まちなか”防災拠点”「エディオンピースウイング広島」非常事態に存在感 避難所・非常用トイレ・備蓄庫に

4/14(月) 18:40

特集です。
身近な空間として私たちの生活にすっかり溶け込んでいる「エディオンピースウイング広島」の裏側に注目します。
まちなかスタジアムとしてのもう1つの顔が”防災拠点”です。

去年2月の開業から1年が経過した「エディオンピースウイング広島」
立地や設備を生かし、実は災害時の指定緊急避難場所に指定されています。

【広島市 災害予防課・松浦葵 主査】
「広島市の街中に位置していて、市民をはじめ様々な来訪者が多い場所だと考えている。そうした時に街中に大きいサッカースタジアムが避難施設としてあることは有意義」

地震や津波などの大規模な災害が発生した場合、まず最初は2階のコンコースが避難場所として活用され、

状況に応じて観客席も順次開放していきます。

スタジアム全体で最大およそ3万人の受け入れが可能です。

【広島市 災害予防課・松浦葵 主査】
「一般的に想像するような(避難)生活拠点としての指定避難所ではなくて、一時的に災害から身を逃れるための施設として指定しています」

今年に入りこれまで以上に警戒が強まっている災害の1つが南海トラフ巨大地震。
今後30年以内の発生確率は80%程度とされ、国は被害想定をおよそ10年ぶりに見直しました。
県内では最大で震度6強の揺れが発生し、想定される死者の数は前回から2.8倍に増えおよそ2200人とされています。

【気象予報士・青坂記者】
「普段は憩いの場所として多くの人が利用しているスタジアム前の広場です。隅の方に来てみますとマンホールが等間隔で並べられている場所があって、ふたを見ると災害用トイレと表記されています」

また、広場の一角には仮設トイレ用のマンホールあわせて20基を整備。

ふたを開けて仕切りの壁と屋根を組み立て、最後に便座を置けば、10分ほどの作業でトイレができあがります。

Q:公共の施設にすでにトイレは設置されているが、それでもさらにマンホールトイレを準備する意図は?

【広島市 管路課・西澤巧真 技師】
「トイレが整備されている場所は災害時にも使えるならそれを利用していただくことが一番なんですけども、そういったところは断水の時には利用できなくなる可能性があります」

水で排泄物を流す水洗トイレとは違い、マンホールトイレは地中の下水管に直接つながっていて断水の影響を受けないのが大きなメリットです。

【広島市 管路課・西澤巧真 技師】
「施設に整備されている(既存の)トイレは数も限られていて、多くの人が集まったときはみんなが利用できない可能性があるんですけれども、20基分のトイレが確保できるというところで多くの人が来ても利用できる」

このほか芝生広場はヘリの発着も可能で、こちらにも最大およそ2万人の避難者が収容できる計画となっています。

さらに防災設備は普段見えないこんなところにも…

Q:どこにあるのか教えていただけますか?
【広島市 災害予防課・上原裕治 主査】
「こちらにお越しください」
【気象予報士・青坂記者】
「スタンドからは離れるんですね」
<移動>
「観客席の下の通路を進んでいます。
<大きな扉の前>
「いま鍵をあけまして、かなり重たい頑丈な扉を開けました。すると、広い空間があるんですね」

スタジアム内に設けられているこちらのスペースは防災備蓄倉庫。
広さはおよそ620平方メートルで、食料や生活用品が保管されています。

【広島市 災害予防課・上原裕治 主査】
「こっちが生活必需品、おむつや生理用品を置いて、奥には毛布や保温シートを置いているところです」

災害が起きた際はここを拠点に、保管されている物資が各避難所に供給されることになります。

【広島市 災害予防課・上原裕治 主査】
「小学校などの指定避難所の分散備蓄に加えて、こうした街中に大きな備蓄倉庫があることは市民の生活にとって安心・安全につながると考えている」

広島市中心部で今やシンボルの1つとなっている「エディオンピースウイング広島」
日常だけでなく、災害という非常事態にも存在感を発揮します。

<スタジオ>

さて、まだまだ実は秘密がございまして、スタジアム前の芝生広場ですけれども、実はこれ海抜4.4メートルの高さを確保するために嵩上げも行われているということなんですね。道路から芝生広場に入るときに確かに階段とかスロープを必ず通るようになってるんですよね。なるほどなって今、思われた方も多いんじゃないでしょうか。

【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「私もその情報、今初めて知ったんですけど、災害が起こった直後って私達、何か対策するんですけど、つい忘れてしまいがちですよね。なので、せっかくなので、こういうところで防災イベントとか楽しく防災が学べるようなことがあると面白いなとも思いました」