障がいがある迷子の女子児童を保護 お手柄の中学生は野球部3人組 「ヘルプマーク」に気づいて母親に連絡

9/20(金) 18:33

広島市佐伯区で、迷子になっていた女子児童を中学生3人が保護しました。
女子児童には重い知的障がいがあり、意思の疎通が難しい中、迅速な保護に役立ったのはこのヘルプマークでした。

19日、佐伯警察署を訪れたのは、城山中学校の1年生今岡柾人さん、佐伯嶺旺さん、定森敦士さんです。
迷子になっていた女子児童を保護したとして、警察から感謝状を受け取りました。
女子児童には重い知的障がいがあり、保護者からの通報を受けて、警察も行方を捜していました。
児童が行方不明になったのは、夏真っ盛りの先月21日。
午後4時すぎ、自宅から塾に向かっていた今岡さんと定森さんは手を振りながら母親を探す女子児童の姿を見つけました。

【城山中学校1年・定森敦士さん】
「知らない人が手振ったりしてくることがないので、なんでなんだろうと思って「どうしたん?」と」

ただならぬ表情に、思わず声を掛けました。
ママと言いながら不安そうな様子の女子児童。
知的障がいがあるため、意思の疎通がうまくいきません。

【城山中学校1年・佐伯嶺旺さん】
「大変だから来て、とりあえず来て。急いで(と言われた)」

自宅が近い佐伯さんも連絡を受けて合流しました。
そのとき目に入ったのは児童のバッグについていたヘルプマークです。

Q:なんでヘルプマークを知っていた?
【城山中学校1年・今岡柾人さん】
「テレビとかで見ていて。障がい者とかいたので見つけたら困っている人だから助けてあげようと思っていて」

ヘルプマークを手に取ると、裏には母親の連絡先が書いてあったのです。

【定森さん】
「『この子が困っているときはここに電話してください母へ』って書いてあったので電話しました」

勇気を出して電話をかけると、母親につながりました。
現在地を伝え、母親を待っていましたが…
この日の広島市は午後4時でも35度近い猛暑。
児童に飲み物や日傘を渡し、熱中症にならないように気遣ったと言います。
女子児童に出会ってから、およそ20分…。

【今岡さん】
「車が来た瞬間泣き出して、『お母さん』とか言ってて」

【定森さん】
「お母さん出てきたらどっちも泣いていて、ハグして」

無事に再会でき、母親からは何度もお礼を言われたと言います。

【今岡さん】
「この3人野球部で、野球部として当たり前のことをしただけです。先生が礼儀や当たり前のことを教えてくれて、いいことをしたなと思いました」

【城山中学校・原田忠則校長】
「(3人の行動を)誇らしいと思います。これも地域で育てられた子たちなので、地域も本当に子どもと関わってくださるので、それが当たり前になってるんじゃないかと思います」

警察も3人の冷静な対応をたたえています。

【佐伯警察署・河崎啓史署長】
「目の前で困ってる人を認めたら助けなければいけないというふうな形で自発的に動いていただいたこと、これすごく素敵なことだなと思います。小さな親切が広がっていってくれればなと思います」

冷静な連携プレーでお手柄の中学生。
優しい心と勇気、そしてヘルプマークを知っていたことが安全な保護につながったようです。

《スタジオ》
ヘルプマークの現物です。

【記者の目:毛利祥子記者】
取材した毛利記者によりますと、裏表は同じマークなのですが、今回の保護者は裏に緊急連絡先を書いて貼っていたため、中学生と母親が連絡を取れたということなんです。

また、県では、ヘルプマークと合わせて、必要な配慮や緊急連絡先などを記入できるヘルプカードも希望者に渡しているということです。
もしマークを付けて困っている人がいたら、ヘルプカードを持っているか聞くことで何か力になれるかもしれないようです。

【コメンテーター:叡啓大学・早田吉伸教授】
「2000年以降、知的障がい者が増えているんです。外見からは判断できないので、こういったマークがあることをきちんと啓もうすることが必要」