北広島町で奮闘する「ハルちゃん」に密着 じわじわ人気!動画で町の魅力を発信 きっかけは神楽愛

3/25(火) 20:30

ハルちゃんは「レッツらモー!」と元気よく町に飛び出す

地元の人に溶け込み、動画で北広島町の魅力を発信し始めた20代の若者がいます。
ステージでも奮闘する「ハルちゃん」の正体に迫ります。

《映像提供:北広島町観光協会 公式インスタグラム》
「ハルちゃん。ハルちゃん。ベーグル焼けたよ。ってことでリアンドベーグルさんへレッツらモー!焼きたてベーグルがたくさん!毎週土曜日には行列ができる大人気のベーグル屋さんです」

「レッツラモー!」の掛け声で町に飛び出し、地元の店や観光地をPRする動画…北広島町観光協会が、去年夏から始めたSNSの公式動画がじわじわと人気を集めています。

「ハルちゃん!きょうはどこに来ているの?」
「そばまつりに来ています!!」

北広島町観光協会の「ハルちゃん」とは一体!?

【北広島町観光協会「ハルちゃん」日下遥さん】
「私がハルちゃんこと、北広島町観光協会の日下です」

日下遥(ひのした はるか)さん、25歳。道の駅「舞ロードIC千代田」内にある北広島町観光協会に勤める一職員です。
「ハルちゃん」は広島市出身。
専門学校を卒業したあと、観光協会に就職しました。
志していたのは観光に携わる仕事。
学生時代はフラワークイーンの大役も経験しました。

【ハルちゃん】
「北広島町ってあまり若い人に知られていないというのがあって、友人に聞いても北広島町って何があるんって?」

最初こそ、試行錯誤の連続でしたが、「ハルちゃん」自ら地元の人と交渉し、スマートフォンで撮影と編集をしています。
自分流の投稿をする中で、クオリティーもめきめき上達しています。

【ハルちゃん】
「今もなんですけど、お邪魔しますというか…皆さん温かくて動画を始めてからやはり顔を覚えてもらえることが多くなったので、人の温かさというものと短い尺でどれだけ情報を詰め込めるか」

日ごろは「ハルちゃん」ではなく観光協会の「日下さん」としてバスのチケット販売やイベントの準備作業など、動画制作以外の仕事に追われていますが…

【ハルちゃん・利用客】
「広島まで行かれますか」
「そうです。そうです」
「平日ですか?」
「いや土日!」
「土日だったらですね、こっちなんです」
「お会いできてこっちが幸せな気持ちになります」

ハルちゃんは神楽愛から北広島町愛へと

「ハルちゃん」が親戚もいない北広島町に飛び込んだワケ。
それは大ファンだった伝統芸能「神楽」に惹かれたからだといいます。

【ハルちゃん】
「いち神楽ファンでもあるので仕事で神楽を見られるのはすごくありがたい。嬉しいです。きらびやかな豪華絢爛な衣装がすごく乙女心をくすぐるというか…」

編集中のスマートフォンにも「愛」があふれでています。

【ハルちゃん】
「これを入れている女性っていないじゃないですか、なかなか」
(記者:そうですね…)
「ちょっとこう目立っていいかなってもしかしたらカフェとかで使っていて神楽ファンが気づいてくれて新たな交流が生まれるかもしれない。ちょうどよかったので、サイズも」

【ハルちゃん】
「大太鼓のリズムとか、どこで見ていても手などで体がのっちゃいますね」

神楽は見る専門という「ハルちゃん」。
活躍の場はSNSだけにとどまりません。
今月、神楽の上演に合わせ世界遺産の島・宮島のステージに立ちました。

【ハルちゃん】
「スキーといえば北広島町と覚えてもらいたくてこの格好をしてきました」

《音楽:月山翔雲さん『おいでよ!きたひろ』》

無邪気な笑顔とダンスに会場は大きく盛り上がりました。

【ハルちゃん】
「北広島町に是非遊びに来てくださいね」

【母 裕子さん】
「ははは、なんでそうなるん。これは奇跡だよね」

「ハルちゃん」が北広島町と神楽に魅せられるようになった原点は母・裕子さんにあります。

【母 裕子さん・ハルちゃん】
「小さいころから神社の神楽とかすごく行ったもんね」
「行った。あれはよかった」
「近いしね」
「匂いとか、神社だと近いから距離が衣装が来たり…躍動感もすごいし」

司会業をする裕子さんに連れられ幼いころから「ハルちゃん」は、神楽のステージを間近で見てきました。

【母 裕子さん・ハルちゃん】
「自分が好きな人たち、自分の好きな神楽に自分の力を注いでいくのが自然な流れだったんじゃないかなと思うんですよね」
「これだな」
「誰も触れてくれなかった」
「そうだよね。コメント0だったからね」

ハルちゃんの一番の理解者は母・裕子さん

母・裕子さんが「ハルちゃん」の一番の理解者であり熱心な視聴者です。

【ハルちゃん】
「こんなにすてきなものなんだよとほかの全国に発信していくことが、私としても恩返しではないですけど、かわいがってくれた人のために少しはなれているかな」

少し緊張感に包まれた神楽団の団長どうしの会議。
ものおじせず堂々と進行します。

【ハルちゃん】
「3ページをご覧ください。審査基準表です。こちらも前回と全く変わっていません」

「日下さん」としても「ハルちゃん」としても北広島町の人に愛されています。

【幼少期を知る 北広島町神楽協議会・宮上宣則会長】
「小さかったんですよ。まさかこういうような感じでお会いするとは思いもせん。73歳なんですけど孫のような感じで嬉しく思っています」

北広島町の魅力を発信するべく撮影を手伝ってくれる職員と作戦会議です。

【ハルちゃん】
「皿にカポっとやってプルンもいいし、プリンが皿にのっているところを振動じゃないけど勢いでプルンとなっているところが撮りたい」

始めた当初は何を撮ればいいか分かりませんでした。
でも今ではディレクションもお手のものです。

【ハルちゃん】
「こんにちは。お世話になっております」

撮影に一切の妥協はありません。
この日は町内のスイーツ店で撮影です。

【ハルちゃん・店の人】
「ここに言ってもらって、はい」
「ここで?」
「はい」

「ハルちゃん」の言葉や笑顔が撮影に慣れない店の人たちの緊張を和らげます。

【にわのにわとり・横山慎士さん、妻・まいさん】
「ハルちゃん。ハルちゃんって知っています」
「すごいと思います。工夫してくれて店のことをアピールしてくれるので、自分たちにはない視点があるので」
「ちょっと顔がでかすぎるな。プリンをちょっとこうしたい」

「ハルちゃん」のキャラクターはあくまで脇役。
主役は商品です。

【ハルちゃん】
「(相棒の)島田さんは優しいので、言いやすくて細かく指示できて…」
【北広島町観光協会・島田青坪さん】
「監督のイメージに近づけるように…」

「取材をしつつ勉強させてもらってる」

1時間、みっちりと撮影し帰ったらすぐに編集です。

【ハルちゃん】
「できました!これから声を入れていこうと思います」
「にわのにわとりさんへ、レッツらモー?」
「失敗しました。いまのはレッツらモーのモーがよくなかった」
(思いがあるんですね…)
「こだわりがちょっと」

そんな細部にまで思いを込めて完成した動画がこちら。

《映像:北広島町公式インスタグラム》
「にわのにわとりさんへレッツらモー!!オシャレで落ち着いた店内に甘い香りが広がります。なんて幸せな光景…滑らかでコクがあるプリンマドンナ。ほろ苦いカラメルがまたたまらん。平飼い卵を使ったお菓子たちです。食べに来てね。ご夫婦にぜひ会いにきてください」

北広島町への「神楽愛」をきっかけに温もりのある動画を発信するようになった「ハルちゃん」こと日下遥さん。
目の前の1人1人に目一杯の愛と情熱を注ぎます。

【ハルちゃん】
「動画を通じて色んな人に出会えて交流ができるので、自分にあっているかなと思います。魅力をものすごく深堀りできるので、本当に取材をしつつ勉強をさせてもらいつつという感じです」

《スタジオ》
まさに思いが人を動かすというところですが、疋田さんはどうご覧になりますか?

【コメンテーター:広島大学大学院・匹田篤准教授】
「溢れる北広島町愛を感じます。元気もらえますね。スマホベースの動画だとか、写真のメディアはまだまだ表現の可能性が高いので、自分流の表現を追い求める若い人たちを特に応援したいと思います。すごく良かったなと思います」

「ハルちゃん」の今後の活躍に注目です。