殺し方500回検索 スズメバチの巣で殺害計画も ”保険金目当て”男子大学生殺害事件の真相

7/2(火) 18:31

保険金を目当てに廿日市市のホテルで、男子大学生を殺害した罪などに問われている男の裁判で、広島地裁は2日、求刑通り懲役30年の判決を言い渡しました。

この事件は、裁判で驚きの事実がいろいろと出てきて一気に注目度が高まりました。
判決も求刑通りの懲役30年という重いものになりました。
では、ここからゲンバを取材した記者とともにニュースを掘り下げるゲンバ推しのコーナーです。裁判を取材した毛利記者に話を聞きます。

Q:毛利さん、替え玉保険金殺人という事件だったようですが、初めからそういった見立ては明らかになっていたのでしょうか?

私たちも裁判前は、職業訓練生の男が宗教団体への勧誘で被害者の男子大学生と知り合ったこと、睡眠導入剤を飲ませたうえで、アルコールを摂取させて殺害したという部分しかわかっていませんでした。
替え玉保険金殺人というのは、初公判での検察側の冒頭陳述で初めて出てきた言葉でした。

では、判決で認められた事実などをもとに、この事件を改めて振り返ります。
殺人と詐欺の罪で起訴された南波被告(33)は2021年2月に被害者の安藤魁人さん(当時21)と知り合い、その9か月後の11月に廿日市市のホテルでアルコールを注射器で直腸に注入するという危険な方法で安藤さんに意識障害を起こさせ、最終的に嘔吐物による窒息で殺害したとされています。

南波被告は犯行の前に保険会社にうその収入を伝え、自分に最大6億3000万円の保険金をかけていて、受け取りを実の弟にしていました。
死亡した男子大学生を南波被告だと説明し、そして自身は実の弟になりすまして保険金を受け取る算段でした。

結局、南波被告の母親が搬送された被害者を見て別人と断言したことで替え玉殺人疑惑が持ち上がったということなんです。

Q:相当、入念に計画しないと難しいのでは?

実は事件前の10月にも2人は名古屋市で会っていたんです。
そのときに南波被告は広島からスズメバチの巣を運び、ホテルの部屋に置いていました。
南波被告はスズメバチを使って被害者を殺害しようとしたのですがこれは、南波被告や被害者がホテルに戻る前にホテルの従業員が気付いて処分しっため失敗に終わっています。

Q:スズメバチの巣を運ぶとは驚きですね。なぜそこまでしたのですか?

保険には災害特約があり、スズメバチの巣はこの災害特約も手にするためだったとみられます。捜査当局も野生生物を使った殺人は珍しく、今までに経験したことがないと話していました。
また、この事件の前に南波被告はインターネットで「なりすまし保険金殺人」「スズメバチ死亡時間」「アルコール致死量体重」などと500回以上検索していて殺害方法を何度も調べていました。ここからも計画性の高さが垣間見えました。

Q:求刑も判決も懲役30年と有期刑では最も重いものでしたよね。これはどういう考えだったのでしょうか?

これは保険金殺人や強盗殺人などお金のために人を殺すのは、恨みなどによる殺人よりも罪が重いとされているためだと考えられます。
1日の裁判で、広島地裁は殺意を認め、求刑通り懲役30年という判決を下しました。
一般的な事件では判決は求刑より軽くなるケースが多いのですが、裁判長は「人命軽視の態度が甚だしい」と南波被告を厳しく非難し求刑通りの判決となりました。
裁判所はこの殺人の罪を重く判断したと言えると思います。