「白血病」乗り越えた古沢アナが報告 善意のリレー「献血」が危機的状況 献血者半減「若い世代の協力を」

1/20(月) 16:49

【古沢知子アナウンサー】
私の体験をもとに皆さんに知っていただきたい「献血」について取材してきました。

《VTR》
【街の人】
Q:献血で集められた血って、何に使われるかご存じですか?」
「めっちゃけがしたとかで血が足りなくなったとか」
「手術とか。(手術)くらいかな」
「手術の時とか」
「出血が多量だった時とか?」
「えー、わかんない」

《古沢知子アナ番組復帰:2022年9月》
(拍手)お帰り。お帰り古沢さん。

【古沢アナ】「うわ、緊張する」

長い闘病を経て、ここに戻ってくることができました。
私が体の異変に気付いたのは、この時から4年半前。

《ひろしま満点ママ!・2018年5月2日》
「7,6,5秒前、4、はいじゃあ行きます」

朝の情報番組「ひろしま満点ママ!」のMCを務めていた私は、身体の不調に悩んでいました。

【古沢アナ】
「朝起きるのしんどい。一日中だるい。土日は寝てばっかり。自分でも自分が嫌になってるというか」

不調に耐えられなくなり、病院で血液検査。
その翌日。

【古沢アナ】
「午前中番組に出て、着替えの部屋で電話を受けたんです、病院からの。話を聞いてそのまま病院に直行したというような状況だったから。これは、大変な病気になってしまったかもしれないと…」

医師から告げられた病名は「急性骨髄性白血病」。
そのまま抗がん剤治療が始まりました。

【古沢アナ】
「まず、だるい。吐き気。ありとあらゆる症状が出てくる感じで…」

想像を絶する副作用。
希望を胸に耐えました。
しかし、抗がん剤はがん細胞だけでなく、血液を造る細胞も壊してしまうのです。
自分で正常な血液を作ることができなくなった私が生きるためには、「輸血」が必要でした。
命をつないでくれた血液。
実は、献血された血液の半数以上が、がんなどの病気の治療に使われています。
しかし、そのことはあまり知られていません。

輸血用の血液はどのように作られているのか、広島県血液センターを訪ねました。

【古沢アナ】
「おはようございます」
【広島県赤十字血液センター 献血推進課・渡部聖子さん】
「おはようございます」
【古沢アナ】
「きょうはよろしくお願いします」
【広島県赤十字血液センター 献血推進課・渡部聖子さん】
「よろしくお願いいたします」

さっそく、センター内を案内してもらいました

【広島県赤十字血液センター 献血推進課・渡部聖子さん】
「こちらはいただいた血液を血液製剤にしていくところです」

中国・四国地方で献血された血液は、いったんこのセンターに集められます。
そしてウイルスなどの厳しい検査を経て、輸血用の血液製剤になり、各県に配分されていきます。

【供給課】
「4221、9076」
「はい」
「3729」
「はい」
「2723」
「はい」

広島県内の病院からは、毎日、血液のオーダーが来ます。
必要な血液製剤を間違いのないように確認しながら、それぞれの病院へと届けます。
保管されている冷蔵室を見せてもらうと・・・。

【広島県赤十字血液センター 学術情報・供給課 伊藤真奈美さん】
「このように、A型、O型、B型、AB型と在庫の方は並んでいて、一応、今現在は、O型が本当は5段くらい普段はあるんですが、今不足している状態で2段しかない状態になっていて、多いときはもうここから下まで在庫の方が埋まっている状態でして」
Q:きょうはもうこれしかO型はない?
「そうですね」

足りない血液は日によって違い、この日は、O型が不足。
採血から4日しか保存できない血小板は、特に不足しがちです。
血液の不足は、患者の命に関わります。

【古沢アナ】「これ、現時点でどのくらい発注がきてますか?」
【広島県赤十字血液センター 学術情報・供給課 伊藤真奈美さん】
「今でしたら50~60件くらいは本日発注の方がきている、朝イチで」
【古沢アナ】
「まだ朝9時過ぎですけど。まだこれからどんどんくる感じですよね?」
【広島県赤十字血液センター 学術情報・供給課 伊藤真奈美さん】
「そうですね。多い時では1日で150件とかは来る時があるので」
【古沢アナ】
「ここの電話で受け…あ、またかかってきた」
【血液センタースタッフ】
「はい、血液センターです」

取材中も、次々と医療機関からオーダーが入ります。

【古沢アナ】
「万が一、きょうはもうちょっと(血液が)ないよってことは?」
【広島県赤十字血液センター 学術情報・供給課 伊藤真奈美さん】
「他県も全国も協力をしているので、一番遠くて北海道からも血液製剤を調整していただく場合もございます」
【古沢アナ】
「あっ(闘病中に)きょうは北海道だね、とかって。そういえば言ってた気がしますね」
【供給課スタッフ】
「(血液製剤の)ラベルに小さく採血された土地が書いてあるんです」
【古沢アナ】
「だからかけるときに、あっ、きょう北海道だねっておっしゃってたんですね」

輸血用血液の使用数が国内でも有数の病院を訪ねました。

【血液センタースタッフ】「お世話になります。血液センターです」

この日最初に届けられた赤血球と血小板の輸血用血液です。

【古沢アナ】
「輸血受け取り一日何回くらい受け取るんですか?」
【病院スタッフ】
「4~5回?もうちょっと?あ~。これほんとに一部です」
【古沢アナ】
「発注していたものが来ないときとかっていうのもあるんですか?」
【病院スタッフ】
「血小板に関しては、その時の在庫数の状態次第ではちょっと難しい時もあるけど、まあそこらへんは先生とのやり取りとか血液センターとのやり取りで、何とかしてもらってます」

恒常的に不足している輸血用血液。
今後、さらに深刻な状況が予想されるといいます。

広島県で、年間必要な献血者数は、のべ12万人。
現在その数は確保されています。

しかし、新たに献血を始める人は、10年前の1万2千人から、約半分の6千5百人にまで減少しています。
足りない6千人分は、これまで献血してきた人が繰り返し協力することで、何とか成り立っているのです。

【古沢アナ】
「新しい人がいないという事は、若者の献血者が少なくなっているっていう事ですよね」

【広島県赤十字血液センター所長・麻奥英毅医師】
「そうです。今、献血者の中心は50代、それから60代前半の方が中心になってます。その世代っていうのは、30年前の20代・30代で、その世代がずーっとそこから10年経っても中心で、さらに20年経っても中心で、現在でも中心になって献血に協力していただいている。
今これから先は、その世代はどんどん卒業して行かれますので、急激に献血をする人が減っていくという危機感が、すごく我々にある」

私の命を支えてくれた多くの人からの善意の血。
その現状が、ここまで危機的であるということを私も初めて知りました。
今でも、多くの患者が輸血を待っています。
この善意の血のリレーが途切れることのないように心から願います。

【古沢アナ】
「こうして協力してくださっている皆さんに、本当に心からありがとうございますと伝えたいです」