被爆者の記憶を語り継ぐ女子大生 「地獄を見た被爆者の声に心動かされ…」歩み始めた最年少の伝承者 広島

8/7(水) 18:34

6日、「原爆の日」を迎えた広島。原爆投下から79年被爆者の記憶を語り継ぐある女子大学生の平和への思いに迫りました。

6日に行われた平和記念式典に参列した増本夏海さん21歳。大学生です。
市民代表の一人として今回初めて慰霊碑に献花をしました。
増本さんは、今年4月、最年少の20歳という若さで被爆者の体験や思いを語り継ぐ「伝承者」として認定され活動をはじめました。

【被爆体験伝承者・増本夏海さん】
「47都道府県全国各地で講話することを目標に頑張りたい」

増本さんが語り継ぐのは6歳で被爆した岸田弘子さんの体験とその思い。
若き伝承者に大きな期待を寄せています。

【被爆者・岸田弘子さん】
「多くの犠牲になった命の叫びを発信してくれると思うので、とても期待しています」

いまどきの大学生3年生、増本さん。
幼いころから聞いてきた被爆者の声に心を動かされたといいます。

【増本夏海さん】
「地獄を見た被爆者が自分の言葉に出して、何度も思い出してまで話をする。私たちは聞くだけでいいのかなと。いま平和のために何かしたいと思う一番の原動力」

伝承者を目指すことに家族も驚いたといいます。

【母・真澄さん】
「娘が行動を起こそう思っているとは想像もしてなかった。しんどいことは何回かあったので無理なのかもしれないと思った」

それでも増本さんは諦めませんでした。

初めて人前で講話をする日。増本さんは念入りにリハーサルを行います。
会場には、岸田さんをはじめ多くの人が集まり、増本さんの講話が始まりました。

【増本さん講話】
「弘子ちゃん(岸田弘子さん)は忘れられません。コールタールのような油っこいドロッとした『黒い雨』の雫が真っ赤なトマト流れていました。いまでもスーパーに行って大きなトマトを買うことができません」

岸田さんの被爆体験と思い、増本さんの平和へのメッセージを届けます。

【増本さん講話】
「この核兵器は世界を平和にしますか。私が伝承者として原子爆弾を多くの人に伝えることは、平和を望む人や平和を実現させようとする人を増やすためです」

~講話終了~

【講話を聞いた人】
「(若い人が)次の世代へ語っていくことが非常に大事だと思いました」

~増本さん、涙見せる~

6日、原爆投下から79年を迎えた広島。
初めて式典に参加した増本さんは、被爆80年に向けて平和への思いを新たにしました。

【増本夏海さん】
「『安らかに眠ってください』と言えるくらいまで平和活動を行いたいと思っている。たくさんの場所で(伝承)講話ができるように。自分の平和活動をより広めていくだけです」

最年少の伝承者は、核なき世界を実現するため歩みはじめています。

<スタジオ>
被爆者の高齢化が進む中で、若い世代が動くということは、これから先を考えると、これがある意味当たり前になっていってほしいと思います。

【コメンテーター:木村文子さん】(エディオン女子陸上部アドバイザー)
「私自身、祖母から原爆のことを聞くことがありますが、語り継いでいくということは非常に難しいことだと思っています。なので、彼女の勇気ある行動を私自身も見習いたいと思いますし、こういった姿を見て、自分もやってみたいという方が増えるのかなと感じます」

被爆をした人は被爆者ですが、これからの未来を創っていくのは若者なので、こういった語り継ぎが進んでいくといいと思います。