部活の指導を外部へ委託 県北の中学生の「走り幅跳び」を東京の大学生がリモート指導

11/20(水) 18:40

教員の負担軽減のため学校の部活動を地域のスポーツクラブなどに委託する「地域移行」の検討が全国で進む中、広島県三次市の取り組みに注目しました。

三次市にある陸上競技場…。
この日、東京から訪れ機材の準備を進めていたのは東京学芸大学の松山直輝 講師です。

【東京学芸大学・松山直輝 講師】
「元々、部活動地域移行の研究をしていて、全国的に指導者が不足していて、なかなか移行が進まないという話があった。そういったさなかで、山間部にある三次地区も同じ状況と競技場の方からお聞きして…」

実はみよし運動公園では部活動の地域移行の一環で週に1回、市内の中学生や高校生が参加する陸上教室が開かれています。
しかし、種目によっては指導者不足に直面しているのだといいます。

そこで、今回は教え手のいない「走り幅跳び」の指導をオンラインを活用することで過疎地域における部活動の地域移行の課題解決のモデルとなるか実証研究します。

この日、指導者となったのは高校時代から全国大会の出場経験がある大学3年生の西野さん。

【東京学芸大 陸上競技部3年 西野拓志さん】
「いまからやるのは、2歩前から踏み切りまでの練習なんですけど、なんでこれをやるかというのを説明したくて…」

ただ練習するだけでなく一つ一つの練習の重要性を細かく解説します。

【東京学芸大学・松山直輝 講師】
「大学生は結構、いまスポーツをバリバリしていて、結構、好きを仕事にしたいという子が多い中で、ちょうど人材が不足している山間部と都会でスポーツが好きで教えたいという人が距離は物理的に離れているが、何らかの形で繋がったらいい循環になるかなと」


【東京学芸大 陸上競技部3年 西野拓志さん】
「右足を置いてスッと通り抜ける。通り抜ける感じで!そうそう!さっきよりいい!」

【参加した生徒】
「学校ではあまり詳しく教えてもらったことがないので、とても勉強になった」

また、三次市内の中学校で陸上部の顧問を務める教師は…。

【中学校の陸上部顧問】
「先生方によっては、部活指導を負担に思われている方もいらっしゃるのは事実だと思う。(過去に自分が経験ない種目は)どこまで指導できるか、自信がないので、専門の方からのアドバイスがいただけると助かる」

そして、今回、東京の大学と話を進めた元高校教師の出口さんは…。

【三次市陸上競技協会・出口彰 会長】
「陸上競技以外の種目にも(オンライン指導を)広げていくほうが、いまの子供たちにとって、いいんじゃないかと思う。(昔は)『怒られてでもやる』だったけど、いまは(オンラインで学び)自主的に自分たちで考えて、仲間と協力してやるというのが、必要な時代になっていると思う」

<スタジオ>
【コメンテーター:木村文子さん】(女子100mハードル元日本代表・エディオン女子陸上部アドバイサー)
「広島県の取り組みで、山間部と広島市内で課題が全然違うというのを聞いています。人材の確保であったり、また場所の確保のことを考えると、このオンラインの導入によって、また新たな視野が広がるということと、そこで出てきた課題も明確なのではと感じます」

人材の取り合いも懸念されますが、興味がある大学生が担うことで将来の人材育成にもつながることが期待されています。