核兵器禁止条約発効から4年 廃絶への道のり遠く…「日本が核保有国と非保有国との真の橋渡しを」

1/22(水) 18:44

発効から22日で4年となる核兵器禁止条約を掘り下げます。
核兵器をめぐる世界情勢はどのように変わったのでしょうか。

2017年に国連で採択された「核兵器禁止条約」。
核兵器の開発、実験、製造、保有、使用などのあらゆる活動を禁止し、広島・長崎の被爆者の苦しみが明記された史上初の条約でした。
同じ年、この条約の実現のため世界規模で核の非人道性を訴えてきた『ICAN=核兵器廃絶国際キャンペーン』がノーベル平和賞を受賞しました。
採択からおよそ3年で条約に署名・批准した国が50カ国に達したことで、ちょうど4年前の2021年1月22日。
核兵器禁止条約は「発効」しました。

しかし日本は、唯一の戦争被爆国であるにもかかわらず、この条約に署名も批准もしていません。
当時菅総理大臣は国会で…
【菅義偉 首相(当時)】2021年1月22日
「核兵器国のみならず多くの非核兵器国からも支持を得られていない。当条約に署名する考えはなく、またオブザーバー参加も含め締約国会議への関与については慎重に見極める必要があると考える」

日本政府は核兵器保有国と非保有国の双方が加わるNPT=核拡散防止条約の枠組みなどを通じて、双方の橋渡しとなり核軍縮を呼びかけていく考えを示してきました。

しかし、そのNPTでも2015年と2022年に開かれた再検討会議は、2回連続で決裂して終わり核軍縮の議論は停滞…。
おととし、G7広島サミットでは核兵器保有国も含めた世界各国の首脳らが被爆地に集うという歴史的な瞬間もありましたが、ロシアのウクライナ侵攻は続き、核兵器の脅威が身近に迫るなど世界情勢に明るい兆しは見えていません。

そんな状況に一石を投じるニュースが…

日本被団協のノーベル平和賞受賞です。
核兵器が二度と使用されてはならないと訴え続けた長年の証言活動が評価されました。
世界が、人道的な観点から核兵器をめぐる問題に注目している今こそ、「核兵器禁止条約」を前に進めるために日本の姿勢が問われています。

<スタジオ>
核兵器に関する国際的な条約として1970年にできたNPT「核拡散防止条約」があります。
これは、核を持っている国も持っていない国も条約に参加していますが、アメリカ、ロシアなど5カ国を「核兵器国」と認めていて、非保有国からの不満があがっていました。

そこで、NPTとは違った枠組みとして、核兵器の保有や開発実験などあらゆることを禁じた核兵器禁止条約ができます。
発効から4年、現在、94の国と地域が署名、このうち73の国と地域が批准しています。(去年9月時点)

これらの国が集まる締約国会議が、これまで2022年、2023年と開催されていまして、NATO=北大西洋条約機構の加盟国であり、この条約に参加していないドイツ・ノルウェーオランダなども「オブザーバー」として参加しているんですね。

今年3月3日からは第3回の締約国会議がアメリカ・ニューヨークで開かれ、日本被団協のノーベル平和賞受賞をうけての議論に期待が高まっています。

さて今週も高校生コメンテーターに参加いただきますが、
崇徳高校新聞部の洲濱さん核兵器禁止条約の発効から4年ですがどう感じていますか?

【崇徳高校新聞部 副部長2年 洲濱 侑さん】
「核兵器禁止条約は多くの国が加盟していて、今後の核兵器廃絶という大きな目標に対してはとても大切だと思うんですけど、一方でアメリカだったりロシアだったり、核兵器保有数上位の国が加盟していなくて、それに対して本当に意味があるのかなって感じました。また、このVTRを見て思ったんですけど、日本は第3回締約国会議にオブザーバー参加する可能性ってあるんですか」

石破総理大臣は去年11月、オブザーバー参加を求める公明党の斉藤鉄夫代表に、
「同じ核の傘の下にあるドイツがどのような議論があってオブザーバー参加に至ったのか検証が必要」などと答えていました。

しかし今月に入り日本被団協の箕牧智之代表委員ら被爆者、そして広島市の松井市長も相次いで石破総理大臣と面会し、オブザーバー参加を呼びかけましたが、未だに明確な答えは得られていません。

アメリカの核の傘の下にいる以上、一切の核兵器をなくす条約に日本が署名・批准するのは難しいという現実的な意見もあります。
しかし、被爆地・広島からはまず第一歩として被爆国である日本が締約国会議にオブザーバー参加することで、核を持っている国と持っていない国との真の「橋渡し」ができるとの声が多いのが現状です。