野球スパイクの営業で埼玉県にある甲子園常連校を訪れ、地下足袋を履いて練習する高校球児の姿を目撃。自社ブランド開発の貴重なヒントを得たのです。
甲子園常連校の野球部では、地面をしっかり捉えパフォーマンスを向上させることができると、裸足に近い感覚の地下足袋を練習に導入。球児が地下足袋を履き、ノックや走塁練習を行っている光景を目撃したカンパニーは、足袋型の野球トレーニングシューズを自社商品として開発することにしました。一般的なシューズは足先が細くなる設計が多く、指を自由に動かすことが難しくなる一方、足袋は二股に分かれ足先が広いため、足の指をしっかりと動かすことが可能。足袋の又の切り込みの長さや位置・角度を研究し、努力と試行錯誤の末、2006年、独自の足袋型野球トレーニングシューズが完成。さらに、野球スパイク製造の技術と足袋の研究データをもとに2021年、足袋型野球スパイクを開発。現在、プロ野球選手にも愛用されるようになったのです。