「恫喝」に負けず「意識改革」に奮闘 安芸高田市の若きリーダー石丸市長に密着 

10/14(水) 19:50

安芸高田市の石丸伸二市長が就任して2カ月。「新しい政治」を目指す中、「意識改革」に奮闘する若きリーダーを取材しました。

【石丸伸二市長ツイッター・吹き替え】
「昨日、議会から異例の呼び出しを受けました。居眠り事件について話がある、と」「数名から、議会の批判をするな、選挙前に騒ぐな」「敵に回すなら政策に反対するぞ、と説得?恫喝?あり」

先月、石丸伸二市長が投稿したSNS。発端は、市長にとって初めての市議会・9月定例会だった。

【YouTubeより】
「(ゴォー)いびきの音」(市長苦笑)

【石丸伸二市長の答弁】
「眠たくならないような答弁をしないといけないなと」

この日、石丸市長はSNSで議会中に居眠りする議員がいたと指摘。

「議員の人にとっては、大舞台ですよね、見せ場と言ってもいいかと思うんですけど、そこにいるために選挙があって、市民に選んでもらってるわけじゃないですか。だから、そこで全力が出せなかったら、プロじゃないですよね」

後日、石丸市長は議長から呼ばれ、全議員が出席する非公開の全員協議会で説明を求められたという。

【石丸市長】
「要はちょっと体育館裏来いや、という感じですよね」「最初呼ばれた時の雰囲気としては、市長謝りなさいよ、という感じでしたよ」「議会を騒がせるなと、あんまり騒いでると、あなた敵を作るよ、という、アドバイス?それは恫喝ですよ」「市政が進まなくなるよっていうこの恫喝は、私もですね、見逃しちゃいけないなと思いましたね」

この「恫喝」について議長の認識は食い違う。

【(居眠りを指摘された議員ではない)安芸高田市議会・山本優議長】
「市長のツイッターは、恫喝いう言葉じゃなくて、皆さんの受け取り方じゃけぇね、議員さんも、市長の方も」(Q居眠りについて?)「それはやっぱり議員さん本人の自覚の問題だと思います。寝とるか居眠りしとるかしてないか分からんでしょう?目をつむっただけかもわからん」

【安芸高田市民は】【女性】
「(居眠りは)もっての外だと思いますよね。皆の税金であれだけ給料もらって、議会へ出て、せっかくの会議に居眠りなんかしとっちゃぁね」
【タクシー運転手男性】
「居眠りするいうのは、けしからんことですけどそこ(SNSに投稿)までする必要はなかったんじゃないかと思いますよね」
【男性】
「今回だけじゃなしに。そういう風潮いうか多少あったんじゃないかなぁと思うんですよね。今まで問題にならなかったということは、議会自体が古い」

安芸高田市では、去年の参院選をめぐる買収事件で前市長と前市議のあわせて4人が辞職。
政治不信の払拭が求められる中、ことし8月、行政経験のない石丸市長が当選した。政治への信頼を取り戻そうという一貫した姿勢にこれまでの慣習や政治風土は無用だ。

【石丸伸二市長】
「行政も色々改革をやっていかないといけないんですけど、議会もまた同様に刷新、改革をして欲しいなというのが、この一連の出来事の背景ですね」

議会に求める「改革」は市役所内部にも向けられる。安芸高田市の新型コロナ対策の事業「プレミアム付商品券」。40%という高い還元率で1人10冊購入できることから市民が殺到。買えない人も多く、販売方法を巡り不満が続出。市は謝罪する事態となった。

【市の放送】
「市民の皆様には大変ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫びいたします」

【石丸伸二市長】
「そのすべての責任は当然ですけれども、市長の私にあります」

前市長から引き継いだこの事業。石丸市長が就任した時には、すでに議決を経て形になっていた。

【石丸伸二市長】
「プレミアム商品券とういのは、本来的に、ものすごい不公平なんですよ。みんながお金を使えるようにするなら、給付金でいいんですよね」「非常に癖のある、言葉を選ばずにいえば、タチが悪い政策を、このまちはやっちゃってたんだな、それはですね、一番最初に感じました」

実は、安芸高田市は過去に販売した「プレミアム付商品券」が売れ残ったことがあり、その失敗を踏まえて今回、高い還元率で販売。その結果、混乱を招いたのだ。

【石丸伸二市長】
「つまり何やっても失敗するんですよっていうのを、そういう政策だというのを職員が知らないといけないんですよね。それを知って欲しかったですね」「先の混乱、分かってたんですけれども、これもまた必要な痛みだなと思いました」
「職員を市役所を組織として強くしていく、この重要性を考えたら、私は許容できる混乱だと思って、そこは通しました」

混乱に対し、現場職員は自ら素早く対応。追加販売については、抽選にした上で購入できる上限を1人3冊に減らすなどできる限りの改善策をとった。

議会や市職員に対して「意識改革」を求める石丸市長。この2カ月間を市民はどう見ているのか?

【男性】
「時々会う時にはちゃんと挨拶してくれる。親近感がちょっとわきますね」
【女性】
「議会を傍聴した人多いしね、今まであんなこと聞いたことないけど」
【男性】
「発信力あるしすごい政治に透明性というか、分かりますよね。確実に変わっていくと思いますね、いい方向に」

就任以降、「新しい政治」の実現に向け積み重ねてきた「改革」。それは自身にも向けられる。就任2カ月を機に幹部職員から自分に対する評価を聞くことにした。

【石丸伸二市長】
「この箱が「意見箱」ですね」

「市長にやって欲しいこと」または「やって欲しくないこと」を3つ書いてもらうという。

【石丸伸二市長】
「人も組織も批判がないと成長しないんですよね、改善できないと思います。あえて耳に痛い話も聞かなきゃいけないな」

寄せられた意見は残りの任期に活かす方針だ。就任から2カ月が経ち市長の掲げる3つの政策の柱について今、力を入れている割合を聞いてみた。

(1.政治再建 2.都市開発 3.産業創出 )

【石丸伸二市長】
「数字を言うと1が80%、2と3は10%ずつという感じです。今の時点ではまだまだ1だなと、政治再建だなと思ってます」「ひとまずは議会。私にできることと言えば市民の方に現状を伝える、知ってもらうことが、大事なことなのかなと思っています」

来月、市議会議員選挙を控える安芸高田市。今、市民に求められるのは、自分の投票がまちを変えることができるという「意識改革」だ。