マイナ保険証 従来の健康保険証の新規発行停止 現場は「マイナ保険証一本化には無理がある」

12/2(月) 18:45

きょう12月2日からこれまでの健康保険証の新規発行が停止され、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」の本格運用が始まりました。
現場の声を「ツイセキ」します。

<マイナ保険証 病院の対応>
「その向きですね。このまま入れてください。顔認証か暗証番号をお願いします」

広島市内のクリニック…、12月2日朝、受付でマイナ保険証をかざす人は多く見られましたが、実際の利用率はまだ2割程度にとどまっています。

【マイナ保険証を利用 60代】
「(情報管理で)ちょっと不信感もあるんですけど、世の中の流れには逆らえないのかなというのもありますし」
【従来の保険証を利用 60代】
「マイナンバーカードをまだ持っていない。マイナンバーカードが不安だなと思っていたので、便利がよくなるところもあるので、それを信じてやろうかなと思います」

政府が「よりよい医療を受けることを可能にする」として導入を進める「マイナ保険証」。マイナンバーカードを保険証登録すると医療機関や薬局で、特定健診の結果や処方された薬の履歴が一目でわかるようになります。

さらに、突然の手術・入院で高額な医療費が発生したとしても、立て替えの心配がなくなるなどのメリットがあります。

【五十川記者】
「『顔で』を押すと、すぐに自分の顔が表示されて、いま受付が完了しましたね。手軽な感じはします」

【たにクリニック・谷充理 院長】
「まだ全部の(患者)情報が見られるわけではないので、全部がそろえばメリットが大きくなるかなと思いますけど、移行期なので、患者さんも不安なところもあるでしょうし、今は半々かなという感じがします」

しかし、今までの保険証が複雑化することに懸念もあります。
医師と歯科医師でつくる県保険医協会の調べでは、今年5月から10月までに県内の医療機関の6割以上で読み取りなどに不具合が出たことがわかりました。

【県保険医協会・堂垣内あづさ事務局長】
「まだまだシステムは最善の状況で動いていないんですね。患者さんの中にも、まだ医療機関の中にも、12月2日からどうなるのか、しっかり理解できている人ばかりではないということで、混乱が増えなければいいなと感じています」

広島県内での医療機関・薬局でのマイナ保険証の利用率は10月末の時点で2割以下…そもそもの浸透度にも課題を残します。

【県保険医協会・堂垣内あづさ事務局長】
「なかなかマイナ保険証に移行することが容易ではない人がたくさんいます。そういった問題を残したまま、マイナ保険証一本化というのはやはり無理があると思います」

きょう12月2日から完全に移行するわけではなく、従来の保険証は最長で来年の12月1日まで使うことができます。
マイナンバーカードを持っていない人や保険証登録をしていない人には申請をしなくても「資格確認書」と呼ばれる今までと同じ形態のカードが交付されることになっています。

<スタジオ>
改めて、整理しますが、従来の保険証はきょう2日で新規発行を停止しただけですので、きょう2日から使えなくなるわけではありません。
マイナ保険証を持っていない人は自動交付される「資格確認書」が実質的に従来の保険証の変わりとなります。

ただ、マイナ保険証をすでに持っている人も注意が必要です。
もし万が一、医療機関でカードリーダーがマイナ保険証を読み取らない場合、「資格確認書」ではなく「資格情報のお知らせ」をマイナ保険証と一緒に持って提示する必要があります。
「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」は別の書類です。要注意です。

山内さん、私なるべく、わかりやすくお伝えしたつもりなんですが、それでもやっぱり、ややこしいかなと思います。

【コメンテーター:TSS野球解説者 山内泰幸さん】
「正直言ってなかなか詳しいことはわかってないと思います。もう少し猶予があるので、システム的にみんなが慣れてから変えようかなと考えてしまいますよね」