福山主婦殺害事件 注目の判決は12日言い渡し 争点はDNA型鑑定 竹森被告の犯行が認められるか 

2/11(火) 18:55

24年前、福山市の住宅で主婦が殺害された事件で、
殺人などの罪に問われている男の裁判員裁判は、12日、注目の判決を迎えます。
裁判での争点は「DNA型鑑定結果の判断」。
ここからは裁判を取材した毛利記者に解説してもらいます。
よろしくお願いします。

【毛利記者】
「よろしくお願いします」

Q:長い間未解決だった事件がDNA型鑑定をきっかけに動いたんですね。

【毛利記者】
「そうなんです。今回の裁判の争点はDNA型鑑定の結果です。
現場に残されたDNA型と竹森幸三被告(70)のDNA型が一致すると言えるかどうかが、竹森被告による犯行なのかどうかを認定する上で大きなポイントになります。検察側はDNA型が一致すると主張していて、反対に弁護側は『一部一致しない』と訴えています」

Q:一部一致しないとはどういうことですか。

【毛利記者】
「現場に残された血痕のDNA型鑑定は2005年と2007年、2020年と去年の4回行っています。
このうち、2020年と去年に行われた結果の一部が一致しておらず、弁護側は竹森被告のものであれば完全に一致するはずとして、竹森被告のDNA型ではないと主張しています。

一方、証人尋問でDNA型鑑定の専門家は、検察側が提出した血痕について、竹森被告人のDNA型が多く含まれるとしました。
また、弁護側が一部一致しないと指摘した部分については、被告人のDNAが含まれる可能性を否定できないと表現しました。
検察側は一致しないことはありえることで、DNA型は竹森被告のものと主張しています」

兵庫県警の科捜研で11年間勤務した福山大学の大杉朱美准教授は、「科学捜査の中で、DNA型鑑定は最も強力なものと言っても過言ではない。多くが一致したのであれば、その場にその持ち主がいたことを疑うのは難しい」と指摘します。

一方で、別の専門家はDNA型鑑定だけでは、竹森被告の犯行を証明するのは難しいと指摘しています」

【広島大学大学院・吉中信人教授】
「その現場にいたと、DNA型鑑定の科学的な信頼性というものが証明しつくされたとしても、せいぜいそこまでなんだろうと思う。ここからそれを飛び越えて、被告人が殺人を間違いなくしたということを証明しきれてるかというと、私はかなり疑わしさが残るなと思っている。
『もう犯人なんだろう』とやってしまうのは、刑事裁判の大原則からすると非常に危険なことで、犯人でない人を誤って処罰してしまうということになれば、これはもう取り返しのつかないことになる」

Q:DNA型の一致はその場にいたことを証明しても犯人であることには行きつかないということなんですね。
そのほかに裁判で明きらかになっていることは?

【毛利記者】
「竹森被告は、被告人質問で『釣り場の確認に行っていた』などとアリバイを述べて事件現場に行ったことはないと主張しています。
動機などもわかっていません。

弁護側は終始一貫無罪を主張する一方、検察側は状況証拠などをふまえて事件当時の刑法の有期刑で一番重い懲役15年を求刑しました。

注目の判決はあす12日、午後3時に言い渡されます」