将来を担う子どもたちを見守り、寄り添う『県民の警察官』広島中央署・松下堅太郎警部補
12/20(金) 20:00
地域の安心・安全を守るために活躍した広島県の警察官を毎年表彰する「県民の警察官」
今年、その「県民の警察官」に選ばれたのは、広島中央警察署に勤務する松下堅太郎警部補です。将来を担う子どもたちを見守るその姿に密着しました。
<10月31日>
人々が思い思いの仮装をし、街が活気づくハロウィーン、その中に、あたりの様子を注意深く伺う1人の男性がいました。
<若者が喫煙>
【広島中央警察署 生活安全課 松下堅太郎 警部補(54)】
「こんばんは、中央署なんじゃけど、身分確認だけさせてもらっていい?いま何歳かいの?」
【若者】
「20歳です」
【松下警部補】
「自分の生年月日、誕生日は?」
【若者】
「誕生日わからん」
【松下警部補】
「自分の生年月日がわからんなんていうのは、おかしかろう。何年生まれや」
【若者】
「16(歳)っすね…」
【松下警部補】
「じゃろ、(20歳という)うそを言うな、うそを」
【若者】
「すみません…」
広島中央警察署・生活安全課に所属する松下堅太郎 警部補。
35年の警察官人生、その半分を少年たちと向き合ってきました。
【松下警部補】
「やっぱり一つ所にとどまらずに、足を使って移動しながらしっかり見るというのが一番大事かなと思っています」
松下警部補が接しているのは思春期真っただ中の少年たち。
彼らの心を開き、話してもらうため日々試行錯誤が続いています。
<若者が喫煙>
【松下警部補】
「こんばんは。警察なんじゃけど、年いまなんぼかいの」
【若者】
「今、18っす」
【松下警部補】
「たばこは何歳からかいの」
【男】
「20からです」
【松下警部補】
「了解、了解。いま見回り途中じゃけえ、たばこをもらおうか。ほいであんまり遅くならんようにの、よろしく、ほいじゃあね」
少年たちとの接し方に正解はありません。
その中で大切にしているのは「寄り添う」こと。
【松下警部補】
「連絡がこないということは元気にやっている印かなという風に解釈しています」
相手は非行少年だけではありません。
<11月25日 広島市中区 報恩保育園>
【松下警部補】
(Q:いつもと雰囲気が違いますね)
「きょうは保育園の方(が相手)なので、より伝わるように、きょうは制服で対応させていただいています」
たとえ小さな子どもであっても警察官としての思いをまっすぐに伝えます。
【松下警部補】
「とにかく、みんなの安全は先生とわれわれ警察官が守りますから、そこは安心してください」
【園児たち】
「はいっ!」
その子どもたちから、手書きのメッセージが届くこともあります。
【松下警部補】
「話をして伝わったかなというのが、一番気になるところですけど、書いてある内容を見ると、きちんと聞いてくれているんだなと思いました。ためになっているのかなというところは喜びというか、励みというか、次につながるものはあると思います」
【広島中央警察署 三上達也 署長】
「なかなか私自らが(現場に)行くことがないので、署員が頑張っているなというのと、こういう、ありがとうという言葉は非常にうれしく思います」
そんな松下警部補を支えているのは家族の存在です。
【松下警部補】
「夜遅く帰ってきて、一人だと寂しい部分があります。本当に疲れているかなというときは、夜中でも寝とるところをドア開けてから『ただいま』と、わざと言ってみて、次の日怒られたりすることもあるんですけど」
息子の和真さんと妻の友恵さん。
松下警部補を支えるとともに良き理解者でもあります。
【長男・和真さん】
「街で歩いて、父が仕事をしているところを見かけたりすると、やはり父はこの広島を守っている人なんだなと実感します」
【妻・友恵さん】
「一番は子煩悩だなというのをすごく感じています。今も、長男を出産した時から、もうずっと。やはり誰にでも優しいというか温厚。私もちょっとわがままなことを言ったりもするんですけど、その時もちょっと受け止めてくれるというか、『母さんちょっと違うよ』とか『俺がやっとくよ』という形で。付き合って23年ぐらいになるんですけど、学校出て、警察官になりたいんじゃなくて、なる人だったんじゃないかと、すごく思います」
<11月18日>
この日は広島三大祭りの一つ「胡子大祭」
1999年には、警察と暴走族が激しく衝突し、暴走族の取り締まりが強化されるきっかけにもなりました。
松下警部補は、この騒動の翌年から少年たちの取り締まりに参加しました。
【松下警部補】
「もう全面ですよね。ああいうことがあっちゃいけないんで」
いまも忘れられない騒動の記憶。だからこそ少年たちに本気で向き合い続けてきました。
【松下警部補】
「おお!元気にやりよるか」
【若者】
「はい」
【松下警部補】
「このあいだは、ユニホームを着とったけえあれじゃったが、普通の恰好をしとったらそれなりに見えるのう。きょう、なに、もうすぐ帰るん?真面目に行きよる?」
【若者】
「はい」
【松下警部補】
「気を付けて帰りんさいよ、おやすみ!」
ときには過去に取り締まった子どもたちと再会することもあります。
そんな松下警部補を10年以上に渡り見てきた同僚は
【広島中央警察署 少年育成官 土井知子 課長補佐】
「すごく温厚で優しくて、子どもたちからも慕われて、でも本当に事件のことに詳しいんです。いまもとても頼りになる人です」
広島に住む少年たちをわが子のように気にかける松下警部補。この仕事に誇りを持っています。
【松下警部補】
「少年は将来の日本というか、ここ広島県を担う存在ですので、子どもたちと接することは、あすの広島県のために、特に自分自身が何か大きなものを担っているような気がしますし、やりがいを感じています」
警察官人生の最後まで…未来を担う少年たちを見守るため…きょうも、街へ足を運びます。
<スタジオ>
暴力事件を起こした非行少年が学校の卒業式に出席できたこともあったそうです。松下警部補にモットーを伺ったところ「強い警察官を心掛けている」ということだったんですけれども、山内さん、強い中にも温かさを感じられましたよね。
【コメンテーター:TSS野球解説者 山内泰幸さん】
「ダメなものはダメと言ってくれる優しさ。そして、別れ際の声掛けが、すごく優しいですよね。いろんな事に興味を持つ年代の方をね、大きな犯罪に巻き込まれないように、犯さないように未然に防いでくれているんだと思うんです。松下さんのような方が広島県にいてくれて、やっぱり心強いですね」
息子さんたちも「誇りに思います」というふうに話していました。
今年、その「県民の警察官」に選ばれたのは、広島中央警察署に勤務する松下堅太郎警部補です。将来を担う子どもたちを見守るその姿に密着しました。
<10月31日>
人々が思い思いの仮装をし、街が活気づくハロウィーン、その中に、あたりの様子を注意深く伺う1人の男性がいました。
<若者が喫煙>
【広島中央警察署 生活安全課 松下堅太郎 警部補(54)】
「こんばんは、中央署なんじゃけど、身分確認だけさせてもらっていい?いま何歳かいの?」
【若者】
「20歳です」
【松下警部補】
「自分の生年月日、誕生日は?」
【若者】
「誕生日わからん」
【松下警部補】
「自分の生年月日がわからんなんていうのは、おかしかろう。何年生まれや」
【若者】
「16(歳)っすね…」
【松下警部補】
「じゃろ、(20歳という)うそを言うな、うそを」
【若者】
「すみません…」
広島中央警察署・生活安全課に所属する松下堅太郎 警部補。
35年の警察官人生、その半分を少年たちと向き合ってきました。
【松下警部補】
「やっぱり一つ所にとどまらずに、足を使って移動しながらしっかり見るというのが一番大事かなと思っています」
松下警部補が接しているのは思春期真っただ中の少年たち。
彼らの心を開き、話してもらうため日々試行錯誤が続いています。
<若者が喫煙>
【松下警部補】
「こんばんは。警察なんじゃけど、年いまなんぼかいの」
【若者】
「今、18っす」
【松下警部補】
「たばこは何歳からかいの」
【男】
「20からです」
【松下警部補】
「了解、了解。いま見回り途中じゃけえ、たばこをもらおうか。ほいであんまり遅くならんようにの、よろしく、ほいじゃあね」
少年たちとの接し方に正解はありません。
その中で大切にしているのは「寄り添う」こと。
【松下警部補】
「連絡がこないということは元気にやっている印かなという風に解釈しています」
相手は非行少年だけではありません。
<11月25日 広島市中区 報恩保育園>
【松下警部補】
(Q:いつもと雰囲気が違いますね)
「きょうは保育園の方(が相手)なので、より伝わるように、きょうは制服で対応させていただいています」
たとえ小さな子どもであっても警察官としての思いをまっすぐに伝えます。
【松下警部補】
「とにかく、みんなの安全は先生とわれわれ警察官が守りますから、そこは安心してください」
【園児たち】
「はいっ!」
その子どもたちから、手書きのメッセージが届くこともあります。
【松下警部補】
「話をして伝わったかなというのが、一番気になるところですけど、書いてある内容を見ると、きちんと聞いてくれているんだなと思いました。ためになっているのかなというところは喜びというか、励みというか、次につながるものはあると思います」
【広島中央警察署 三上達也 署長】
「なかなか私自らが(現場に)行くことがないので、署員が頑張っているなというのと、こういう、ありがとうという言葉は非常にうれしく思います」
そんな松下警部補を支えているのは家族の存在です。
【松下警部補】
「夜遅く帰ってきて、一人だと寂しい部分があります。本当に疲れているかなというときは、夜中でも寝とるところをドア開けてから『ただいま』と、わざと言ってみて、次の日怒られたりすることもあるんですけど」
息子の和真さんと妻の友恵さん。
松下警部補を支えるとともに良き理解者でもあります。
【長男・和真さん】
「街で歩いて、父が仕事をしているところを見かけたりすると、やはり父はこの広島を守っている人なんだなと実感します」
【妻・友恵さん】
「一番は子煩悩だなというのをすごく感じています。今も、長男を出産した時から、もうずっと。やはり誰にでも優しいというか温厚。私もちょっとわがままなことを言ったりもするんですけど、その時もちょっと受け止めてくれるというか、『母さんちょっと違うよ』とか『俺がやっとくよ』という形で。付き合って23年ぐらいになるんですけど、学校出て、警察官になりたいんじゃなくて、なる人だったんじゃないかと、すごく思います」
<11月18日>
この日は広島三大祭りの一つ「胡子大祭」
1999年には、警察と暴走族が激しく衝突し、暴走族の取り締まりが強化されるきっかけにもなりました。
松下警部補は、この騒動の翌年から少年たちの取り締まりに参加しました。
【松下警部補】
「もう全面ですよね。ああいうことがあっちゃいけないんで」
いまも忘れられない騒動の記憶。だからこそ少年たちに本気で向き合い続けてきました。
【松下警部補】
「おお!元気にやりよるか」
【若者】
「はい」
【松下警部補】
「このあいだは、ユニホームを着とったけえあれじゃったが、普通の恰好をしとったらそれなりに見えるのう。きょう、なに、もうすぐ帰るん?真面目に行きよる?」
【若者】
「はい」
【松下警部補】
「気を付けて帰りんさいよ、おやすみ!」
ときには過去に取り締まった子どもたちと再会することもあります。
そんな松下警部補を10年以上に渡り見てきた同僚は
【広島中央警察署 少年育成官 土井知子 課長補佐】
「すごく温厚で優しくて、子どもたちからも慕われて、でも本当に事件のことに詳しいんです。いまもとても頼りになる人です」
広島に住む少年たちをわが子のように気にかける松下警部補。この仕事に誇りを持っています。
【松下警部補】
「少年は将来の日本というか、ここ広島県を担う存在ですので、子どもたちと接することは、あすの広島県のために、特に自分自身が何か大きなものを担っているような気がしますし、やりがいを感じています」
警察官人生の最後まで…未来を担う少年たちを見守るため…きょうも、街へ足を運びます。
<スタジオ>
暴力事件を起こした非行少年が学校の卒業式に出席できたこともあったそうです。松下警部補にモットーを伺ったところ「強い警察官を心掛けている」ということだったんですけれども、山内さん、強い中にも温かさを感じられましたよね。
【コメンテーター:TSS野球解説者 山内泰幸さん】
「ダメなものはダメと言ってくれる優しさ。そして、別れ際の声掛けが、すごく優しいですよね。いろんな事に興味を持つ年代の方をね、大きな犯罪に巻き込まれないように、犯さないように未然に防いでくれているんだと思うんです。松下さんのような方が広島県にいてくれて、やっぱり心強いですね」
息子さんたちも「誇りに思います」というふうに話していました。