2015年5月1日(金)
子どもの変化に気づくために親ができること
新年度がはじまって1ヶ月。新しい環境であなたのお子さんの様子はいかがですか。元気よく学校へ通っているように見えても、新しい出発の中で子どもなりに様々なストレスを受けています。親として少しでも子どもの変化に気づくにはどうすればいいのか、小児科専門医の安田女子大学薬学部薬学科教授田中丈夫先生に教えてもらいました
ストレスが引き起こす身体の症状
人それぞれ違いますが、今の季節は入学(園)、クラス替えや転校など新しい人間関係や環境の変化によるストレスの多い時期です。学年が上がるにつれて人間関係が複雑になり周りに気を遣って自分の思いを我慢する子どもたちもいます。そうした状態が続き、自分で抱えきれなくなると朝起きられない、腹痛、頭痛といった症状が出ることもあり、その結果学校へ行くことができなくなってしまう子どもたちもいます。こうなってしまうと登校できるようになるまでかなりの期間が必要となります。
ストレスをためやすい子どもの傾向(※一例)
一概に「こういう性格だからストレスをためやすい」とはいえませんが、下記(※表)のような特徴があります。周りからみると「真面目でいい子」です。
生活リズムが崩れる原因の一つは、IT化
ITが発達したことで、夜中までゲームやパソコンをして生活のリズムを乱す子どもが多くなっているのも現状です。生活リズムが乱れると朝起きられなくなり、登校(園)しにくくなることもありますます。パソコン・携帯でのゲームやメールは21時まで、というように家庭でIT使用ルールを作るようにしましょう。
子どものストレス解消にはよく話を聞いてあげること、安心できる居場所づくりが大切
「忙しくて子どもと話す時間が取れないお母さん・お父さんへ」。短い時間でも普段の生活の場、たとえば食事・入浴などを一緒してあげてください。子どもの話を聞き、お父さんお母さんと話をしながら過ごす時間は子ども達の安心には十分です。そんな短い時間の中で、ご飯の食べ方や顔色、声のトーン(調子)などの様子を観てあげてください。もし普段と違っていたらもっと話を聴いてあげてください。日常生活の中で子どもとのコミュニケーションをあらためて見直してみるのも良いチャンスでお勧めします。子どもにとって、家はほっとする場所です。そんな家庭環境をつくってあげることで、子どもたちのストレスは減らすことができると思います。
- 田中丈夫(たなか・たけお)
日本小児科学会認定「小児科専門医」 - 1947年、鳥取市生まれ。広島大学医学部医学科卒業。
1973年東洋工業株式会社付属病院(現マツダ病院)で小児科医としてスタート後、1975年から広島大学病院で小児科診療と研究に従事。1982年から二年間米国UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)血液腫瘍部門に留学。1987年から21年間、国立呉病院(現国立病院機構呉医療センター)で小児科診療に従事。2008年から5年間国立病院機構広島西医療センター病院長を経て、2014年より安田女子大学 薬学部 薬学科教授となる。