給食で使うストローを「環境に配慮した」素材へ 土や海の微生物のエサになる! 広島県内初の試み

9/26(木) 18:51

県内のSDGsの取り組みをお伝えするコーナーです。
学校の給食で使う”あるもの”を環境にやさしい素材に換える県内初の取り組みを取材しました。

廿日市市にある吉和小中学校。
お昼の時間になると児童・生徒たちが給食の準備を進めます。

「いただきます」

(カネカ・宅佑奈さんと子どもたちやりとり)
Q:きょうはストローが変わったということでみんな気づいた?
「気づいたー」
Q:何が違った?何か違うところあった?
「透明」
「長くなった」
Q:長くなった?
「ちょっと固い」
「伸ばさなくてよくなった」
「飲みやすい」

見た目は一般的なストローと同じように見えますが、実は、ある特殊な素材で作られているんです。

(カネカ・宅佑奈さん)
「今回みんなに使ってもらう『グリーンプラネット』(ストロー)は、土の中や海の中にいる小さい生き物がエサとして食べてくれるので、環境に残らない素材です」

その素材とは「生分解性プラスチック」
土の中にいる微生物によって最終的には二酸化炭素と水に分解されるといいます。

(カネカ・宅佑奈さん)
「これまでのプラスチックは分解されないので、ずっとごみとして残ってしまうが、この素材であれば分解されるので、環境に残らなくて海洋プラスチック問題の解決に繋がる」

広島県内の小中学校で給食に使われるプラスチック製のストローは、年間およそ4300万本も使用されています。
そのため、県と廿日市市は、海洋プラスチックごみを削減するために、廿日市市にある27の小中学校でこの生分解性ストローを試験的に導入する取り組みを始めました。

広島県では2050年までに海洋プラスチックごみゼロを目指していますが、昨年度、県内の海で回収した12.8トンのごみのうち、プラスチックごみが10.7トンを占めていて、深刻な状況となっています。

(県環境保全課・秋山日登美 課長)
「いっさい海に流れ出るごみをゼロにするのは難しい。完全に回収できればいいけど、どうしても流出してしまうという危険性もはらんでいて、生分解性のものであれば、環境に流出してしまっても溶けてしまって環境にやさしい。かなり効果的な取り組みになろうかと期待している」

今回、学校では環境にやさしいストローを使うだけではなく、校内に設置したコンポスターと呼ばれる生ごみを処理する装置を使って、使用済みのストローを堆肥にする実験も行います。

(カネカ・宅佑奈さんと子どもたちやりとり)
Q:全部入れた?
「はい、入れました」
Q:蓋をしてちょっと待って開けて見てみようか。混ざってくるから
「どこか行った」
Q:混ざった、混ざった。1回目の投入完了です。

さらに、給食で使われなかった野菜と水を加えると微生物の働きが活発になり、分解されやすくなります。

(中学1年生・川崎桂汰さん)
「見た目はプラスチックだけど、土にかわるってどうなったら変わるのかなと思った。本当に分解されるのかな」

(中学1年生・大村慧三朗さん)
「自然にいいなら、すごい」

2週間から1か月で分解されるというストロー。
およそ2週間後の今月19日その様子を見にいくと…

(カネカ・宅佑奈さんと子どもたちやりとり)
Q:いきますよ。(※開ける)
「えええ」
Q:今こんな状態になっています」
「すごい、どうなっているの」
Q:このくらいまで小さくなって、さらにまったくなくなる。
「こんなに細かくなるとは思わなかった」
「もっと穴が開いていると思った」
「環境によくなっていっている」
「こうやって分解されていったら普通のプラスチックみたいだけど、環境にいいかなって思えるよね」

改めて見比べてみてもその違いは一目瞭然。
実験を始めた日に入れたストローはほぼ分解しきっていて、分解の進み具合は順調だということです。

(カネカ・宅佑奈さん)
「給食ストローは毎日出てくるので、どういうスキームや設備の能力があれば、毎日のストローを分解できるのか確認したい」

(中学1年生・大村慧三朗さん)
「これからもっと細かくなっていくのが少し楽しみ」

(中学1年生・川崎桂汰さん)
「吉和だけじゃなくて周りの学校にコンポスターを増やして、環境に良い取り組みを増やしていきたい」

ストローが分解された堆肥は、学校菜園で使用されることになります。
県の担当者も、子どもたちだけでなく地域全体で環境問題を考える意識改革につながるとして、この取り組みに期待を寄せています。

(県環境保全課・秋山日登美 課長)
「学校で学んだことを子供たちは家に帰って、親御さんに話をすると思うんですね。こういったストローを使っていることを家や地域で共有してもらうことによって、取り組みが広く広がっていく」

県は、この取り組みを来年3月まで続け、削減できたプラスチックごみの量などを調べて効果が確認できれば新年度も継続し、ほかの地域への拡大やほかの製品への展開につなげていく考えです。

<スタジオ>
こちらが生分解性プラスチックの素材でできたストローなんですが、触った感じも見た感じも普通のストローと何が違うのか、一見わからないですね。

【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「本当に使いやすそう。企業が作る責任を果たしてくれている以上、技術が革新されるとホッとするけれども、私たちが使う責任というのを考えていきたい。どうしてこういうものを作らないといけないのか、地球規模の大きな課題があるということを、これをきっかけに私たちももう一度考えていきたいですね」

【コメンテーター:元カープ・安部友裕さん】
「今こうやって、いろんなほかの素材も出てきたりするんです。そうなるとコストがどんどん高くなるんですけど、今後長期的だったり、また多面的に捉えていく必要があると思います。人にも地球にも優しい取り組みがどんどん広がって欲しいですね」

ゴミを減らせるだけじゃなくて、人の作業も減らせるということで、まさに地球にも人にも優しいということで、今後の展開に注目したいと思います。