子供の仕事体験「キッズダムひろしま」開催へ 子供の『好き』を見つけられる場所 大人にとっての学びも

4/21(月) 20:30

少子化で、労働人口が減少する現代、子どもたちが、様々な仕事を体験できるイベントの開催に、奮闘する人たちに密着しました。

2011年から、広島青年会議所などが主催して、開催されたキッズシティ。
子どもたちが、様々な仕事を体験できるイベントは、当時、大きな話題になりました。
しかし、コロナ禍の影響などもあり、9年間、続いたイベントは、2019年を最後に、終了しました。
今、子どもたちの職業体験イベントを復活させようと奮闘する人たちがいます。

<三島食品社内での打合せ>
「『キッズダムひろしま2025』ということで、中小企業会館を借りて30社を集めた大きな仕事体験イベントをする。小学校4・5・6年生を対象に仕事体験をする、7月19日ちょうど夏休みに入ったタイミングです」

活動が始まったのは、今から、およそ2年前の2023年8月。

【キッズダムひろしま 青木俊介さん】
「広島の人口の流出数が2年連続ワーストワンと聞いて決して(広島に)魅力がないとは思っていない。それが伝わっていないのではないかと思っているので、伝えられる場と子どもたちの夢まではいかなくても『好き』を見つけられる場があればいいと思う」

この街と子どもたちのために何かしたい。そんな思いを持ったメンバーが集まりました。
ゼロからのスタートですが、色々なアイデアや課題が飛び出します。

【参加メンバーは】
「協賛を考えている方、資料を欲しい方はこちらみたいな流れがあったほうがいい」
「本番までどのような役割があって、どのようにできて、自分がどのあたりにいるのかということが」

活動のスタートは、ミニ体験イベント、「リトルキッズダム」から始まりました。
広島県民のソウルフード「お好み焼き」の職業体験では、用意された素材で、子どもたちがオリジナルソースを作ります。
「お好み焼き」はよく知っていますが、美味しく食べるのに必要なソースのことは、知りませんでした。

Q:お母さんの方が興味津々ですね?
【参加者のお母さんは】
「そうそう」
「親の方が夢中」

保護者の関心の高さは、メンバーには、意外な発見でした。

【キッズダムひろしま 青木俊介さん】
「ソースまで作る人はいないじゃないですか。そういった意味では今回の仕事体験はお子さんだけではなくて、保護者にも学びがあったような」

最新の職業も体験しました。

【参加した子ども】
「りえです。きょうはユーチューバー体験ということで動画編集にチャレンジしてみたいと思います。がんばります」

ユーチューバーの仕事体験。
コメントや動画の収録から編集まで、ユーチューバーとしての仕事の基本を体験しました。

<編集指導風景>
「自己紹介が始まったら、ここでBGMが流れるような感じになっています」
「ここにも(BGMが)流れちゃっている」
「だったら、ここの端をこの端に持っていったら変わるから」

eスポーツの仕事体験では、競技選手だけでなく、イベントの運営や生配信のDJまで、全ての仕事を体験します。

<実況・解説>
「解説は大久保さんです。宜しくお願いします」
「はい宜しくお願い致します」
「いよいよ始まりますね。大久保さん」
「そうですね。本日最終戦というところで・・・」

時代とともに、これまでになかった仕事が生まれてきます。

【キッズダムひろしま・石原正義さん】
「めちゃくちゃ面白いです。自分たちもまだ詳しく知らないジャンルでもあるので、我々がむしろやりたい」

しかし、知らないことが、職業への理解不足につながる可能性があることも、この時、メンバーは、学びました。

【キッズダムひろしま 青木俊介さん】
「何組か保護者から声をもらって、この体験をさせたことで、これを仕事として目覚めたりされたらちょっと困るというか・・“親ブロック”と僕は言っているんですけど・・」

リトルキッズダムが、順調に回を重ねていく一方で、イベントの出店企業を探す作業も始まります。
思いに賛同してくれる会社を訪ねて、丁寧に説明していきます。

【キッズダムひろしま 青木俊介さん】
「4月末を目途に1次募集を終了して、企業とどういう仕事体験をしていくかの打ち合わせを5月6月、通してできたらという流れを組んでいます」

参加する企業にも、仕事に向き合う、熱い思いがありました。

【三島食品・佐伯俊彦マネージャー】
「もの作りというところにわくわく感を抱いてもらえるようなことができれば、とにかくものを作って自分が作ったものが誰かに喜んでもらえるというようなそんな思いで」

そんな思いで会社が用意したのは・・。

【三島食品・佐伯俊彦マネージャー】
「世界で1だけのふりかけを作るマイふりかけイベントをやる予定にしています」

素材をブレンドして、「マイふりかけ」を作るという企画です。

【三島食品・佐伯俊彦マネージャー】
「普段できないことをできるということはお子さんもそうですが、大人もかなりわくわくしてもらえるのではないかと思います」

<打合せ終了後>

【キッズダムひろしま 青木俊介さん・石原正義さん】
「実際話を聞いてみて、より詳しく知れたことがたくさんあったので、やっぱりいいですね」
「本番が楽しみですね」

イベントには、様々な業種の会社が出店を予定しています。
広島市西区にあるサービス付き高齢者向け住宅。
ここを運営する会社もキッズダムへの出店を決めました。

【つなぐ サービス提供責任者・檜皮理絵さん】
「まずは介護というものを知ってもらう。介護はマイナスのイメージが多いと思うが、それを楽しい体験をして、こういう面白いことあるんだとか、楽しさと発見とそういうことを体験して介護を知ってもらいたい」

子どもたちだけでなく、多くの人に、もっと仕事や会社を知ってもらいたい。
実は、これが、このイベントのもうひとつのテーマです。

【キッズダムひろしま 青木俊介さん】
「みんなが知っているような大きな企業だけではなく、広島には魅力のある中小・零細企業はたくさんあるので、それを知ってもらう場になればと思う」

今回のイベント、子どもたちの参加費は無料にしました。

【キッズダムひろしま 青木俊介さん】
「社会課題のひとつの体験格差の問題をクリアしたくて、広島の企業を知ってもらうのにお金を取るというスタンスはどうなのかというところがあった」

企業から出店料や協賛金を出してもらい、開催費用に当てることにしました。
そして、もうひとつ・・。

【キッズダムひろしま 青木俊介さん】
「今回はクラウドファンディングという手段を取って、今チャレンジ中です」
Q:目標額は?
「今130万円で設定しています。このあとたくさん集まるようなら、より充実した仕事体験ができるような形も考えています」

時代の変化とともに様々なテーマで企画された「令和のお仕事体験」。
開催予定は7月19日。
メンバーと企業の熱い思いは、一体、どんなイベントを作り出すのでしょうか?

<スタジオ>
小さい頃の体験覚えてますよね。

【コメンテーター:元カープ・山内泰幸さん】
「その体験が(仕事を好きになる)きっかけになりますし、知らない仕事より知って選択する仕事の方が内容が変わってきますよね」

【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「クラウドファンディングで持続可能なプロジェクトにしているというのも素晴らしいですし、ある高校生と喋ったときに、自分が夏祭りを楽しんでいるときに大人が本気で笑ってやってくれていたのを見て、地域作りって大事なんだなと思ったということなんですね。この運営の方たちがどういう専門職であっても、本気で関わっているというところで、とにかく働く大人になるということが楽しいんだというふうに子どもたちに思ってもらえるのが一番かなと思いますね」