宮島・高級宿の誘致計画 「高価格帯だけに限らない」松本市長が方針転換 キャンプ場も 広島・廿日市市

2/27(木) 18:43

廿日市市が宮島に誘致しようとしてきた高級宿泊施設の計画をめぐり松本太郎市長は反対住民の声を受け、「高価格帯だけに限らない」とする新たな方針案を示しました。

【廿日市市・松本太郎 市長】
「収益事業を高価格帯の施設一択でやっていましたけど、協議会の中で、それ一択ではなくて、もう少し幅広く考えてはどうかというご意見をいただきましたので、少し幅広く検討できるような形で方針をまとめました」

宮島の東側・包ヶ浦自然公園に浮上していた高級宿泊施設の計画。
市と住民らが利活用の方針を話し合う協議会が非公開で開かれ、新たにキャンプ場などを含む「野営場」の誘致も含めた修正案が示されました。

これまで、市は包ヶ浦自然公園に1室1泊平均10万円以上の高級宿泊施設を誘致し、主に海外からの富裕層を呼び込む構想を掲げてきました。

地域全体への経済波及効果を押し上げる狙いでしたが、地元住民からは「自然破壊を招くのでは」「公園が旅行者だけのものになる」などと、反対の声も根強く、署名活動も起きました。

修正案は、これまで懸念が大きかった「自然保護」に配慮する形で、「高価格帯」の一択に限らず、キャンプ場を含む「野営場」など幅広く裾野を広げた形です。

【計画の白紙撤回を求めてきた正木文雄さん】
「(これまでは)高級施設ありきで話が進んでいた高級宿泊施設じゃなくて、会議の中でだいぶ修正してきて、このまま放っておけない部分もありますので、少し前進したのかな」

【廿日市市・村上雅信 副市長】
「経済にも環境にもいい形が出来上がった。一つの方針になったと思いますので、今回、ある一定の前進出口が見えたなと」

市は来月下旬にも住民説明会を開き、早ければ今年6月の補正予算で事業者の公募などに必要な手続きを進めたいとしています。

記者の目

<スタジオ>
【記者の目】
包ヶ浦自然公園は宮島の桟橋をおりて厳島神社や商店街と反対側にあります。
海と山に囲まれ自然が豊かですが、取材した五十川記者によりますと、元々あった施設は老朽化などで利用者数の低迷が続き、およそ30年前は年間16万人が利用しましたが、近年は3分の1以下まで落ち込んでいました

近年は年間2000万円程度の赤字を計上、指定管理者も撤退し施設は使えなくなっていました。

利活用案の決定は公園の空洞化を防ぐ鍵を握ります。