西広島バイパス高架延伸 22年ぶりに動き出す 渋滞緩和と騒音軽減に期待 完成まで7~8年 

1/23(木) 19:01

西広島バイパスの高架延伸事業が22日夜、22年ぶりに動き出しました。

【向井記者】
「準備工事初日は中央分離帯に生えているつたの撤去作業から始まりました」

22日夜始まった準備工事。
まずは西区観音本町から中区住吉町までのおよそ1キロの区間で、中央分離帯や標識などが撤去される予定です。
また、工事期間中は午後10時から翌朝の午前5時まで一部区間で交通規制が行われます。

22年ぶりに再開する西広島バイパスの高架延伸事業は西区観音本町から中区平野町の2.3キロで計画され完成すれば広島市中心部を「信号ゼロ」で通行できることになります。

交通環境の改善が広島の街にどのような効果があるのでしょうか。

気になるニュースを掘り下げる「ソレナニ」のコーナー広島市政担当の久保田記者です。

ーー22年ぶり、ずいぶん時間がかかりましたね。

長い長い歴史があります。
西広島バイパスとは、廿日市市地御前から中区平野町まで19.4キロの区間を指していまして。
なんと最初の計画は今から60年前の1965年に持ち上がっています。

広島市中心部で見ますと、今回は最終地点の中区平野町まで2.3キロが対象です。
前回の工事は1999年に庚午北から始まり…22年前、2003年にに西区観音本町でストップしています。

ーー22年前はどうして止まったのでしょうか。

なぜ工事が止まったのか?「財政難」と「騒音問題」

まず、「財政難」が挙げられます。
当時総工費およそ300億円うち3分の1が広島市の負担でしたが2003年に「財政非常事態宣言」を出し延伸を中断しました。
2019年の国の試算では総工費がおよそ450億円に増えていますが、広島市によりますと、費用対効果は指標を上回るとしています。

もうひとつ、再開のきっかけとなったのは「騒音問題」です。
2000年に沿線住民が騒音被害の損害賠償と延伸工事差し止めを求めて提訴しました。
その後、2015年に最高裁の判決では国と広島市に損害賠償を認めた一方、延伸工事の差し止めは認めなったんですね。
訴訟問題を終えたことも西広島バイパスの延伸事業を後押ししたと思われます。

完成すれば「渋滞緩和」「騒音軽減」に効果

ーー具体的にはどのような「影響」「効果」が見込まれる?

まず渋滞の緩和です。
高架を通ることで、地上道路の交通量が最大で約5割減少するという予測が出ています。

次に騒音の軽減です。
大型車の8割が高架を通るというデータも出ているので、沿道の騒音の改善が見込まれています。

今回の事業の担当者は期待感を次のように話していました。

【広島国道事務所工務課・岸本達彦工務課長】
「第一には都心部への流入が円滑に行われるということが挙げられます。広島市の活性化、都市の成長に欠かせない事業だと考えております。1日も早い完成を目指して安全第一で作業を進めていきたい」

都心のさらなる活性化が期待される一方で、事業費の行方は注目していかなくてはならないと思っています。

完成までの期間は7~8年とされていて、いよいよ夏以降に本格的な工事が再開します。