2016年08月24日(水)
「仕事をしながらでも子育てしやすく」を目指す
保育園に預けていても子どもが急に熱を出せば、迎えにいかないといけませんね。そう、働きながら子育てするのは大変です。そこで、ワークバランスの実現に向け、積極的に活動するキッズNPOの吉本卓生さんにその取り組みについてお聞きしました。
吉本さんは平成18年に、待機児童解消のために託児所を夫婦で開園しました。そして、ある問題に直面したそう。それは病気の子どもの対応でした。通常、37.5℃以上の熱がある場合は園ではお預かりできません。そうなると保護者の方にお迎えをお願いすることなります。そのたびにお母さんが仕事を休むことになり、それが続くと仕事が辛くなり、結局、仕事を辞めざるをえなくなりました。そこで“お母さんたちが困っていることをなんとかしたい”と「施設でできることは何かを考え、病児保育、延長保育、早朝保育など、企業の働き方に合った保育サービスを提供したい」と一念発起、NPO法人を取得して活動をはじめました。
学童保育、習い事サポート~アフタースクール~
当初は、私どもの託児所に通園していた子ども達のみ、小学校が終わった放課後からお母さんの仕事が終わる19時半までお預かりしていました。それが口コミで広がり、お預かりする子どもが増えてきて、平成19年からは小学校へお迎えのバスを運行しています。現在は廿日市市内の幼稚園、小学校ほぼ全てにお迎えのバスを運行しています。
アフタースクールは月曜~土曜の幼稚園・小学校の終了後から19時半まで。ただ子ども達をお預かりするのではなく、子ども達が“夢をもつ”ことに重点を置いています。私自身、夢や目標をたくさんもった方が幸せだと考えているからです。「サッカー選手になりたい」「勉強をがんばりたい」「バレエを習いたい」など、子ども達がいざ夢や目標を持とうとしても、大人の都合で現実的に“無理”だからとあきらめてしまうのはもったいないと思います。そんな声を耳にすることがあり、保護者の送迎が必要な習い事への送迎サービスをはじめたのです。現在、サッカースクール、体操教室、ピアノやバレエ教室、ドッヂボールクラブ、学習塾等へ子ども達をスタッフが運転するバスで送迎しています。
また、「生きる力を身に付けてほしい」という思いから、自然の中へ出て多くの体験をしてほしいと考えています。希望者対象で夏は川で泳いだり、カヤックやキャンプ、冬は雪遊びなどを体験できるイベントを開催しています。
ただ最近気がかりな点として、“何のために”習い事をするのか、子ども達が理解していないのではないか?と感じることがあることです。「お友達が行っているから」「親が通った方がいいと言ったから」など、たくさんの習い事をして放課後のスケジュールがいっぱいになっている子どもがいます。そのような子どもには、「どうしてその習い事をするのか?何のためか?」など話しをします。場合によっては、私から保護者の方と話し合いをもつこともあります。
社会の変化、保護者のニーズに対応しながら、子ども達の声に耳を傾けながら、子育てのしやすいまちづくりをめざしています。子ども達にとっては、私は“近所のおじさん”的な存在で、親や学校の先生に言えないことでも何でも相談できるような関係性を築いていきたいと思っています。