2500人の大規模避難訓練 約2キロ、1時間の道のりも…命を守るため 広島・呉市

10/9(水) 18:33

呉市で住民や学生など2500人が参加して大規模な避難訓練が行われました。
2.3キロ以上を1時間かけて歩く避難訓練でした。

【防災無線】
「強い揺れに警戒して身を守る行動をとってください」

一斉に机の下へと入る学生たち…

【野川アナ】
「1階からも階段を使って上の階からも生徒たちが避難していきます」

9日行われたのは巨大地震・津波を想定した避難訓練。

【点呼報告】
「26…OKです!」

呉市阿賀地区の住民や学校、幼稚園などが同時に訓練を行い、合わせて2500人が参加対象です。

【野川アナ】
「今回の訓練が行われる場所、海抜1・7m、いわゆる低地にあり、このフェンスの先も学校、逃げ場が非常に少ない土地の特徴がある」

海や川に近くて津波の恐れがある場合には、すぐに避難が必要な呉工業高等専門学校。
万が一、授業中などに地震が発生すれば、全学生と教職員、あわせて1000人が避難を余儀なくされます。
そのため、今回の訓練では直線距離でおよそ2・3キロ先の海抜84.9mの場所にある県立呉工業高校を避難先にしました。
今回”初めて”、全学生一斉に行う訓練の背景には…。

【呉工業高等専門学校・河村進一学生主事】
「避難場所として指定されたのはずいぶん前だが、実際に全員で移動したことないので、まずは経験してみること。地震も今後最大規模が本当に来ないという保証はどこにもないので、そこに対する備えは必要になってくる」

想定では、徒歩で片道30分~40分の移動です…

【4年生】
「結構坂登っているのでつらい。もっと登らないといけないので」

その道中では消防などの担当者も避難誘導に当たっていました。

【野川アナ】
「海に近いエリアかつこうして川も流れているということで地震が起きるとここの川、波が遡上してくるリスクもあります。そうしたことも考えながら避難していく」

大通り沿いが主な避難経路ですが、高台に向かうだけあって平たんではなく傾斜がある道のりです。
そして、大所帯が徒歩で移動する避難訓練は、学校を出発してからおよそ1時間で完了。
想定よりも20分ほど長く時間がかかりました。

「40名全員います、不明者ゼロです。全員到着しました」
「(津波警報が出た場合は)雨が降ろうが風が吹こうが、どんな天候であろうが、ここにくる。その時(津波警報が出ている時)は呉市の指定避難場所がこの校庭なのでこの校庭で一泊になります。いまの時点では阿賀地区に行くところがありません。ここしかない。だからとにかくここで一泊するという覚悟、そのための準備をしておいてほしい」

訓練を終えた学生は…。

【5年生】
「避難時にも体力使う。南海トラフもくると言われているので日々準備していきたい」
「今回は学校での避難だったが、実際には家にいることもあると思う。家で非常食の準備だったり、家族で避難場所の話し合いをするとか、地震に対して向き合っていけたらと思う」

《スタジオ》
【コメンテーター:エディオン女子陸上部アドバイザー・木村文子さん】
「準備をすることが大事だと思います。先日、阿賀地区で陸上教室をさせていただいたんです。本当に平地なんですね。海沿いで平地だと危険性も高いかなと感じました」

【野川アナ】
「今回取材した呉工業高等専門学校の周辺には保育所、小学校から大学まで教育機関が集中しています。授業中に津波が発生した場合、命を守る行動が迫られます。そのため、南海トラフ地震を意識しての訓練でした。
私も途中まで同行したんですが、道は曲がりくねっていて歩道もそんなに広くない。最後はかなり急な登り道でした。実際に歩くと、道順や途中に川があること、更に坂道の険しさも分かりました。今日参加した学生や先生方も感じたのではないかなと思います。実際に歩くことは大切だと感じました」