無人航行も視野 自律航行船 旅客を乗せた試験運航はじまる 島民は「夢のよう」広島・大崎上島町

1/14(火) 19:26

広島県大崎上島町で実用化に向けた実験が進む「自律航行船」。
番組でもその動きを追ってきましたが、13日から、旅客を乗せた試験運航が始まりました。

【鈴木記者】
「いま船がゆっくりと動き出しました」

船がないと買い物にも行けなければ病院にもいけない…。
そんな離島と目的地を繋ぐ自律航行船が実用化の一歩を踏み出しました。

【大崎上島町 谷川正芳 町長】
「我が島も安芸灘諸島の8号橋という夢をもって30年前から計画が動かない。そうなると道をどう確保するかというと、船が核になっていかざるを得ない」

およそ3年半前の2021年から大崎上島を舞台に本格スタートした実証実験。
将来的には無人航行も視野に入れて、モノの運搬や暗い中での航行などを積み重ね実装に向けたギアを上げてきました。

先月上旬、広島県内のドックで作業を進めるエンジニアたち。
かつて、瀬戸内海の別の航路で使われていた船を自動で走らせるため、船の大きさ一つ一つをはかっていました。

【エイトノットのエンジニア】
Q:このサイズ感をはかっておかないと自動でもぶつかってしまう
「うまくまっすぐ行こうとしても、曲がっちゃったり、船ごとに大きさも違うし、プロペラも違うし舵も違うので」
Q:このサイズ感が初めて?
「そうですね。ちゃんと動かせるのかなというのはある。対応できる種類を増やしていったら汎用的なものになるのかなと」
Q:そういった意味でも今回の実用化は大きな一歩
「大きいですね」

そして、13日…。
自律航行システムを搭載し、竹原市の港でスタンバイする船…。

町やエイトノットは3月末までの間、竹原港から大崎上島町の港まで、フェリーの運航時間外にあたる早朝と夜間に旅客便として試験運行することにしました。

本格導入を意識し、一人1000円の運賃をもらいます。
さらに、週に1便は…。

【鈴木記者】
「いま生協ひろしまのスタッフが荷物をもって船に近づいてきています。生野島の住民が注文した荷物がいま船へと積み込まれます」

二次離島である「生野島」の住民の要望に応えるため、食材や日用品の宅配サービスを行います。

【鈴木記者】
「大崎上島からすぐ隣にあるこちらが生野島なんですが、いまそこに向かい船が曲がって港へと入っていこうとしています」

待ち受けた住民は…。

【生野島の住民は】
Q:きょうは何を頼んだ
「障子紙とか、お肉とか、ボディーシャンプーとかいろいろ」

これまで冷凍食品を買う際は、船の時間を計算する必要がありましたが、今回のサービス実現は5世帯8人の島で暮らす住民にとっても“夢のよう”だといいます。

【生野島の住民は】
「期待だね。時間がものすごく有効利用できる」

【エイトノット 木村裕人 CEO】「(およそ3年半前の)当時お約束したこと、実験で終わらずに実装までいくということが踏み出せたのかなと」

離島でのより魅力的で豊かな生活の実現へ…。
奮闘が続きます。

<スタジオ>
船が生活に根ざしているのは、瀬戸内ならでは、ですけれども、この自律航行が導入されると大きなメリットを得られそうですね。

【コメンテーター:広島大学大学院・匹田篤准教授】
「今回のこの実験というのは、コストが大幅に下がる。小さい船でもサービスができる。そして、拠点と拠点をダイレクトに結ぶというルートが実現できるようになってくる。それによって、本当に小さな島でも物流サービスが広がるというは、すごく壮大な、そして、瀬戸内ならではの実験だと思います」

人手不足解消ともなるのか、今後の展開にも注目です。