人気ふりかけ『ゆかり』の製造過程で廃棄される赤シソ コーヒーの脇役に…カフェインレスで奥ゆかしい風味

7/18(木) 21:00

広島県内のSDGsの取り組みをお伝えする「フューチャースマイルプロジェクト」の
コーナーです。
私たちの食卓に馴染みのあるふりかけの「ゆかり」製造の過程で出てしまう廃棄される赤シソを使った新たな商品の開発が進んでいます。
キーワードは「わき役」 主張しすぎない奥ゆかしい味わいを目指しました。

<VTR>
間近に迫る夏を前に収穫シーズンを迎える赤シソ。
自然豊かな北広島町の大地に紫色の畑が鮮やかに映えます。
赤シソは地元ふりかけメーカー・三島食品の主力商品「ゆかり」の原材料です。

【三島食品・田中 俊弘 マネジャー】
「今年は質がいいですよ。これ結構よく育ったんで物もいいと思います」

取り扱う赤シソは年間、およそ3000トン。その半数を国内で育てています。
ここでは4年前から赤シソの新たな栽培に取り組んでいます。

【三島食品・田中 俊弘 マネジャー】
「ここが水耕栽培の施設になりまして、この水は井戸水で、この中に養分を入れてそれを循環させて育てます」

露地栽培に比べて葉が小さくやわらかいのが特徴です。
こうして大切に育てられた赤シソですが「ふりかけ」になる前に一部は廃棄されています。

【三島食品・田中 俊弘 マネジャー】
「加工段階で選別機にかけるんですね。選別機にかけて異物を落とすんですけど、異物と一緒にいい葉っぱも落ちる異物がなかったらそのまま使えるのでちょっともったいない」

加工工場に入ると目に入ってくるのは虫などの異物を取り除く巨大な選別機。
確かに、網目から大量の葉が落ちています。

【三島食品・田中 俊弘 マネジャー】
「結構落ちましたね。もうこれだけ落ちるんで廃棄するのはもったいない。葉っぱはいいのに。使えるんですけどね。もうこれを捨てるとなると本当にもったいない」

廃棄される「赤シソ」は収穫全体の7パーセント。その葉っぱがいま、生まれ変わろうとしています。

チャレンジする商品はなんと「コーヒー」!農薬を一切使っていない水耕栽培の葉が利用されています。

なぜ、新たな分野に挑戦するのか。

【三島食品・佐伯 俊彦 マネジャー】
「三島食品はふりかけメーカーなので、わざわざコーヒーに行く必要はないと思うんです。我々はおそらく日本で一番赤シソを消費しているメーカーなので、赤シソのリーディングカンパニーを目指したいという思いがある」

コーヒーに注目したきっかけは、海外拠点との会議でした。

【三島食品・佐伯 俊彦 マネジャー】
「海外のグループ会社から『赤シソから抽出したエキスをコーヒーの中に入れた赤シソフレーバーのコーヒーが結構評判がいいんだよ』という情報が上がってきたので」

赤シソの原産地・中国にあるおよそ40店舗を構えるカフェでは、シソジュースとコーヒーを混ぜたドリンクが親しまれていました。

【三島食品・佐伯 俊彦 マネジャー】
「コーヒーはコーヒーだから、そんな赤シソなんか入れて美味しいわけがないじゃないかと思っていたんですが、でも実際に売れているという事実があったので」

<打ち合わせの様子>
「こんにちは、どうも。ご無沙汰してます」「ご無沙汰しています。今日はよろしくお願いします」

先週行われた打ち合わせ。
タッグを組むのは、カフェインレスコーヒーの企画・製造販売を手掛ける石原 正義さん。
試作品は2種類です。

【P―BERRY 石原 正義 代表】
「一応、こちらの方がすっきりしたタイプのA。シソの風味を強くしたBという形で用意をしています」

気になる中身は…

【P―BERRY 石原 正義 代表・三島食品 佐伯 俊彦 マネジャー】
「商品自体としてはですね。コーヒーの粉と混ぜ合わせている状態がこういう状態なんですね」「ハーブティーとかあるじゃないですか、いろんなものがこう混ぜ合わさったような」「ちょっと意外性で『ハーブティーがあるならハーブコーヒーも』じゃないですけどこういうコーヒー以外のものがブレンドされているというのは、もしかしたら新しいかもしれない」

コーヒーに携わって10年…石原さんにとっても初めての取り組みでした。

【P―BERRY 石原 正義 代表】
「いや正直『シソ』ですかと、びっくりしたほうが強かったですね。シソ強くすればする分、抽出後にエグみも感じることがあって、やっぱりどれぐらいの量を展開して行くかっていうところが少し苦労したところですね」
【三島食品・佐伯 俊彦 マネジャー】
「赤シソはちょっとアクを持っているので、だから“ゆかり”を作るときは、塩もみでアクをちゃんと抜くんですよ」
【P―BERRY 石原 正義 代表】
「やっぱりですか」

子どもから大人まで広く親しまれているふりかけの「ゆかり」だからこそコーヒーも多くの世代に飲んでもらいたいと「カフェインレス」にこだわりました。

【三島食品・佐伯 俊彦 マネジャー・P―BERRY 石原 正義 代表】
「好みで言うとAです。Bは、存在感は確かにちゃんと主張しているんだけど、逆にコーヒー感が少し弱まっている。今回目指すのは、あくまでも主役はやっぱコーヒーだと僕は考えてまして“コーヒーがいる中で赤シソがかすかに香る”その奥ゆかしさ」「いいですね」「ちょっとかすかに残るくらいのほうが」

そもそも、ふりかけは白ご飯をおいしく食べるための“わき役”。
その謙虚な姿勢を忘れずに挑戦を続けます。

【三島食品・佐伯 俊彦 マネジャー】
「新しいコーヒー文化に一石投じられたらうれしいし、赤シソが多面的に使えるのだという認知も広がればいい」

加工の際に残ってしまう赤シソから生まれたからだにやさしいカフェインレスコーヒー。
赤シソの存在価値を高めるための意外な組み合わせは今年中に発売予定です。

<スタジオ>
コーヒーと赤シソは意外でしたね。スタジオに用意しました!

(新川さん、安部さん試飲)
【コメンテーター:JICA中国 新川 美佐絵さん】(青年海外協力隊などを経験し現在はSDGsの啓発活動を行う)
「シソの感じはしないんですが、すっきりですね」

【コメンテーター:元 広島東洋カープ 安部 友裕さん】
「本当すっきりです。僕、カフェインとらないので、カフェインレスっていうのが、ありがたいです。美味しいです。さっぱり爽やかです」

酸味はそんなに強くないというか、喉を通る時に赤シソの香りがふんわりするような、「奥ゆかしさ」と言われていましたが、まさにそんな感じです。今年中に発売予定だということです。