2014年2月6日(木)
気を付けたい、子どもの花粉症
日本人のおよそ2,500万人が花粉症および予備軍といわれ、その数は年々増加しているそうです。眼科専門医の小森 玲子先生に、花粉症の発生のメカニズムや子どもの花粉症で気を付けたいこと、今年の花粉飛散量などを聞きました。合わせて、家庭でできるセルフケアも紹介します。
(1)子どもの花粉症で気を付けたいことは?
世間一般にいわれている「花粉症」とは、スギの木の花粉によるアレルギー症状を指し、スギの雄花の花粉が飛散する2月初旬から4月下旬までを花粉症シーズンとしています。花粉症罹患(りかん)者は関東地方に多く、人口の5人に1人が花粉症という統計データも。それだけ多いからか、最近では天気予報で花粉の飛散情報も伝えていますね。
今までは花粉が飛んでいても何の症状もなかった人が、ある日突然発症することもあります。ですからある程度の予防をしておいたほうが、将来的にはよいともいえます。
保護者の方に注意していただきたいのは、ぜんそくやアトピーのある方は花粉症を合併すると症状が重篤になりやすいといわれていること。花粉症予防のセルフケアを、しっかりと気をつけてあげてください。また、アレルギーを予防する方法として、赤ちゃんのころに動物と接する機会が多いと、アレルギーを発症する確率は接してない方の5分の1であるといわれています。犬や猫をご自宅で飼っている家庭で、小さいころから動物が身近だとアレルギーになりにくく、赤ちゃんのころに動物園に何回か行くといいそうです。
今までは花粉が飛んでいても何の症状もなかった人が、ある日突然発症することもあります。ですからある程度の予防をしておいたほうが、将来的にはよいともいえます。
保護者の方に注意していただきたいのは、ぜんそくやアトピーのある方は花粉症を合併すると症状が重篤になりやすいといわれていること。花粉症予防のセルフケアを、しっかりと気をつけてあげてください。また、アレルギーを予防する方法として、赤ちゃんのころに動物と接する機会が多いと、アレルギーを発症する確率は接してない方の5分の1であるといわれています。犬や猫をご自宅で飼っている家庭で、小さいころから動物が身近だとアレルギーになりにくく、赤ちゃんのころに動物園に何回か行くといいそうです。
(2)発生のメカニズム
花粉症の症状には、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、頭重感、涙が出る、目や鼻がかゆくなる、眼球結膜の充血や浮腫(白目がゼリー状に腫れることも)、のどの痛み(咽頭炎)、全身倦怠感、発熱などをおこすことがあります。
発生のメカニズムは、人間の体に花粉などの異物(抗原またはアレルゲンといいます)が入ると、マクロファージと呼ばれる細胞が「抗原」の侵入を感知し、体内で「抗体(IgE抗体)」を作って 異物を体外へ追い出し、侵入防止しようとするための反応を起こします。この働きの過剰な反応がアレルギーという状態で、発現状態にはかなり個人差があります。
まず、スギ花粉が目や鼻の粘膜に付着すると、粘膜上の水を含んで花粉は膨張し、花粉細胞の外壁が割れ、内容物が分解して放出され、アレルギーを起こす物質である抗原が花粉から溶け出します。この抗原を追い出し、侵入防止をしようと体内で抗体が作り出され、その「IgE抗体」が肥満細胞(マスト細胞)の表面に付着します。そのマスト細胞からアレルギーを起こすヒスタミンや、ロイコトリエンという物質が放出されます。また、白血球の好酸球やリンパ球が血液中に増え、アレルギー反応が起こっている粘膜や皮膚にたくさん集まり組織を障害すると、プロスタグランディンという物質が出て炎症を起こしたり痛みが出たりします。
ヒスタミンは、知覚神経を刺激し、くしゃみや鼻水で花粉を体外へ追い出そうとしたりかゆみを起こさせる物質です。ロイコトリエンは、まぶたの裏や眼球の結膜、鼻の粘膜の血管や組織を膨張させて鼻の穴を狭くしたり、目から出る分泌物で花粉を流します。そのため粘膜が腫れ、目や鼻の充血で時に鼻血が出たり、鼻づまりが起こります。
しかし、あまりに強い反応がおこると粘液の分泌過多で鼻水が止まらず副鼻腔炎様となり、頭重感が出たり、気管支粘膜の浮腫が気道閉塞を起こします。喘息発作のようになるので、アレルギー症状を薬などで抑える必要が出てくるのです。つまりアレルギーを起こす人は、生態防御機能が働きすぎているといえます。
発生のメカニズムは、人間の体に花粉などの異物(抗原またはアレルゲンといいます)が入ると、マクロファージと呼ばれる細胞が「抗原」の侵入を感知し、体内で「抗体(IgE抗体)」を作って 異物を体外へ追い出し、侵入防止しようとするための反応を起こします。この働きの過剰な反応がアレルギーという状態で、発現状態にはかなり個人差があります。
まず、スギ花粉が目や鼻の粘膜に付着すると、粘膜上の水を含んで花粉は膨張し、花粉細胞の外壁が割れ、内容物が分解して放出され、アレルギーを起こす物質である抗原が花粉から溶け出します。この抗原を追い出し、侵入防止をしようと体内で抗体が作り出され、その「IgE抗体」が肥満細胞(マスト細胞)の表面に付着します。そのマスト細胞からアレルギーを起こすヒスタミンや、ロイコトリエンという物質が放出されます。また、白血球の好酸球やリンパ球が血液中に増え、アレルギー反応が起こっている粘膜や皮膚にたくさん集まり組織を障害すると、プロスタグランディンという物質が出て炎症を起こしたり痛みが出たりします。
ヒスタミンは、知覚神経を刺激し、くしゃみや鼻水で花粉を体外へ追い出そうとしたりかゆみを起こさせる物質です。ロイコトリエンは、まぶたの裏や眼球の結膜、鼻の粘膜の血管や組織を膨張させて鼻の穴を狭くしたり、目から出る分泌物で花粉を流します。そのため粘膜が腫れ、目や鼻の充血で時に鼻血が出たり、鼻づまりが起こります。
しかし、あまりに強い反応がおこると粘液の分泌過多で鼻水が止まらず副鼻腔炎様となり、頭重感が出たり、気管支粘膜の浮腫が気道閉塞を起こします。喘息発作のようになるので、アレルギー症状を薬などで抑える必要が出てくるのです。つまりアレルギーを起こす人は、生態防御機能が働きすぎているといえます。
(3)2014年の花粉飛散は昨年の2倍多い
杉の花粉の大きさは、直径30~40μm。スギ花粉を放出する雄花は、7月ごろから形成され、11月ごろには雄花の中の花粉が成熟します。その後、気温の低下や昼の時間が短くなることにより雄花は休眠状態に入りますが、冬の寒さに一定期間さらされることで覚醒し、花粉の飛散に向けた準備を始めます。花粉の飛散開始時期は、雄花が覚醒した後に暖かい日が続くと早まり、寒い日が続くと遅くなります。
スギ花粉の生産量は、花粉が形成される前年夏の気象条件と密接な関係があります。日射量が多く降水量が少ないほど、翌春の花粉生産量が多くなる傾向があることが分かっています。また、スギの雄花生産量が少ない年の翌年は、雄花生産量が増加するという傾向が見られます。このため、これらの関係によりスギ花粉の生産量は多い年と少ない年があります。
ちなみに2014年のスギ花粉の生産量は昨年より2倍ほど多いと予想されています。
スギ花粉の生産量は、花粉が形成される前年夏の気象条件と密接な関係があります。日射量が多く降水量が少ないほど、翌春の花粉生産量が多くなる傾向があることが分かっています。また、スギの雄花生産量が少ない年の翌年は、雄花生産量が増加するという傾向が見られます。このため、これらの関係によりスギ花粉の生産量は多い年と少ない年があります。
ちなみに2014年のスギ花粉の生産量は昨年より2倍ほど多いと予想されています。
(4)花粉症の予防と対策
1、セルフケア編
(1)アレルギーのもとを断ちましょう。
外出時はマスク、花粉症用メガネの装着はもちろん、トレンチコートのようなホコリをはたいて落としやすいような上着を着用します。帰宅時は戸外で衣服の花粉を払い落とし、家に入ったらすぐうがい、洗顔をし、家中に花粉の侵入を防ぎます。日中は花粉情報に注意し、花粉飛散の多い日は窓を締め切り、家の中に花粉を入れないこと。布団などを天日干しした日は、必ず布団に掃除機をかけます。洗濯物は出来るだけ戸外に干さないようにします。
(2)タバコの煙や化学物質が刺激の原因に。
花粉が飛び始めると、人体の粘膜はすでに炎症や障害が起こりつつあります。タバコの煙や化学物質(洗剤や防虫剤)が刺激の原因に。また、気温の変化や風、たき火の煙など粘膜を刺激するものがあると、症状が悪化することがあります。
(3)食べ物にも配慮しましょう。
食事内容は口腔から粘膜に直接取り込むため、刺激物となる可能性が大きくなります。香辛料やアルコールは粘膜を刺激したり、血流を良くして炎症がひどくなったりして、喘息症状などを引き起こすこともあります。また山菜類(竹の子、ワラビ、ゼンマイなど)や、山芋などにはヒスタミンが多く含まれているため、食べ過ぎるとかゆみを増強することがあります。
(4)ストレスをためず、睡眠を十分にとりましょう。
ストレスや過労は自律神経のバランスをくずし、アレルギー症状を悪化させることがあります。皮膚についた花粉を落とす意味でもお風呂にゆっくり入り、睡眠を十分にとることが大事です。
(5)風邪を引いた後は要注意。
風邪を引いた後は気道粘膜が荒れて花粉もとりつきやすく、アレルギー反応もひどくなりがちです。花粉防御をしっかりしないと症状がひどくなることがあります。
2、メディカルケア編
花粉が飛び始めるとどんなに自己防衛していても、どうしても症状が出てしまいます。症状を抑えるお薬にはいろいろなものがありますので、その効果と基本的な働きを紹介します。
■内服薬
(1)抗ヒスタミン薬…主にかゆみを抑えます。アレジオン、アレグラ、アレロック、タリオン、エバステル、クラリチンなど。
(2)抗ロイコトリエン薬…組織の浮腫や充血を抑え、鼻閉や鼻づまりを解消。オノン、シングレアなど。
(3)ケミカルメディエーター遊離抑制薬(サイトカイン阻害薬、プロスタグランディン阻害薬)…ヒスタミンなどを増やさないようにします。花粉が飛び始める2週間前くらいから使用すると症状が軽くなるといわれています。アイピーディー、バイナスなど。
(4)ぜんそくのような重い症状になると副腎皮質ホルモン剤が使用されることがあります。プレドニンなど。
■点眼薬
(1)抗ヒスタミン薬…かゆみを抑えます。ザジテン、パタノール、アレジオン、リボスチン。
(2)ケミカルメディエーター遊離抑制薬…花粉が飛ぶ2週間前からつけ始めたら症状が軽くなるといわれています。インタール、リザベン、アレギサール、ケタス、アイビナール。
(3)ステロイド薬…眼の結膜が腫れてゼリー状になったりするときよく効きます。リンデロン、フルメトロン。
■点鼻薬
(1)抗ヒスタミン薬…かゆみを抑えます。ザジテン、リボスチン。
(2)ケミカルメディエーター遊離抑制薬…花粉が飛ぶ2週間前からつけ始めたら症状が軽くなるといわれています。インタール。
(3)ステロイド剤…濃度が低いのと使用回数が少ないので、全身的な副反応は低いです。ナゾネックス、アラミスト、フルナーゼ、リノコート、アルデシンAQネーザルなど。
花粉症の予防や軽減には以上のような方法がありますが、なるべく早めに医師に相談してくださいね。
(1)アレルギーのもとを断ちましょう。
外出時はマスク、花粉症用メガネの装着はもちろん、トレンチコートのようなホコリをはたいて落としやすいような上着を着用します。帰宅時は戸外で衣服の花粉を払い落とし、家に入ったらすぐうがい、洗顔をし、家中に花粉の侵入を防ぎます。日中は花粉情報に注意し、花粉飛散の多い日は窓を締め切り、家の中に花粉を入れないこと。布団などを天日干しした日は、必ず布団に掃除機をかけます。洗濯物は出来るだけ戸外に干さないようにします。
(2)タバコの煙や化学物質が刺激の原因に。
花粉が飛び始めると、人体の粘膜はすでに炎症や障害が起こりつつあります。タバコの煙や化学物質(洗剤や防虫剤)が刺激の原因に。また、気温の変化や風、たき火の煙など粘膜を刺激するものがあると、症状が悪化することがあります。
(3)食べ物にも配慮しましょう。
食事内容は口腔から粘膜に直接取り込むため、刺激物となる可能性が大きくなります。香辛料やアルコールは粘膜を刺激したり、血流を良くして炎症がひどくなったりして、喘息症状などを引き起こすこともあります。また山菜類(竹の子、ワラビ、ゼンマイなど)や、山芋などにはヒスタミンが多く含まれているため、食べ過ぎるとかゆみを増強することがあります。
(4)ストレスをためず、睡眠を十分にとりましょう。
ストレスや過労は自律神経のバランスをくずし、アレルギー症状を悪化させることがあります。皮膚についた花粉を落とす意味でもお風呂にゆっくり入り、睡眠を十分にとることが大事です。
(5)風邪を引いた後は要注意。
風邪を引いた後は気道粘膜が荒れて花粉もとりつきやすく、アレルギー反応もひどくなりがちです。花粉防御をしっかりしないと症状がひどくなることがあります。
2、メディカルケア編
花粉が飛び始めるとどんなに自己防衛していても、どうしても症状が出てしまいます。症状を抑えるお薬にはいろいろなものがありますので、その効果と基本的な働きを紹介します。
■内服薬
(1)抗ヒスタミン薬…主にかゆみを抑えます。アレジオン、アレグラ、アレロック、タリオン、エバステル、クラリチンなど。
(2)抗ロイコトリエン薬…組織の浮腫や充血を抑え、鼻閉や鼻づまりを解消。オノン、シングレアなど。
(3)ケミカルメディエーター遊離抑制薬(サイトカイン阻害薬、プロスタグランディン阻害薬)…ヒスタミンなどを増やさないようにします。花粉が飛び始める2週間前くらいから使用すると症状が軽くなるといわれています。アイピーディー、バイナスなど。
(4)ぜんそくのような重い症状になると副腎皮質ホルモン剤が使用されることがあります。プレドニンなど。
■点眼薬
(1)抗ヒスタミン薬…かゆみを抑えます。ザジテン、パタノール、アレジオン、リボスチン。
(2)ケミカルメディエーター遊離抑制薬…花粉が飛ぶ2週間前からつけ始めたら症状が軽くなるといわれています。インタール、リザベン、アレギサール、ケタス、アイビナール。
(3)ステロイド薬…眼の結膜が腫れてゼリー状になったりするときよく効きます。リンデロン、フルメトロン。
■点鼻薬
(1)抗ヒスタミン薬…かゆみを抑えます。ザジテン、リボスチン。
(2)ケミカルメディエーター遊離抑制薬…花粉が飛ぶ2週間前からつけ始めたら症状が軽くなるといわれています。インタール。
(3)ステロイド剤…濃度が低いのと使用回数が少ないので、全身的な副反応は低いです。ナゾネックス、アラミスト、フルナーゼ、リノコート、アルデシンAQネーザルなど。
花粉症の予防や軽減には以上のような方法がありますが、なるべく早めに医師に相談してくださいね。
- 小森玲子さん
- 広島市安佐北区医師会理事。旧千代田町・豊平町・芸北町(現北広島町)の小学校検診医。QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の向上を第一に考えた治療とケアを目指す。