演奏会で客の咳の音も、飴を取り出すノイズもなし! 水のど飴「サイレントキャンディー」ギタリストが開発
11/12(火) 20:00
クラシックの演奏会で長い間、課題となっていたあのノイズをなくそうと「サイレントキャンディー」の開発にかけたある音楽家の5年間に密着しました。
<2019年11月>
今から5年前、私たちは一人の音楽家の挑戦を追い始めました。
「これは宙に浮いているわけです。中にあめがあるとしたら、まず実験でここの中にシリコンを入れてみて固めると」
彼が向き合っているのは楽器や楽譜ではありません。
お菓子の「あめ」です。
【ギタリスト 上垣内寿光さん】
「音のしないキャンディーを作りたい」
ギタリスト、上垣内寿光さん。
広島を拠点にヨーロッパやアジアなど海外でもクラシックなどの演奏会を開いています。
【上垣内寿光さん】
「演奏会中にノイズが多いんです、いろんな。その中でも最もノイズが大きいなと思ったのはあめです。せきが出るからみんなこういうあめを出すが、1個でもかなり音がするが、これが同時に5、6人したら、音楽を聴いているというより、このノイズを聞いているという感じ。この音がしないパッケージってないのかなと思って」
音楽仲間を集めて取り出すときに“音のしないあめ”を作ろうとしていたのです。
【音楽仲間・松澤佳加さん】
Q:皆さんは気になりますか?
「すごく静かな中であめを出す音はとても響きます」
【音楽仲間・福田真子さん】
「聞いていても、自分が、せきが出たときも、ああどうしようってなるから」
上垣内さんは音の出にくいシリコンであめを包み込む方法を考えていました。
【上垣内寿光さん】
「あめをなめたいと思ったら、こういうところからちぎっていく。あめを取り出して食べる」
試しに作ってみました。
【上垣内寿光さん】
「あめを出すわけです。かばんから。音がしないでしょこの時点で、これぐらいせめて音がしても。音がしている?」
【音楽仲間・福田真子さん】
「食べるまでがすごい。これは無理。ゴミが出るってこと?」
【上垣内寿光さん】
「そうか」
【音楽仲間・福田真子さん】
「押したら、むにゅっと、あめが出てくる方が…」
【上垣内寿光さん】
「売っている時点で隙間が空いている。それ自体をパッケージにビニールに入れる。それがうるさいよね」
― その1カ月半後 ―
シリコンの素材に目をつけた上垣内さんは包装資材を扱う会社の担当者も交えて話し合いを進めていました。
【上垣内寿光さん】
「ちょっと見つけたんです。これシリコンなんです。詰め替え用のシャンプーとか入れるやつ。キャップを…(回しても)。音がしないでしょ。問題はあめをどうやって出すか」
【音楽仲間・川岡光一さん】
「あめを入れとるん?」
【上垣内寿光さん】
「入れとる。出てこん」
【音楽仲間・川岡光一さん】
「やっぱりひっつくよね」
あめが湿気でひっつかないように容器を密封する必要があります。
【包装資材を扱う「本多商会」大江達也さん】
「1個1個あめをシリコンで包めば裂いて食べられるのが一番いいと思ったが、シリコンがちょっと熱でひっつかない。今、現状だと一つ一つのあめを包むのは難しい…」
新たなアイデアが必要となりました。
その後も試行錯誤が続きます。
<2020年1月>
【上垣内寿光さん】
「こういう感じに切る。切るときにノイズが出ないが硬いですね。その部分を工夫しないといけない…」
<2020年2月>
【上垣内寿光さん】
「ついに出来ました。試作品が出来たんですが、これをあめがあって梱包して、カチャンと製品にするまでの会社がまだ見つかってなくて…
<2023年6月>
【上垣内寿光さん】
「ぱっとひらめいたのは固形のあめだったら、どうしても包装しないといけない。水あめならどうだろうって至りまして」
そして、取材開始から5年の時を経て… 先月
<2024年10月>
【上垣内寿光さん】
「出来ました。ついに出来ました。これです。サイレントキャンディーです」
構想から20年。
音の出ないあめは「サイレントキャンディー」と名付けられ、ついに完成したのです。
発想のヒントは駄菓子でした。
【上垣内寿光さん】
「娘が駄菓子のゼリーみたいなのをチューって吸いながら宿題していたんです。パッと思って、これ液体だったらビニール自体はチューブだから音がしないと思って、ちょっと水あめみたいなものだったら可能なのかもしれないと思って」
チューブタイプの容器と水あめを組み合わせることで開けるときに「音のでないあめ」、
サイレントキャンディーを作ったのです。
【上垣内寿光さん】
「日本中で水あめの会社を探してみて、そしたら、喉に効くカリンを扱う会社が数社あって、ダントツでこの原田商店のカリンのあめがおいしい」
カリンの水あめは長野県にある食品会社「原田商店」が協力してくれることになりました。
【上垣内寿光さん】
「ありそうでないでしょ。ありそうでないんです、水のどあめって」
<2024年10月>
上垣内さんは、できたばかりのサイレントキャンディーを演奏会で試してもらうことにしました。
【上垣内寿光さん】
「演奏会中にどうしても緊張したりするとせきが出てしまいますよね。せきが出そうだなとか、ちょっとイガイガしてきたなっていうと舌の上に乗せてもらえれば」
<演奏>
【観客は】
Q:あめはなめました?
「はい。途中でせきが出たんですが止まって。助かります。いつもカサカサしてたので」
「開発しようという、そのひらめきというか、気持ちがすごいと思って。今の形に行き着いたのはすごい素晴らしいなって」
【上垣内寿光さん】
「きょうは本当にノイズがなかったと思うんです。それが立証できて良かった。
これでクラシックの演奏会をもっと気楽に、せきとか気にせずに楽しんでいただけるようになったらなと思うし、これが日本だけじゃなくて、今後ヨーロッパでも同じ状況ですから音楽界に広がっていけばなと思います」
上垣内さんのあめにかけた情熱が今、大きく響き渡ろうとしています。
《スタジオ》
ありそうでなかった水のど飴ということで、匹田さんにも試していただこうと思います。スタジオにもご用意いたしました。どうでしょうか
【コメンテーター:広島大学大学院・匹田 篤 准教授】(社会情報・メディア論が専門)
※試食
「チューブ状ですから、ちょっとなめただけでもあめの感じで、量を調節できることも含めて、これありっていうか、世界中ののど飴が全部これになってもおかしくないと思います。水のど飴で、とろみがある感じなんで、蜂蜜に近い食感です。そして味も華やかな味がして美味しいですね」
〇サイレントキャンディー
3本セット 1296円
<2019年11月>
今から5年前、私たちは一人の音楽家の挑戦を追い始めました。
「これは宙に浮いているわけです。中にあめがあるとしたら、まず実験でここの中にシリコンを入れてみて固めると」
彼が向き合っているのは楽器や楽譜ではありません。
お菓子の「あめ」です。
【ギタリスト 上垣内寿光さん】
「音のしないキャンディーを作りたい」
ギタリスト、上垣内寿光さん。
広島を拠点にヨーロッパやアジアなど海外でもクラシックなどの演奏会を開いています。
【上垣内寿光さん】
「演奏会中にノイズが多いんです、いろんな。その中でも最もノイズが大きいなと思ったのはあめです。せきが出るからみんなこういうあめを出すが、1個でもかなり音がするが、これが同時に5、6人したら、音楽を聴いているというより、このノイズを聞いているという感じ。この音がしないパッケージってないのかなと思って」
音楽仲間を集めて取り出すときに“音のしないあめ”を作ろうとしていたのです。
【音楽仲間・松澤佳加さん】
Q:皆さんは気になりますか?
「すごく静かな中であめを出す音はとても響きます」
【音楽仲間・福田真子さん】
「聞いていても、自分が、せきが出たときも、ああどうしようってなるから」
上垣内さんは音の出にくいシリコンであめを包み込む方法を考えていました。
【上垣内寿光さん】
「あめをなめたいと思ったら、こういうところからちぎっていく。あめを取り出して食べる」
試しに作ってみました。
【上垣内寿光さん】
「あめを出すわけです。かばんから。音がしないでしょこの時点で、これぐらいせめて音がしても。音がしている?」
【音楽仲間・福田真子さん】
「食べるまでがすごい。これは無理。ゴミが出るってこと?」
【上垣内寿光さん】
「そうか」
【音楽仲間・福田真子さん】
「押したら、むにゅっと、あめが出てくる方が…」
【上垣内寿光さん】
「売っている時点で隙間が空いている。それ自体をパッケージにビニールに入れる。それがうるさいよね」
― その1カ月半後 ―
シリコンの素材に目をつけた上垣内さんは包装資材を扱う会社の担当者も交えて話し合いを進めていました。
【上垣内寿光さん】
「ちょっと見つけたんです。これシリコンなんです。詰め替え用のシャンプーとか入れるやつ。キャップを…(回しても)。音がしないでしょ。問題はあめをどうやって出すか」
【音楽仲間・川岡光一さん】
「あめを入れとるん?」
【上垣内寿光さん】
「入れとる。出てこん」
【音楽仲間・川岡光一さん】
「やっぱりひっつくよね」
あめが湿気でひっつかないように容器を密封する必要があります。
【包装資材を扱う「本多商会」大江達也さん】
「1個1個あめをシリコンで包めば裂いて食べられるのが一番いいと思ったが、シリコンがちょっと熱でひっつかない。今、現状だと一つ一つのあめを包むのは難しい…」
新たなアイデアが必要となりました。
その後も試行錯誤が続きます。
<2020年1月>
【上垣内寿光さん】
「こういう感じに切る。切るときにノイズが出ないが硬いですね。その部分を工夫しないといけない…」
<2020年2月>
【上垣内寿光さん】
「ついに出来ました。試作品が出来たんですが、これをあめがあって梱包して、カチャンと製品にするまでの会社がまだ見つかってなくて…
<2023年6月>
【上垣内寿光さん】
「ぱっとひらめいたのは固形のあめだったら、どうしても包装しないといけない。水あめならどうだろうって至りまして」
そして、取材開始から5年の時を経て… 先月
<2024年10月>
【上垣内寿光さん】
「出来ました。ついに出来ました。これです。サイレントキャンディーです」
構想から20年。
音の出ないあめは「サイレントキャンディー」と名付けられ、ついに完成したのです。
発想のヒントは駄菓子でした。
【上垣内寿光さん】
「娘が駄菓子のゼリーみたいなのをチューって吸いながら宿題していたんです。パッと思って、これ液体だったらビニール自体はチューブだから音がしないと思って、ちょっと水あめみたいなものだったら可能なのかもしれないと思って」
チューブタイプの容器と水あめを組み合わせることで開けるときに「音のでないあめ」、
サイレントキャンディーを作ったのです。
【上垣内寿光さん】
「日本中で水あめの会社を探してみて、そしたら、喉に効くカリンを扱う会社が数社あって、ダントツでこの原田商店のカリンのあめがおいしい」
カリンの水あめは長野県にある食品会社「原田商店」が協力してくれることになりました。
【上垣内寿光さん】
「ありそうでないでしょ。ありそうでないんです、水のどあめって」
<2024年10月>
上垣内さんは、できたばかりのサイレントキャンディーを演奏会で試してもらうことにしました。
【上垣内寿光さん】
「演奏会中にどうしても緊張したりするとせきが出てしまいますよね。せきが出そうだなとか、ちょっとイガイガしてきたなっていうと舌の上に乗せてもらえれば」
<演奏>
【観客は】
Q:あめはなめました?
「はい。途中でせきが出たんですが止まって。助かります。いつもカサカサしてたので」
「開発しようという、そのひらめきというか、気持ちがすごいと思って。今の形に行き着いたのはすごい素晴らしいなって」
【上垣内寿光さん】
「きょうは本当にノイズがなかったと思うんです。それが立証できて良かった。
これでクラシックの演奏会をもっと気楽に、せきとか気にせずに楽しんでいただけるようになったらなと思うし、これが日本だけじゃなくて、今後ヨーロッパでも同じ状況ですから音楽界に広がっていけばなと思います」
上垣内さんのあめにかけた情熱が今、大きく響き渡ろうとしています。
《スタジオ》
ありそうでなかった水のど飴ということで、匹田さんにも試していただこうと思います。スタジオにもご用意いたしました。どうでしょうか
【コメンテーター:広島大学大学院・匹田 篤 准教授】(社会情報・メディア論が専門)
※試食
「チューブ状ですから、ちょっとなめただけでもあめの感じで、量を調節できることも含めて、これありっていうか、世界中ののど飴が全部これになってもおかしくないと思います。水のど飴で、とろみがある感じなんで、蜂蜜に近い食感です。そして味も華やかな味がして美味しいですね」
〇サイレントキャンディー
3本セット 1296円