多様性の時代 被災者のための「避難所」を考える 要介護者、トイレ、ペット問題…個々が生き抜ける場所に
3/11(火) 19:58
東日本大震災から14年、過去の災害の経験から、新たな防災、減災の研究が広島県内でも行われています。
中でも、注目されているのが、多様性の時代に対応する避難所の設置と運営です。
奮闘する防災リーダーたちの取り組みを取材しました。
<一部津波の映像があります>
先月、県庁の講堂で行われた研修会。
集まったのは、県内で、避難所の開設と運営のアドバイザーを務める防災リーダーたち。
彼らのスキルアップを目的とした研修会です。
2011年に発生した東日本大震災から、14年目となる今年。
その後も発生した数々の災害の経験から、災害への備えが、研究されています。
その1つが、避難所の設置と運営です。
防災のコンサルタントを務める専門家は、避難所の大切さを指摘します。
【サイエンスクラフト・元谷 豊 取締役】
「人は災害後に体を壊して、環境によって自分の状況が悪化するので、それを何とか食い止める。あるいは、よりよい環境にしていくためには事前に、そこをみんなで考える環境作りをして、何とか生き抜ける避難所作りをする」
避難所は、被害を受けた人が、一定期間、避難生活をする場所です。
東日本大震災では、発災から1週間後には、2千カ所以上の避難所が開設され、38万人以上が避難しました。
熊本地震では、直接死が、50人だったのに対し、負傷の悪化や避難生活などでの身体的負担によって、その4倍以上の223人が亡くなりました。
研修は、避難所を開設する実動訓練です。
広島市で、最大震度6強の大規模地震が発生。
避難者は11世帯、18人。
妊婦や体が不自由な人、介護の必要な高齢者も含まれているという想定です。
作業は3チームに分かれて行われます。
中でも、注目されているのが、多様性の時代に対応する避難所の設置と運営です。
奮闘する防災リーダーたちの取り組みを取材しました。
<一部津波の映像があります>
先月、県庁の講堂で行われた研修会。
集まったのは、県内で、避難所の開設と運営のアドバイザーを務める防災リーダーたち。
彼らのスキルアップを目的とした研修会です。
2011年に発生した東日本大震災から、14年目となる今年。
その後も発生した数々の災害の経験から、災害への備えが、研究されています。
その1つが、避難所の設置と運営です。
防災のコンサルタントを務める専門家は、避難所の大切さを指摘します。
【サイエンスクラフト・元谷 豊 取締役】
「人は災害後に体を壊して、環境によって自分の状況が悪化するので、それを何とか食い止める。あるいは、よりよい環境にしていくためには事前に、そこをみんなで考える環境作りをして、何とか生き抜ける避難所作りをする」
避難所は、被害を受けた人が、一定期間、避難生活をする場所です。
東日本大震災では、発災から1週間後には、2千カ所以上の避難所が開設され、38万人以上が避難しました。
熊本地震では、直接死が、50人だったのに対し、負傷の悪化や避難生活などでの身体的負担によって、その4倍以上の223人が亡くなりました。
研修は、避難所を開設する実動訓練です。
広島市で、最大震度6強の大規模地震が発生。
避難者は11世帯、18人。
妊婦や体が不自由な人、介護の必要な高齢者も含まれているという想定です。
作業は3チームに分かれて行われます。
このチームは、住居スペースの整備を担当します。
<住居チーム>
「1人世帯が7世帯と3人世帯が1世帯の10人です」
10人の避難者を受け入れるスペースを作らなければなりません。
避難者、1人あたりのスペースは、2平方メートル以上が基準になります。
<住居チーム>
「通路を初めに決めておかないといけない。全部くっつけてしまうと他の人のスペースを歩いて行って、それをやられた方がストレスになるので、最初に通路を設けてレイアウトしていくのが大切だと思います」
Q:都市計画と同じですね?
「そうですね」
段ボールベッドが足りないところは、イスを組み合わせて、簡易ベッドを作りました。
さらに・・・
<住居チーム>
「お風呂どうします」
風呂資材の中には、簡易タイプのお風呂もあります。
<住居チーム>
「ここの中に入れて、こうする、そうすると見えなくなる」
そして、完成したのがこちら。
<スペースを仕切られた簡易浴槽とシャワー>
「避難所には、生活に必要な様々な機能や相談窓口が必要です」
<住居チーム>
「ペット」
ペットを連れての避難も大きな課題の1つです。
近年、ペットと一緒に過ごせる避難所もできましたが、その数は、まだまだ、少ないのが現状です。
アレルギーなどの問題もあり、ペットを連れての避難は、今後の課題の1つです。
<住居チーム>
「1人世帯が7世帯と3人世帯が1世帯の10人です」
10人の避難者を受け入れるスペースを作らなければなりません。
避難者、1人あたりのスペースは、2平方メートル以上が基準になります。
<住居チーム>
「通路を初めに決めておかないといけない。全部くっつけてしまうと他の人のスペースを歩いて行って、それをやられた方がストレスになるので、最初に通路を設けてレイアウトしていくのが大切だと思います」
Q:都市計画と同じですね?
「そうですね」
段ボールベッドが足りないところは、イスを組み合わせて、簡易ベッドを作りました。
さらに・・・
<住居チーム>
「お風呂どうします」
風呂資材の中には、簡易タイプのお風呂もあります。
<住居チーム>
「ここの中に入れて、こうする、そうすると見えなくなる」
そして、完成したのがこちら。
<スペースを仕切られた簡易浴槽とシャワー>
「避難所には、生活に必要な様々な機能や相談窓口が必要です」
<住居チーム>
「ペット」
ペットを連れての避難も大きな課題の1つです。
近年、ペットと一緒に過ごせる避難所もできましたが、その数は、まだまだ、少ないのが現状です。
アレルギーなどの問題もあり、ペットを連れての避難は、今後の課題の1つです。
<やり取り>
「足の不自由な方がいるので、その人のベッドも必要なので、最低2つはいる。それでいいですね」
ベッドを手に入れたのは、要配慮者と呼ばれる人たちのスペースを整備するチームです。
要配慮者とは、高齢者、障がい者、妊産婦など、一般の避難所で、生活が困難になりがちな人たちをいいます。
<要配慮者チーム>
Q:テントになるんですね?
「要配慮者の方は赤ちゃんの授乳などをする時に(テントの)中でないとだめでしょう」
去年9月、広島市西区で発生した大規模な陥没事故。
この時、開設された避難所では、一般の避難者のスペースも、プライバシーの保護と感染症対策などを考慮して、テントで仕切られました。
避難所の環境は、年々、改善されていますが、全員に行き渡るのかという問題も残っています。
<トイレチーム>
このチームは、トイレスペースの整備を担当します。
男女だけでなく、体に障がいがある人などが使用するトイレも必要になります。
【参加者は】
Q:そうなると高さがしんどい?
「そう高さがないので・・」
車イスで入るには、天井が低すぎました。
【参加者は】
「(テントを)斜めにします。ちょっと斜めにして」
資源が限られている被災地では、あるもので何とかする創意工夫が要求されます。
テントを斜めにして、何とかすることにしました。
「足の不自由な方がいるので、その人のベッドも必要なので、最低2つはいる。それでいいですね」
ベッドを手に入れたのは、要配慮者と呼ばれる人たちのスペースを整備するチームです。
要配慮者とは、高齢者、障がい者、妊産婦など、一般の避難所で、生活が困難になりがちな人たちをいいます。
<要配慮者チーム>
Q:テントになるんですね?
「要配慮者の方は赤ちゃんの授乳などをする時に(テントの)中でないとだめでしょう」
去年9月、広島市西区で発生した大規模な陥没事故。
この時、開設された避難所では、一般の避難者のスペースも、プライバシーの保護と感染症対策などを考慮して、テントで仕切られました。
避難所の環境は、年々、改善されていますが、全員に行き渡るのかという問題も残っています。
<トイレチーム>
このチームは、トイレスペースの整備を担当します。
男女だけでなく、体に障がいがある人などが使用するトイレも必要になります。
【参加者は】
Q:そうなると高さがしんどい?
「そう高さがないので・・」
車イスで入るには、天井が低すぎました。
【参加者は】
「(テントを)斜めにします。ちょっと斜めにして」
資源が限られている被災地では、あるもので何とかする創意工夫が要求されます。
テントを斜めにして、何とかすることにしました。
【参加者は】
「奥が女性」
「本当だったら奥が女性の方がいい」
「導線的には・・・(奥から)女性、配慮避難者(ケアが必要な避難者)男性の順番」
女性用トイレの配置。
「人が多いと入りづらい」との配慮から、男性が選んだ場所は、1番奥。
しかし、女性の意見は違いました。
【参加者は】
「順番は女子トイレ、車いす用(配慮避難者用)、男性用ということで、女性は何かあった時に、音を出したり、叫んだりしたら分かるように、防犯上の理由で1番手前に置きました」
女性の意見は、男性の逆だったのです。
避難所は、避難者を中心にした自治組織によって、運営されることが望ましいとされています。
【サイエンスクラフト・元谷 豊 取締役】
「今までみたいに男性は、女性は、というのではなくて、男性の中だけでも一人一人の生活が違う。女性の中でも全然違う。これは世代でも、そういうかたちで個々のニーズに合った環境作りが徐々に求められてきている」
快適な避難所を作るためには、様々な立場の人が参加して、意見を出し合うことが大切なのです。
【サイエンスクラフト・元谷 豊 取締役】
「災害対応というのは、発災直後からしても難しい。事前にそこに避難する様々な人たちが自分の状況に合わせた環境作りをどのようにしていけるかをみんなで一緒に考えていく。そこにはいろいろな人が参画する。それが大事になってきている」
「奥が女性」
「本当だったら奥が女性の方がいい」
「導線的には・・・(奥から)女性、配慮避難者(ケアが必要な避難者)男性の順番」
女性用トイレの配置。
「人が多いと入りづらい」との配慮から、男性が選んだ場所は、1番奥。
しかし、女性の意見は違いました。
【参加者は】
「順番は女子トイレ、車いす用(配慮避難者用)、男性用ということで、女性は何かあった時に、音を出したり、叫んだりしたら分かるように、防犯上の理由で1番手前に置きました」
女性の意見は、男性の逆だったのです。
避難所は、避難者を中心にした自治組織によって、運営されることが望ましいとされています。
【サイエンスクラフト・元谷 豊 取締役】
「今までみたいに男性は、女性は、というのではなくて、男性の中だけでも一人一人の生活が違う。女性の中でも全然違う。これは世代でも、そういうかたちで個々のニーズに合った環境作りが徐々に求められてきている」
快適な避難所を作るためには、様々な立場の人が参加して、意見を出し合うことが大切なのです。
【サイエンスクラフト・元谷 豊 取締役】
「災害対応というのは、発災直後からしても難しい。事前にそこに避難する様々な人たちが自分の状況に合わせた環境作りをどのようにしていけるかをみんなで一緒に考えていく。そこにはいろいろな人が参画する。それが大事になってきている」
<スタジオ>
災害はいつ起きるかわからないですから、当然この避難所生活というのもある日突然避難所に行かなくてはいけないということで、私も西日本豪雨の際には避難所に取材に行きましたけれども、皆さんやはりストレスを感じられている場面も多く感じられました。
能登半島地震の際にはイタリアや台湾の避難所がプライベートの確保などかなり進んでいるというふうに話題になったことがありました。それから国際基準というものがありまして1人当たりの居住スペースですとか、水の確保量、こういったものを定めている指標もあるわけです。
このように世界中に様々な事例があるわけですから、こういったことを参考にしながら、自治体だけに頼らずボランティアの力も借りて、様々な選択肢を考えていくことが今後の避難所作りのヒントになりそうです。
災害はいつ起きるかわからないですから、当然この避難所生活というのもある日突然避難所に行かなくてはいけないということで、私も西日本豪雨の際には避難所に取材に行きましたけれども、皆さんやはりストレスを感じられている場面も多く感じられました。
能登半島地震の際にはイタリアや台湾の避難所がプライベートの確保などかなり進んでいるというふうに話題になったことがありました。それから国際基準というものがありまして1人当たりの居住スペースですとか、水の確保量、こういったものを定めている指標もあるわけです。
このように世界中に様々な事例があるわけですから、こういったことを参考にしながら、自治体だけに頼らずボランティアの力も借りて、様々な選択肢を考えていくことが今後の避難所作りのヒントになりそうです。