有限会社 後藤屋(島根県)
今回は、島根県安来市の明治元年創業の宮大工カンパニー「後藤屋」が登場。これまでに出雲大社の本殿など数々の歴史的建造物の修繕に携わってきたカンパニー。そんな中で、カンパニーに国を挙げてのビッグプロジェクトへの協力依頼が…それは2019年に火災で焼失した沖縄県・首里城の復元工事。そこで任せられたのは、責任重大な正殿の梁の復元。巨大な梁の材料として使われるのは、沖縄県特有の木材「オキナワウラジロガシ」だった。カンパニーの宮大工・後藤さんは、初めて触る木材にどのように立ち向かうのか?そのヒントは数百年も前の伝統技術にあった?今回は首里城復元に挑む宮大工カンパニーのそ~だったのかに迫ります!
明治元年に創業した「後藤屋」は、日本伝統の建築技術を守り続ける宮大工カンパニー。神社仏閣やお城など歴史的で文化的価値の高い建物の修復を専門に行っています。2019年に起きた沖縄県にある世界遺産・首里城の火災。正殿など主要な建物が全焼し、国を挙げた復元プロジェクトが2022年から始まりました。全国から優秀な宮大工探しが進められる中、カンパニーの社長・後藤さんの元にも協力要請が届いたのです。地元・沖縄県をはじめ全国から集められた総勢36人の宮大工。その7割が20代から30代の若手メンバーの中、現在65歳の後藤社長は本土から呼ばれた宮大工としては最高齢。期待の若手宮大工に技術を伝承するという貴重な役割を担ったのです。
2022年から始まった首里城の復元工事は、5年かけて首里城のシンボルである正殿を復元させるもの。後藤社長が任されたのは復元工事の最難関となる巨大な梁の制作でした。この梁の材料に使うのは、沖縄県に自生する樹齢98年の固有種「オキナワウラジロガシ」。かつて首里城の建築材料として使われていたもので、全長9メートル・重さ約4トンもあり、国内屈指の堅さを持っている大木。梁として仕上げるには木の曲線をそのまま残し、原木の表面にある皮や節を取り除く必要があり、機械では木が持つ独特の曲線が失われてしまうのです。そのため、後藤社長は伝統的な大工道具「手斧」を使い、この大木の加工を手作業で仕上げていきました。そして去年10月、ついに後藤社長が半年かけて制作した梁が、正殿の中央に設置されたのです。今回の首里城復元工事は2025年度中の完成に向け、現在も工事が進められています。