中学校部活動の「地域移行」 指導スキルを学ぶ研修会 トップチームが指導者育成 広島

1/28(火) 19:02

教員の負担軽減のため学校の部活動を地域のスポーツクラブなどが代替する「地域移行」。指導者を育成するための研修会でその実情を取材しました。

先週末、広島市内の体育館で開かれた研修会。
集まったのは…。

【県内の中学校に勤める バレーボール部顧問】
「初めてバレーボール部をもったので練習メニューとかがわからなくて…」

国が2023年度からの3年を「改革推進期間」と位置づけ、全国各地で運動部活動の「地域移行」に向けた取り組みが進む中、県が主催した研修会です。
この研修会で、課題となる指導者の確保や育成の支援としてトップチームから指導スキルを学ぶことができます。

Q:ノートもびっしり
「そうですね…すぐ忘れちゃうので…」

こちらの男性は、一般企業に勤めながら広島市立の中学校で平日と土曜日の部活動を教えている「部活動指導員」。
顧問の先生が忙しく部活動に立ち会えないことも多い中で、実技指導や大会の引率、用具の点検・管理などの役割を担っています。

広島市が2022年に行ったアンケートでは、およそ8割の教員が「休日に部活動」を行っており、そのうちのおよそ7割は休日の指導を「希望していない」と回答。

経験のない中で指導に負担感を感じたり休日の大会引率など古くからあった課題が、働き方改革とともにより一層、顕在化しています。
そうした中、国は地域の人材を活用し、複数の学校が一つの部活を行う「地域連携」や、地域が運営主体のクラブ活動に部活動を代替する「地域移行」への改革を進めています。

【県内の中学校に勤める バレーボール部顧問】
「悩ましいところですよね…やりたい部分もあれば…休みたい部分もあれば…」
Q:顧問になると休めない?
「そうですね、週1が休みだったり試合が続くと3週間休みがなかったりとか…」

【県内の中学校に勤める バレーボール部顧問】
「私は部活でしか見れない生徒の姿もあったりするので、部活を全てなくすというのはちょっと残念かなという気はしている。勤務時間だったり私もバレー部じゃないときはすごくつらいなと思っていた時もあったので、自分が教えられない部活だとまた違うかなと思うので、顧問の先生にすごくよるものだなと思う」

一方、県内では去年11月に、三次市で指導者不足になっている陸上種目を東京の大学生がオンラインを活用して指導する実証研究も行われています。
過疎地域での移行には都市部以上に課題が多いとされますが、今回、三次市から参加したのは生徒の保護者です。

【三次市から来た保護者】
Q:中学校はバレー部ある?
「ないんですよ。ないので経験者の保護者がみんなを教えている。小学校と中学校が一緒になってバレーな好きな子が集まってバレーの好きなお母さん方が教えている」
Q:いまゼロのところが1になればいい?
「そうなんですよね、それは希望なんですけど…人数が少ないというのがネックで…」

それぞれの立場で複雑な心境を抱えながら、生徒のために努力を重ねる参加者たち…。

【広島県スポーツ推進課・田口新也課長】
「それぞれの地域ごとの課題は異なるので、広島県以外の他の自治体の事例も参考にしながら進めていく」

《スタジオ》
私が学生の頃は部活は本当に当たり前に日常にあるものだったので、ちょっと驚くところもありますけれど、教員の皆さんの働き方改革、それから少子化で、なかなかチームスポーツを行うにも人数が足りない。こういう課題も解決して行く必要があるということです。

東広島市では、2027年度から休日は新たな環境でのスポーツ・文化・芸術活動に変わるということです。
これはどういうことかと言いますと、平日休日と別れておりますが、25年度、26年度に関しては休日の部活も普通にありますが、27年度から平日は学校で部活を行い、休日は地域で活動を行っていくということになるわけです。

どういうイメージになるかと言いますと、例えば様々あります。
「学校部活動移行型」というのは、各校の部活動を地域クラブに移す。そのまま対応するというような形になろうかと思います。
それから、この「合同チーム型」は、人数が足りないっていうところがあったりしますので、複数の学校の生徒を集めて地域クラブ活動でやっていく。
あるいはこの「地域サークル型」。もうすでにチームがあり、そこにさまざまな活動に加わっていくという形です。
「ニュースタイル型」は、週替わりで種目を変えるなど、これまでの一般的な部活の考え方と大きく異なるものもあります。

そして気になるポイントもまとめました。
まず、平日に学校の部活に入っていても、休日の活動は希望者のみになるということ。
それから地域クラブへの参加費は、基本的には参加者の会費などで賄っていくということです。
そして、平日の学校の部活動は当面継続ですが、段階的には縮小を目指して行くということになっています。