株式会社 葵屋(島根県)
今回は島根県益田市匹見町でわさびを生産するカンパニー「葵屋」が登場。
かつては西の匹見・東の静岡と呼ばれる程のわさびの名産地だった匹見町。しかし、近年は、生産が難しいことや高齢化などで伝統のわさび産業は衰退。そんな匹見わざびを復活させようと立ち上がったのは、Iターンでやってきた元京都府職員だった。縁もゆかりもない土地で彼が挑んだ匹見わさび復活への道のりとは…。
かつて「青いダイヤ」として名高く、高級品として知られた匹見わさび。標高800mを超える山の中にある「わさび田」は、200年以上も前に自然の谷を利用してつくられたもの。その美しさに心奪われ移住してきたのは、元京都府庁職員の安藤さん。しかし、栽培のために借りたわさび田は10年以上も放置されていました。匹見町では昭和30年代の最盛期に500軒もの農家がわさびを栽培していましたが、後継者不足やチューブわさびの登場による市場価格の下落で生産者は激減。わさび田の多くは放置され、荒れ地と化していたのです。そこで安藤さんは匹見町役場や地元企業などの力を借りて、ボランティアを募集。2012年に募集したボランティアには全国から22人が参加し、3日間の作業によって、わさび田はその輝きを取り戻したのです。匹見町に移住してから6年、匹見わさびの初収穫を実現させたのです。
2018年、わさびの町・匹見町で初めてとなるわさびカンパニーとして「葵屋」を設立。自然環境に近い状態で育つ匹見わさびは天候の影響を受けやすく、大きさや形が不揃いのため、出荷規格に満たないことが多いのです。そんな中、東京・浅草にあるミシュラン2年連続2つ星のフレンチレストラン「ナべノ-イズム」の渡辺雄一郎シェフが匹見町を訪れたことがきっかけに、カンパニーのわさびをお店の全コースに提供されるひと品に使用。有名シェフに使われたことをきっかけに、匹見わさびの評判は口コミで拡大し、市場への出荷でなく、飲食店への直接販売が主流になったのです。