「手話は言語である」広島県が条例制定へ 障がい者が意思疎通できる環境づくりへ 検討会が初会合

3/11(火) 19:19

広島県は、10日「手話言語条例」と「情報コミュニケーション条例」を年内に制定にするための検討会議を開催しました。

この2つの条例は、何かというと、こちらです。
「手話言語条例」は、「手話は言語である」という認識のもとに、手話言語への理解や普及の促進を目的としています。

「情報コミュニケーション条例」は全ての障がい者の特性に応じて情報の取得利用や意思疎通ができる環境を構築するという目的があります。
この2つの条例制定に向けた取り組みが、スタートしました。

県庁講堂で開かれた第1回の検討会には障がい者関連団体の代表者など17人が参加しました。
2つの条例は、重複する部分もあるため、1つにまとめた「一体型」になるケースも多いのですが…

【検討協議会 事務局】
「2つの条例を同時に別々に制定する別建て型としたいと考えている」

2つの条例を別々に制定することには、理由がありました。

【広島難病団体連絡協議会・西河内靖泰 会長】
「ろう者が受けてきた差別的な状況を踏まえた手話言語条例が必要ではないかと」

手話は、政府によって、使用が禁止された過去がありました。

【広島県ろうあ連盟・迫田和昭 理事長】
「私たちの背景の中に手話を禁止されていた。私たちろうあ者の権利を奪われたという歴史背景があった。これから手話言語条例が制定されたあとは手話を言語として認めるという事になる」

障がい者の歴史や文化を理解することが、共生社会の実現には必要だと考える一方で…

【広島県難聴者・中途失聴者支援協会 伊達元一郎 理事長】
「私たち手話のできない、聞こえない難聴者や中途失聴者が(全国に)800万人から1千万人いるといわれています」

手話の普及だけでは、対応できない聴覚障がい者もいます。
難聴者や人生の途中で聴力を失った中途失聴者の中には、手話を覚えることが難しい人もいるといいます。

【広島県難聴者・中途失聴者支援協会 伊達元一郎 理事長】
「県知事の定例記者会見でテレビを見ていても、県知事の話す言葉が、手話通訳があるだけで文字が出ていません。これは不公平だと思います」

障がいの違いによって、障がい者同士の思いも様々です。
しかし、その垣根を越えて、今、新たな条例作りが動き始めました。

【広島県福祉局障害者支援課・畝本孝彦 自立支援担当監】
「求める内容も様々ですし、熱いご意見を頂きました。これから頂いたご意見を整理していきながら取りまとめていきたいと思います」

<スタジオ>
現在、「手話言語条例」は40都道府県で制定されていて、「情報コミュニケーション条例」は14道府県で制定されています。

県は、今年、11月に、日本で初めて開催される聴覚障害者の国際的なスポーツ大会、「デフリンピック」までの条例制定を目指しています。