記録的猛暑 クーラー知らずの標高800mの民宿もついに…街中では薬局が「暑さからの避難所」に

9/12(木) 18:55

夏の記録的猛暑に始まり、この先もまだまだ厳しい残暑が予想されています。
これまでの常識は通用しない暑さをめぐる生活の様々な変化についてお伝えします。

島根県との県境に位置する山あいの町・北広島町・八幡地区。
標高およそ800メートル、県内屈指の豪雪地帯でもあります。
ここで暮らす人々の生活にはある特徴が…

【青坂 気象予報士】
「(天井を見てたんですけどエアコンは?)」
【民宿あるぺん屋・杉原幸成さん】
「ないですね。涼しい高原で知られているところだし…この集落でエアコンがある家はほとんどない」

八幡地区でおよそ30年に渡って営業しているこちらの民宿。
夏でもエアコンいらずの生活が続いていましたが、それでも記録的な猛暑によってこれまでの暮らしが変わりました。

【民宿あるぺん屋・杉原幸成さん】
「今年は特に暑い気がする。これじゃあちょっと暑さに耐えられない可能性があるからということで、今年の夏からスポットクーラーだけ入れてみた。
Q:クーラーと名のついたものを買う日が来るとは?
「思わなかった、20~30年前は想像もしないし」

宿泊客の体調も気遣い今年8月、スポットクーラーを各部屋に導入しました。

猛暑によって気温にどのような変化が生じたのか、地元の人たちも気になるところですが

【青坂 気象予報士】
「八幡地区のアメダスです。観測項目としては積雪と降水量、この2つのみとなっています。実際に気象庁のサイトで確認すると、八幡の気温は表示がありません」

地域の気温に関する公式の記録はなく自分たちで経過を観察してきました。

【民宿あるぺん屋・杉原幸成さん】
「この温度計が30℃を超えることはほとんどなかった…。一番高い日で32や33℃。自分の体のこと、色んなお客さんが出入りするから、温度管理はしとかないとね」

暑さをめぐってはこの先も厳しい残暑が予想されます。

【青坂 気象予報士】
「連日の暑さをもたらすのは日本の東西からそれぞれ広がる、夏特有の2種類の高気圧です。秋に向かって勢力を弱めていきますが、今年は周辺の風の流れの影響を受けて、勢力が維持されて退く動きが遅くなる見込みです。
日本の近くに居座ることで、影響を受けるのが偏西風で、張り出しを強める夏の高気圧によって偏西風が北に押し上げられます。
偏西風は北側の寒気と南側の暖かい空気の間を流れるもので、この南側にある日本は、より暖かい空気に覆われやすく、まだまだ10月にかけても平年よりも気温が高い傾向が予想されます」

真夏を過ぎても熱中症対策の取り組みは続きます。

<薬局の様子>
【薬剤師】
「まだまだ暑いので気を付けてくださいね、水分とってくださいね」

広島市薬剤師会が大塚製薬と連携し、市内の薬局にある冷房を活用することでクーリングシェルターとしての利用を今も呼びかけています。いわゆる「暑さからの避難場所」です。

【アスト薬局 野津和良 薬剤師】
「暑い日が続くと思うので…。処方箋がなくても気軽に立ち寄っていただける場所だということを知っていただけたらと思います」

消防庁のまとめでは去年9月にも広島県内では1か月間に166人が熱中症で救急搬送されうち1人が命を落としています。

窓口の近くには水分補給に関するパンフレットも配置。
薬局だからこその注意喚起を心がけているといいます。

【アスト薬局 野津和良 薬剤師】
「利尿剤とか水分を出すお薬を飲まれる方もいらっしゃいますので、脱水症状に気を付けてくださいとか、水分はしっかりとるようにしてくださいという指導は行っています」

長期化とともに厳しさを増す暑さに辛抱の日々は続きます。