株式会社 北条ワイン醸造所(島根県)
今回は創業80年を誇る鳥取県のワイン醸造カンパニー「北条ワイン醸造所」が登場。そのおいしさの秘密は、鳥取ならではのある環境にあった。現在、3代目の山田和弘さんが切り盛りしているが、実は、廃業の危機を何度も迎えていた。醸造所を2人3脚で盛り上げてきた兄の死。その10日後に起きた鳥取県中部地震。製造していたワインが全滅する廃業の危機を救ったのは、全国にいる北条ワインのファンだった!さらにその評価は世界から認められるほどに。今回は鳥取県のワイン醸造カンパニーのそ~だったのか!に迫ります。
鳥取県北栄町で創業した「北条ワイン醸造所」。北条砂丘と呼ばれる砂丘地で、日本系やヨーロッパ系のブドウ約10種類を自社栽培しています。水分が少なめの砂地でブドウを栽培することで、ブドウの実は水分を吸収するために糖分を蓄積。水分によって糖分が薄まらないので糖度が上がります。また、砂丘ならではの寒暖差により、昼につくられた糖分が気温の下がった夜にしっかりと蓄積されるのです。こうしてできたブドウを醸造させてつくったのが「北条ワイン」。その販売先は約4割が県外で、全国には試飲会を開くほど熱烈なファンも。2023年には、アジアのワイン需要の中心地・香港で開催されたコンテストで金賞を受賞したのです。
第二次世界大戦中の1944年に創業したカンパニーは、中国地方では一番古いワイン醸造所ともいわれています。戦時中はワインを醸造する時にでる副産物「酒石酸」をつくっていましたが、戦後、ワインをメインとした醸造所として本格的に稼働。その後、現在の社長・山田和弘さんが販売、兄・章弘さんが醸造担当として、二人三脚で支えてきました。しかし、2016年、章弘さんが他界、その10日後には鳥取県中部地震が発生し、蔵にあったワインの4分の3を失ってしまいました。そんな時に和弘さんの気力を奮い立たせてくれたのは、全国にいるファンから届いた励ましのメールやFAXでした。翌年にワイン醸造を開始。その後、北条砂丘で栽培するブドウの収穫量を増やすため、畑を拡大。カンパニーの挑戦する姿を見た若者たちが仲間として加わり、ワイン醸造の復活を支えたのです。