注目される障がい者雇用 企業と障がい者の“懸け橋”になる人たち「まずはお互いを知ること」

11/29(金) 18:52

深刻な人手不足が問題となっている今。障がいのある人の雇用が注目されています。
障がい者雇用の問題点とは?
企業と障がい者の懸け橋になる人たちの取り組みを取材しました。

先週、広島市南区にグランドオープンした商業施設『スパイラルガーデン大州』
およそ5000平方メートルの敷地内には、小売店や飲食店のほかに、公民館や学習塾など地域の生活を支える施設も整備されています。

施設を運営する会社は・・。

【拓興産・田中慎一郎 課長】
「挑戦してみたかったことが取り組んでいけるようなそういった使い方をしてもらえれば。この広場でマルシェを開いたり、少し小さな規模にはなりますが、イベントをしたり、それを実現させるのにどのような形であれ、チャレンジできる場を作りたいという気持ちがある」

新たなコンセプトで誕生した施設で、開催されるのは、県内の20の福祉事業所によるイベントです。

【ひろしまるくと イベント事務局・小林慶太さん】
「地域とのつながり、障がい施設と一般の人とのつながり、企業とのつながり、今回は『つながり』をテーマに開催しようとなっています」

障がいのある人たちが社会や企業とつながることが今、重要な意味を持ちはじめています。

【新和金属・新谷浩之 社長】
「障がいがあるなしに関わらず、働きやすい環境にしていく上で、会社として色々な仕組みを進めていくべきだと思う。そういったことを進めていくと、自然と障がいのある人も働きやすい職場になると思う」

そう話すのは、広島市南区にある新和金属の新谷社長。
新和金属は、従業員、およそ90人のメッキ加工業などを営む会社です。
創業以来、この会社は、障がいのある人を積極的に雇用してきました。
現在、7人の障がい者がこの会社で働いています。

【新和金属・新谷浩之 社長】
「障がい者雇用をしなければいけないので、するということではなくて、同じ仕事でも、すごくやりがいをもって、長くモチベーション高く続けてくれる人が、障がいのある人では多いのも事実です」

40年以上、この会社で働く助永笑子さん。
助永さんには障がいがあります。

【新和金属・助永笑子さん】
Q:働きやすい?
「働きやすいです。みんなでコミュニケーションを取りながら、各部署に行って、聞いたりもするし、そこで聞いても受け答えしてくれるので」

この会社では、これまでの経験を活かして、2年前に、障がいがある人の一般企業への就職を支援する就労移行支援事業所、「すみっこテラス」を立ち上げました。

【新和金属・新谷浩之 社長】
「すみっこテラスは一隅を照らすという理念。目立たなくても一生懸命頑張っている人にスポットを当てようという意味を込めています」

「就労移行支援事業所」とは、障がいがある人の一般企業への就職支援を中心にしたサービスで、利用できる期間は、2年間です。
最近、利用者さんにうれしいことがありました。

【利用者】
「面接に行って合格したので。」
(おめでとうございます)
「ありがとうございます」
Q:うれしかった?
「うれしかったです」

深刻な人手不足を背景に、高齢者人材や外国人人材と並んで、障がい者人材が、注目されています。
しかし、障がい者雇用は、他の人材に比べ、優先順位が低いのが現状です。
広島市内でB型福祉事業所を運営する菊田順一さんは、お互いの戸惑いが、原因の1つだといいます。

【B型福祉事業所 ポレポレファクトリー・菊田順一 代表】
「一般の人も障がいのある人と接点がないまま、急に就職という機会で、出会ってそこから仕事上の関係で一緒になっていく。両者がお互いの付き合い方が分からないというのも要因の一つだと思う」

障がいのある人と企業や社会をむすぶイベント、「ひろしまるくと」が明日11月30日(土)この場所で開催されます。(午前11時~午後4時・スパイラルガーデン大州 広島市南区)

【ひろしまるくとイベント事務局・小林慶太さん】
「障がいがあるからできないとか、全然違っていて障がいがある人ができることはすごく多い」
【B型福祉事業所 ポレポレファクトリー・菊田順一 代表】
「まずはお互いを知ることは大事だと思うし、(お互いの)側面を見せ合うということは重要だと思う」

会場を視察する菊田さん。菊田さんの事業所もイベントに出店します。

【B型福祉事業所 ポレポレファクトリー・菊田順一 代表】
「どのような反応が起こるのか、うちの利用者も含めてワクワクが止まりません」

お互いがお互いを理解する。
障がいのある人と企業や社会をつなぐイベントが、明日11月30日、開催されます。

「ひろしまるくと」11月30日(土)午前11時~午後4時
(スパイラルガーデン大州 広島市南区)

<スタジオ>
お互いの付き合い方ということで、人手不足の中、本来で言えば、早田さん、ウイン・ウインの関係が望ましいですよね。

【コメンテーター:叡啓大学・早田吉伸 教授】(地域活性化や社会システムデザインが専門)
「これまでの社会全体、やっぱり障がい者と健常者を分けて、教育も含めてやってきたっていうところがありますので、なかなか、この接点ができなかった。これを、繋がりを作って、お互い理解し合って、多様な働く場所を作っていくことがまず大事です。その上で今度は、この雇用環境の上で、障がい者の方、保護者の方に生活をサポートしてもらっている側面もありますので、この保護者の方が高齢化を迎えるにあたって、生活面をさらにどうやって企業としてサポートしていくか。この辺も考えていくことが必要になってくるとは思います」