生活保護費引き下げ取り消し訴訟 控訴審も原告勝訴 「引き下げは裁量権の乱用」広島高裁

4/18(金) 15:50

デフレに伴い生活保護費が引き下げられたのは違憲だとして、広島県内の受給者が取り消しを求めた裁判で、広島高裁は一審判決を支持し、市町側の訴えを退けました。

この裁判は国が2013年から当時の物価の下落を踏まえ、生活保護の支給基準を引き下げたことをめぐり、広島市などの受給者52人が憲法で保障された「最低限度の生活すらできなくなった」として、各市町に取り消しを求めていたものです。

2023年10月一審の広島地裁は「生活保護受給世帯と一般世帯との消費実態の違いなどを踏まえた調整を行ったとうかがえない」「厚生労働大臣の判断は裁量権の範囲を逸脱している」などとして、原告51人の支給基準引き下げ処分を取り消す判決を言い渡し、市町側は不服として控訴していました。

18日の控訴審判決で広島高裁の河田泰常裁判長は物価の下落に関する調整について、「生活保護受給世帯の消費実態と乖離したものを採用した結果、大幅な価格下落が過大に反映されるような方法をとったことは、明らかな欠点がある」と指摘。

「厚生労働大臣が生活扶助基準を引き下げた判断は、裁量権の範囲を逸脱、乱用している」として、市町側の控訴を棄却し、控訴審も原告側の勝訴となりました。