やまぐちシードル(山口県)
今回は、山口県山口市の特産品「徳佐リンゴ」を使ってスパークリングワイン・シードルを開発したカンパニー「やまぐちシードル」が登場。徳佐リンゴ特有の甘さを生かしたシードルは山口の食材とも相性抜群!Uターンでシードルづくりに挑戦した原田さんは、お酒づくり未経験。ゼロからお酒づくりを学びます。しかし、農家とも信頼関係もなく、シードルの原料となるりんごも十分確保できない状況に。果たして彼女はどうやってその困難を乗り越えたのか?徳佐リンゴを使った新たな特産品誕生の裏側に迫ります。
西日本最大級のリンゴ産地である山口市阿東徳佐で、リンゴのお酒・シードルをつくるカンパニー。シードルはリンゴを発酵させてつくるスパークリングワインで、食事との相性も良く、日本でも注目され始めています。酒づくり未経験だった代表の原田さんは、ワイナリーの視察や醸造家につくり方を学んだ後、試験製造の免許を取得。観光協会の施設を借りて約半年間、酵母を変えながら試作品を完成させました。そして、徳佐りんごを使ってシードル製造するため、農家とコミュニケーションを重ねること2年、リンゴ500キロを確保したのです。3年間の努力を経て、ついに完熟した徳佐りんごの自然な甘さを最大限に引き出した甘口「山」が完成。さらに、栽培の過程で間引きされた未熟なリンゴを加えることで、酸味と渋みがある辛口「山」を完成させたのです。
2020年9月、大型で強い台風10号が西日本を縦断。山口市は暴風域に入り、徳佐りんご農園では約20トンもの被害にあってしまいました。原田さんは「台風で落ちたリンゴでも、シードルはつくれるのではないか」と考え、落下したリンゴを丁寧に拾い集め、傷の少ないものだけを厳選。これらを買い取り、新たな商品を生み出す決断をしました。収穫前のリンゴを使用することで酸味と渋みが適度に残り、奥深い味わいを実現。台風という試練を乗り越えて誕生した、特別な味わいのシードル「風」は甘口と辛口の2種類があり、台風に見舞われた年限定でつくられています。