長崎原爆の「被爆体験者」の一部を被爆者と認める判決 広島からも落胆の声「分断を生む」

9/9(月) 18:56

被爆者と認められていない長崎の「被爆体験者」が、被爆者健康手帳の交付などを求めた裁判で、長崎地裁が、原告の一部に手帳を交付するよう命じる判決を言い渡し、広島では判決に対して落胆の声が聞かれました。

原告の「被爆体験者」44人は、「原爆投下後に降った放射性物質を含む灰や雨などの影響を受け、健康被害があったことが否定できない」として、被爆者と認めるよう求めていました。

【テレビ長崎・松永悠作記者】
「一部勝訴、一部勝訴です」

長崎地裁の松永晋介裁判長は、「被爆地域」外の一部のエリアで、いわゆる「黒い雨」など原爆由来の放射性降下物が降ったと認められる」などとして、原告44人中15人について被爆者健康手帳を交付する判決を言い渡しました。

【被爆体験者訴訟 原告団長 岩永千代子さん(88)】
「正直言って落胆です」

「被爆体験者」を巡っては先月、岸田総理が「合理的に課題を解決するため具体策を検討する」考えを示していました。
判決を受けて広島で黒い雨訴訟を行っている原告団が会見を開き、「残念な判決」であると評価しました。

【「黒い雨」第2次訴訟弁護団事務局長・竹森雅泰弁護士】
「15人の方が被爆者として認められたという意味では歓迎すべきことだと思うが、その範囲を限定してしまっている。地域で分断が生じてしまうという意味では問題のある判決ではないか」