マンション分譲会社が「ご近所付き合い」を後押し お互いを助け合う「マリモコネクト」

12/12(火) 18:47

人と人とのつながりが希薄と言われる時代に町そのものを元気にしようと、マンション事業を手掛ける広島市の会社があります。
注目のキーワードは「ご近所さん」です

ここは託児所でも自治体の施設でもありません。広島市西区で去年から始まった「ご近所付き合い」の一環です。

【参加者は】
「話せる同年代のつながりというのがすごく心が安らぐ子供だけじゃなくて親の立場としてもありがたい、救われる」

【参加者は】
「安心できますね。いざというときに頼れる人がいると心強いなと思います。子供のことも知ってくれているから」

利用料金に決まりはなくあくまで「お気持ち」子供を預ける側と面倒を見る側がかつての「ご近所さん」のような信頼関係の上に成り立っています。

【預かる側 新田 久美子さん】
「顔見知りの頼り合いがお互い助け合えるというコミュニティー作りにつながるので、すごくいいなと思います」

幼稚園の勤務経験がある新田 久美子さん。その経験を地域に生かしたいと3人の子育てをしながら「ご近所さん」のリーダー役を担っています。

【リーダー役・新田 久美子さん】
「ママのほっとできたり癒しや喜びが私の喜びでもあると思っているので、本当にいい仕事だなと思いながらやっています。ちょっとずつ紹介して広がりが出てきてママたちが来てくれて」

この仕組みの名前は「マリモコネクト」自分の得意分野を生かし、人の役に立ちたい「リーダー役」がイベントを企画し、地域の「ご近所さん」たちと無料アプリを使って情報交換します。

広島市のマンション分譲会社「マリモ」が導入を後押ししました。

【マリモホールディングス・矢田辺 和樹さん】
「(社会全体で)担い手がいなくなって不足していることで地域コミュニティが廃れていることはよく耳にしていました。ディベロッパーとして建物を建てて終わりではなくて、地域そのものをより元気にしていきたいと」

実はここも、マリモが無料で貸し出しているフリースペースです。マンションの入居者でもそうでなくても利用できる空間です。

【マリモホールディングス・矢田辺 和樹さん】
Q:儲かるのかと思うが…
「単純に利益の話ではないかなと思います。定住人口が増えるだけでなく、マリモのマンションがそこに立つと地域そのものも、より活性化して元気になっていく。そもそも地域だったり街の資本は何なのかと考えるとそこに住んでいる人々だと思うんですよね」

マンションを建てるだけでなく、その地域に住む「人」に価値を見出しています。「マリモコネクト」はマリモがマンションを分譲した広島市西区と南区で先行して導入されていて活動は子供の見守りだけにとどまりません。

<お祭りの準備>
先月、南区の地域の祭りに「リーダー役」の姿がありました。

【リーダー役・三浦 奈緒美さん】
「気軽に服を手に取ってもらってオシャレを楽しむというところを楽しんでもらえたらいいなと思います」

三浦 奈緒美さんは生まれも育ちも南区。マンションの入居者ではありませんが子供服の交換会を企画しました。

【三浦 奈緒美さん】
「お気持ちという感じですね」「一着10円と決めてやっているところもあるんですけど」

三浦さんは2児の母。周辺に続々とマンションが建てられ移り住んでくる人は増えたものの、週末のにぎわいは郊外の商業施設に移りがち…。
寂しさを感じていました。
【リーダー役・三浦 奈緒美さん】
「(リーダー役は)友達に誘ってもらいました。色んな方と知り合えることがすごく好きだったので、入っているだけでも楽しいかなというので入らせてもらいました」

【東雲地区商店会・加藤 健太郎 会長】
「色んな人たちと関わることによっての安心安全。僕たちが広くできなかったことにプラスアルファの力をいただいているそんな感じですね」

今回は地元の商店会の人のブースに混じって「マリモコネクト」で宣伝し、開店を待ちます。

【お客さん・三浦さん】
「これかわいいなと思って」「ぜひ持って帰ってください」「今からちょうどいいしね」
【暮らして30年 地元住民は】
「珍しさもあってよかったかなと思います」

当初の心配をよそに様々な世代の地域住民がやってきて会話も弾みます。
一人一人にお気に入りの一着を手にとってもらうことができました。

【今年春に県外から転居 地元住民は】
「あ、色んな人がいるんだなというのが職場と家庭の行き来だけだと地域で生活していることを感じにくいのが、ここに来ておじいちゃんおばあちゃんから子供までいっぱいいるんだなとそういうのを感じました」

マンションが建つエリアを「ご近所さん」のつながりで丸ごと元気に。
「デジタル」と「リアル」の融合が人と町に温もりを生んでいます。

【リーダー役・三浦 奈緒美さん】
「自分のためにも住みよい街づくりは大切だなと感じますのでこれからも住みよい地域にするために頑張っていきたいと思います」

【三浦さん・お客の子供】
「ありがとう」「どういたしまして」「本当に10円でいいんですか」「全然」「ありがとうございます」


<スタジオ>
新しいマンションが建って昔ながらの付き合いがなくなるのではなくて、建ったからこそアプリを連携して輪が広がって地域の活性化にもなりますし、地域を選ぶときに「ここいいな」っていう魅力的な場所にもなりそうですよね。

【広島大学大学院・匹田 篤 准教授】(社会情報・メディア論が専門)
「まさに地域の価値を高める。特にこういう価値っていうのは人間関係資本=ソーシャルキャピタルというふうに呼ばれるんですけれども、非常にうまくいっていると思います。特にこういう集合住宅と、転居者っていう人たちと地元の町内会活動というのはなかなかこう接点がなかったり、交流が難しいっていうふうに言われてるんですが、本来その同じ町内に暮らす人っていうのは特に災害時などは誰よりも頼り頼られる間柄であるわけですので、そういう意味でこういう出会いがあると、その地域の価値は本当に高まると思います」