新しいインフルエンザワクチン 鼻から接種し、効果長持ち 子ども、受験生に最適か 値段、副反応は?

10/18(金) 11:15

育児の話題をお伝えするコーナー。
今回は、本格的な流行シーズンの到来を前に、今年から新たに導入されたインフルエンザワクチンに注目しました。

去年、4年ぶりの流行で猛威をふるったインフルエンザ。
1シーズンに2回感染する人も出るなど感染者が増加し薬局では、小児用の薬が、一時薬局の棚から無くなるなどの騒ぎも…。
医師たちはワクチンの接種を呼びかけました。

今年もワクチン接種はすでに始まっていますが、去年と少し状況が違うようです。

【石井百恵 記者】
「こちらの病院でもインフルエンザの予防接種の案内が始まっているんですが、よく見ると「今シーズンより点鼻タイプのワクチンも接種可能」と書いてあります」

今年から登場した新たなワクチンとは。

【医師と接種する子ども】
「ちょっと上を向こうか、軽く上を向いて。行くよ、ごめんね、せーの」

鼻から接種するスプレータイプのワクチン「フルミスト」。
去年3月に、国内での製造販売が承認され、今シーズン、2歳から19歳未満を限定に新たに接種が始まったワクチンです。

【医師と接種する子ども】
「大丈夫?」(うなづく)「すぐおわった」

【接種した子ども】
Q:痛くなかった?
「いたくなかった」
Q:腕の注射は嫌だ?
「しませんよ」

【接種後の保護者は】
「注射というと、『えーやだーやりたくない、』と、いつも嫌がられるんですけど、今回は鼻にスプレーのタイプだよと言ったら、それならと、すっと来てくれたんでよかったです」

日本小児科学会は、従来のインフルエンザワクチンと予防効果は同等としていて、こちらの病院では、承認されたばかりのため、今年は積極的に広報はしていないものの、希望があれば接種を行っているということです。

従来型のワクチンに加え、選択肢が増えましたが、どう違うのでしょうか?

【翠・こども耳鼻咽喉科クリニック小児科・河野絢子副院長】
「大きな違いとしては、今までのものは、不活化ワクチンといわれるものだったのですが、こちらのフルミストは生ワクチンに分類されまして、弱めたウイルスを直接鼻に噴霧するという形になります。

生ワクチンになりますので、軽くインフルエンザにかかったような感じで鼻水や鼻づまり、あとは発熱が出る方もいらっしゃると聞いていて、半分近くの方に副反応が出るとの報告があがっています。

従来の注射型ワクチンは、4~5カ月すると効果は減弱してくるという風に言われているが、こちらのフルミストに関しては、1シーズン約1年というところで、効果が長続きするといわれていますので、そういった面でも、特に受験生とかそういったお子さんに関してはいいのかなという風に思っています」

一方気になることも…。

【翠・こども耳鼻咽喉科クリニック小児科・河野絢子副院長】
「一応、水平感染という形で、ワクチンに含まれている弱めたウイルスが周囲の方に移る可能性があるとは言われていて、そのため免疫が低下した方や乳児(新生児や月齢の小さな子)のお子さんとの接触は、可能な限り1~2週間避けましょうとは言われています。報告としては多くはないと聞いていますが、移ったことはあるとは聞いていますので、そういったところは気をつけましょうという風にお話させていただいています」

去年は11月には早くもインフルエンザ警報が発令されました。
流行を前に心がまえは?

【翠・こども耳鼻咽喉科クリニック小児科・河野絢子副院長】
「流行を前にしっかりワクチン接種できる方は接種しておくということと、流行が始まってきたら、人込みに入るときはマスクをつけるとか手洗いうがいというところの最低限の感染対策は大事になってくるかと思います」

<スタジオ>
スタジオには取材にあたった石井記者です。

今回導入されたフルミストのような「経鼻弱毒生ワクチン」鼻からのスプレータイプのワクチンは、アメリカで2003年に初めて承認され去年4月の時点で36の国と地域で承認されています。

日本では長年未承認のままでしたが去年3月に「フルミスト」の製造・販売が承認され、今シーズンから2歳から19歳未満を対象に接種が開始されています。
特に若年層に効果が出やすいため対象が限定されているそうです。

接種が始まる前の先月、日本小児科学会が考え方を示しています。
〇従来型のワクチンと予防効果の明確な優位性は確認されていない。
〇喘息患者、授乳中の人、妊婦さん、周囲に免疫不全患者のいる人、その他特定の病気の人には従来型を推奨する。

ということで、県内の病院の中には、今年は様子見で、希望者だけにしようというスタンスで積極広報していない所も多いようです。

メリットとデメリットを確認しました。
〇従来型は痛みが「ある」、フルミストは「ほぼない」の違いがあり、
〇接種の回数は、13歳未満は、従来型は2回接種が必要なのに対し、フルミストは1回で済みます。
〇大きいのは、値段です。
従来型は、病院によって異なりますがだいたい1回3000円~3500円程度なのに対し、フルミストは、1回7000円~8000円台と割高です。

一方で、
〇持続効果は、従来型が5カ月程度に対し、フルミストは、1シーズン1年近く持続すると言われていました。

こうしたそれぞれの特徴を把握しながら、保護者がそれぞれ判断をしていく形がいいと思います。

選択肢が増えたということで、しっかりと各家庭で考えていただければと思います。