【深堀】「虐待してみたいと思った自分は異常」 ウサギ虐待男が法廷で語った心の闇 広島
4/14(月) 15:30
「自分は異常だ」 裁判で、こう口にしたのは、何匹ものウサギを虐待した罪に問われた25歳の男。裁判で、男の身勝手な動機が明らかになった。
今年3月26日の初公判。広島地裁呉支部の法廷に姿をあらわしたのは、動物愛護法違反の罪に問われた住居不定・無職の堀田陸被告(25)。
身長は165センチくらい。この日は、坊主頭にマスクを着用していた。一見して、おとなしそうだが、堀田被告は”ウサギの島”として全国的にも知られる、広島県竹原市の大久野島で、ウサギを虐待したとして逮捕・起訴された。
その犯行内容は極めて残虐なものだった。
身長は165センチくらい。この日は、坊主頭にマスクを着用していた。一見して、おとなしそうだが、堀田被告は”ウサギの島”として全国的にも知られる、広島県竹原市の大久野島で、ウサギを虐待したとして逮捕・起訴された。
その犯行内容は極めて残虐なものだった。
■残虐な犯行を繰り返した被告
起訴状によると堀田被告は、今年1月9日から21日にかけて、大久野島に生息するウサギ7匹に対し、腹部を蹴ったり脚を折り曲げる暴行を加えたり、ウサギの口の中にハサミを入れるなどして虐待し、7匹のうち1匹を死なせた罪に問われている。
認否について裁判官に問われると、堀田被告は、小さい声ながらもはっきりとした口調で「間違いないです」と起訴内容を認めた。
認否について裁判官に問われると、堀田被告は、小さい声ながらもはっきりとした口調で「間違いないです」と起訴内容を認めた。
■なぜ滋賀県から大久野島へ?
冒頭陳述で、検察側は堀田被告の「動機」を明らかにした。
堀田被告は、大手総合化学メーカーの関連会社に勤務し、滋賀県にある会社の寮で暮らしていた。
仕事では上司による厳しい指導の影響などで体調を崩し、適応障害と診断され休職。休職中の2024年9月末ごろ、偶然、ウサギの動画を見たことで興味を抱いたという。その際、大久野島にウサギが数多く生息していることを知り、翌月、島へと向かった。
堀田被告は、大手総合化学メーカーの関連会社に勤務し、滋賀県にある会社の寮で暮らしていた。
仕事では上司による厳しい指導の影響などで体調を崩し、適応障害と診断され休職。休職中の2024年9月末ごろ、偶然、ウサギの動画を見たことで興味を抱いたという。その際、大久野島にウサギが数多く生息していることを知り、翌月、島へと向かった。
瀬戸内海に浮かぶ大久野島には、約500~600匹のウサギが生息していて、国の内外から多くの観光客が訪れる人気のスポット。
堀田被告も、はじめは純粋にウサギを楽しむだけだったという。
しかし、ウサギが弱い生き物であることがわかると、次第に堀田被告の倫理観がゆがんでいくことになる。
堀田被告も、はじめは純粋にウサギを楽しむだけだったという。
しかし、ウサギが弱い生き物であることがわかると、次第に堀田被告の倫理観がゆがんでいくことになる。
■犯行はウサギを虐待する動画がきっかけ
堀田被告の目に留まったのは、ネット上でウサギが悲鳴を上げたり、解体される動画だった。やがて自分もウサギが嫌がることをして、反応を見てみたいと思うようになったという。それから堀田被告は4度にわたって島を訪れ、ウサギに対する虐待行為に及んだ。
2024年11月下旬から12月にかけて、大久野島ではウサギの「不審死」が相次いで報告されていた。環境省によると、その数なんと99匹。
その頃、大久野島を、度々訪れていた写真家の夫婦(九州在住)がいた。大のウサギ好きという2人は、ウサギの写真を撮影することが趣味だったが、この頃、島内でウサギの死体を見かけるようになり、何かおかしいと思っていたという。
年が明けた2025年1月下旬、島を訪れた夫婦は、そこで不可解な動きをする堀田被告を見つける。
後をつけ、様子をうかがっていると、堀田被告がウサギを足蹴りにした。夫婦はその場で堀田被告を取り押さえた。
TSSが夫婦に取材をしたところ、「堀田被告はニンジンを使ってウサギを誘い出し捕まえようとしていた」ことが分かっている。
また、検察の証拠調べでは、堀田被告のスマートフォンに、ウサギを虐待する動画が
保存されていたことも明らかにされた。ウサギの口の中に入れたハサミの刃体は長さ7センチ程。耳を引きちぎる様子も映っていたという。
2024年11月下旬から12月にかけて、大久野島ではウサギの「不審死」が相次いで報告されていた。環境省によると、その数なんと99匹。
その頃、大久野島を、度々訪れていた写真家の夫婦(九州在住)がいた。大のウサギ好きという2人は、ウサギの写真を撮影することが趣味だったが、この頃、島内でウサギの死体を見かけるようになり、何かおかしいと思っていたという。
年が明けた2025年1月下旬、島を訪れた夫婦は、そこで不可解な動きをする堀田被告を見つける。
後をつけ、様子をうかがっていると、堀田被告がウサギを足蹴りにした。夫婦はその場で堀田被告を取り押さえた。
TSSが夫婦に取材をしたところ、「堀田被告はニンジンを使ってウサギを誘い出し捕まえようとしていた」ことが分かっている。
また、検察の証拠調べでは、堀田被告のスマートフォンに、ウサギを虐待する動画が
保存されていたことも明らかにされた。ウサギの口の中に入れたハサミの刃体は長さ7センチ程。耳を引きちぎる様子も映っていたという。
■”自分は異常だと思った”
被告人質問で堀田被告は、自らの身勝手な動機について語った。
【弁護人】
「なぜ、島に行った?」
【堀田被告】
「ウサギに興味があり、小動物が好きだった」
【弁護人】
「なぜ犯行に及んだ?」
【堀田被告】
「SNSで虐待の動画を見てしまった」
【弁護人】
「虐待したいと思った?」
【堀田被告】
「動画を見た時に”かわいそう”と思う反面、よからぬ感情が同時に出てしまった」
【弁護人】
「どういう感情?」
【堀田被告】
「虐待してみたいという感情。自分は”異常だ”と思った」
【弁護人】
「躊躇はなかった?」
【堀田被告】
「犯行当時、躊躇の感情はあったと思います。誰にも相談できませんでした」
自らを「異常だ」と感じながらも、残虐な行為に及んだ堀田被告。
一方で、実際の行為とは裏腹に、自分が「異常だと周囲に知られたくない」という
思いもあったと話した。
ウサギ以外の動物に虐待をしたことは無かったというが、弁護人から「他の人が虐待をしていたらどう思うか?」と問われると、堀田被告は数秒間、考え込みこう答えた。
【堀田被告】
「私の立場では何とも言えないです」
【弁護人】
「なぜ、島に行った?」
【堀田被告】
「ウサギに興味があり、小動物が好きだった」
【弁護人】
「なぜ犯行に及んだ?」
【堀田被告】
「SNSで虐待の動画を見てしまった」
【弁護人】
「虐待したいと思った?」
【堀田被告】
「動画を見た時に”かわいそう”と思う反面、よからぬ感情が同時に出てしまった」
【弁護人】
「どういう感情?」
【堀田被告】
「虐待してみたいという感情。自分は”異常だ”と思った」
【弁護人】
「躊躇はなかった?」
【堀田被告】
「犯行当時、躊躇の感情はあったと思います。誰にも相談できませんでした」
自らを「異常だ」と感じながらも、残虐な行為に及んだ堀田被告。
一方で、実際の行為とは裏腹に、自分が「異常だと周囲に知られたくない」という
思いもあったと話した。
ウサギ以外の動物に虐待をしたことは無かったというが、弁護人から「他の人が虐待をしていたらどう思うか?」と問われると、堀田被告は数秒間、考え込みこう答えた。
【堀田被告】
「私の立場では何とも言えないです」
■”とんでもないことをした”
この事件は、発覚後、全国で報じられ、波紋を広げた。
堀田被告は、「とんでもないことをした」と自らの行為を振り返った。そして、島を管理する環境省の職員に謝罪したいと述べた。
堀田被告は、「とんでもないことをした」と自らの行為を振り返った。そして、島を管理する環境省の職員に謝罪したいと述べた。
■”身勝手かつ短絡的 懲役1年を求刑
論告求刑で、検察側は、滋賀県からわざわざ大久野島を訪れ、犯行に及んでいる点にも注目し、犯行は、計画的で、残忍かつ危険なもので悪質だと指摘。
捜査の段階で、堀田被告が約2カ月間で60匹あまりのウサギを虐待したと供述したことにも触れ、「身勝手かつ短絡的な動機で酌量の余地はない」として懲役1年を求刑した。
捜査の段階で、堀田被告が約2カ月間で60匹あまりのウサギを虐待したと供述したことにも触れ、「身勝手かつ短絡的な動機で酌量の余地はない」として懲役1年を求刑した。
一方の弁護側は、「捜査段階から犯行を認め、捜査に協力している」などとして、執行猶予付きの判決が相当だとした。
最後に裁判官から「言っておきたいことはありますか?」と問われると、堀田被告は淡々と「特にないです」と答えた。
最後に裁判官から「言っておきたいことはありますか?」と問われると、堀田被告は淡々と「特にないです」と答えた。
2025年4月14日午後、判決公判が開かれた。
広島地裁呉支部の島崎航裁判官は、「一方的に暴力を受けるウサギらの姿は痛ましいというほかなく、動物愛護の精神に反するものである」と指摘。
「被告人が本件当時、精神疾患を抱えており、精神的に不安定であったことが認められることを踏まえてもなお、本件各犯行は強い非難に値する」などと断罪した。
一方で「当初から事実を認め反省の弁を述べている」などとして、堀田被告に懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
自分よりも弱い動物を痛めつける虐待行為を繰り返した堀田被告。判決文が読み上げられる間、うつむいたままの堀田被告はいったい何を思っていたのだろうか。
広島地裁呉支部の島崎航裁判官は、「一方的に暴力を受けるウサギらの姿は痛ましいというほかなく、動物愛護の精神に反するものである」と指摘。
「被告人が本件当時、精神疾患を抱えており、精神的に不安定であったことが認められることを踏まえてもなお、本件各犯行は強い非難に値する」などと断罪した。
一方で「当初から事実を認め反省の弁を述べている」などとして、堀田被告に懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
自分よりも弱い動物を痛めつける虐待行為を繰り返した堀田被告。判決文が読み上げられる間、うつむいたままの堀田被告はいったい何を思っていたのだろうか。