広島市の手話ダンスチームに密着 全国大会2連覇目指す 歌詞を手話で表現 

7/24(水) 18:32

去年、行われた全国大会で、日本一になったダンスチームが広島にいます。
困難を乗り越え大会連覇に向けて挑戦を続ける人たちに密着しました。

このダンスは「手話ダンス」といいます。
曲の歌詞を手話にして、ダンスで表現しています。

(第1回手話ダンス甲子園全国大会:兵庫県福崎町)
去年9月、兵庫県で初めて開催された第一回となる「手話ダンス甲子園」

(優勝の瞬間)

初代チャンピオンに輝いたのは、広島市の手話ダンスチーム「サイン」です。

「サイン」のメンバーは、中学生から会社員など年齢もさまざまダンス歴40年の菊田順一さんをリーダーに、6年前から手話ダンスに取り組んでいます。
去年の11月、大会連覇に向けて、チームが本格的に動き出しました。
しかし・・。

【手話ダンスチーム サイン 菊田順一代表)
「僕が(大会の)運営が大変になりそうで、今回の手話ダンス甲子園に僕はチームに入ることができなくなりました。なので僕を抜いた他のメンバーでチャレンジしてもらうことになります」

大会の規模が拡大するとともに、手話ダンス協会の役員をしている菊田さんは、大会運営をする裏方に回らざるを得なくなりました。
リーダーの菊さんがステージに立てない中、大会連覇は、菊さんの下で、これまでチームをまとめてきた慶太さんに託されました。

【手話ダンスチーム サイン 小林慶太さん】
「菊田さんがいなかったら優勝できなかったと言われるのも格好が悪いし、サインは全員でサインだというところを見せつけましょう」

(練習)
「ちょっとずつ歩いて顔を見る。掛け合い会話をする。向こうから手話をもらう。そんなイメージ」

優勝チームは、前回と同じ曲で参加することはできません。
新しく選んだ曲は、「This is me」です。

【手話ダンスチーム サイン 小林慶太さん】
「僕たちのサインの次の目標がミュージカルにチャレンジしてみたいという大きな目標があって「This is me」を作ってみたらよりミュージカルに近いものがこの曲はできるのではないかと思って」

今回の歌詞は英語。
まずは、日本語に訳すところからです。
大切な作業も寝っ転がってやる。
これがサインらしさです。

「この自由なスタイル」
「全然イメージが違う」

日本語にした歌詞を手話に訳していきますが、簡単ではありません。
歌詞と同じ言葉が、手話にはないこともあります。
どんな手話を組み合わせれば歌詞の微妙なニュアンスまで正確に表現できるのか?
この作業の中心になるのは、友映さんです。
友映さんは、聴覚に障がいがあり、人工内耳を使っています。

【手話ダンスチーム サイン 中村友映さん】
「邪魔するな私が行くから」
Q:「めっちゃいいじゃん。手話としては伝わる?」
「伝わると思います。人に向けて言えば伝わる」

手話は、わずかな角度の違いで、伝わりづらくなったり、別の意味になることもあります。

【手話ダンスチーム サイン 小林摩弥さん】
「私たちいる場所ある。私もある」

(私と私たちは手話が変わる?私たちになる)

チームには、障がいのあるメンバーが、5人います。
人工内耳を使っている友映さんは、聞き取れる音とそうでない音があります。

(中村友映さん練習)

【手話ダンスチーム サイン 中村友映さん】
「音が高いですね。あれに合わせればいい?」

友映さんは、高い音は聞き取れますが低い音が苦手です。
手話ダンスでは、踊りながらサインを出して、フォローすることもありますが、
今回はこのまま、いけそうです。

ゼロから始めた新しいダンス。
みんなが意見を出し合い、1年近くかけて、作り上げてきました。
大会連覇への第1関門、地区予選大会が迫ってきました。

【手話ダンスチーム サイン 中村友映さん】
「優勝できます。できます」

【手話ダンスチーム サイン 山下心美さん】
「本番の緊張がちょっと」

【手話ダンスチーム サイン 渡邊奈緒美さん】
「優勝して(全国大会に)行きたいです。不安な気持ちもありながら」

【手話ダンスチーム サイン 真倉鈴果さん】
「大丈夫」

【手話ダンスチーム サイン 木村竜輝さん】
Q:準備OK?
「大丈夫です」

予選大会当日。
県内、4つの手話ダンスチームがエントリーしました。
手話ダンスは、技術だけではなく、「手話の正確さ」や「多様性」など、様々な分野で、評価されます。
いよいよ「サイン」の出番です。

(ダンス)

【手話ダンスチーム サイン 木村竜輝さん】
「めっちゃ気持ちよかった」

【手話ダンスチーム サイン 山下心美さん】
「最後の「最高」という歓声がもう…一生このままでいたい」

【手話ダンスチーム サイン 次藤蒼志さん】
「緊張はしなかっのですが、やりながら感情が出て泣きそうになりながら」

【手話ダンスチーム サイン 田丸友彩さん】
「人も多いし、どうなるんだろうと思っていたら(客席の)反応が良くて」

そして、結果発表。

(結果発表)
「優勝はサインです」

【手話ダンスチーム サイン 小林慶太さん】
「ありがとうございます。めちゃめちゃほっとしました。まじでめちゃくちゃほっとしました。広島代表として選ばれただけなので、あと2か月でさらにパワーアップして全国大会に乗り込みたいと思います。超ほっとしました」

全国大会は、9月22日。
連覇を目指す「サイン」のチャレンジはまだ、続いていきます。

<スタジオ>
【コメンテーター:エディオン女子陸上部アドバイザー・木村文子さん】
「年齢もダンス経験も関係なくそれぞれのパーソナリティーを生かしたダンスが見られると、こちらも元気になります。手話ダンスを通してインクルーシブな社会の可能性を感じました」