2015年10月2日(金)
使いすぎていない? 日常生活を見直して目を労わろう
10月10日は「目の愛護デー」です。せっかくの機会、「目」について考えてみませんか。 戸田眼科的場医院の院長、戸田慎三郎(とだ・しんざぶろう)先生に話を聞きました。
昔と比べて、子どもたちの視力は?
学校保健統計調査によりますと、小学生の裸眼視力で1.0未満の生徒は、2008年以降、30%を超えるようになりました。1983年までは15%から20%をキープしていたと言われています。このデータから、昔と比べて視力が低下している印象があります。
視力低下の原因は「近距離で物を見ることが増えたから」
携帯電話やスマートフォン、テレビゲーム、小型ゲーム機などといった近距離で物を見ることが増えたことが原因です。特に現代は、スマートフォンが発展し、携帯でゲームやインターネットをすることに時間を費やす子どもが増加していると思います。「ラインで連絡をとる」「ゲームやSNSをする」「インターネットで検索をする」という風に、すべてのことが今やスマートフォン一つでできてしまうので、同じ画面を至近距離で長時間見ることになります。
これ以上、視力が低下しないためにできること
基本的なことですが、下記のことに気をつけると、少しでも視力低下を防げると思います。とにかく眼が悪くならないためには、目を休めてあげることが大切です。
・長時間にわたり、携帯(特にスマートフォン)の画面でゲームやSNS、テレビを見る ようにしないこと。
・1時間(テレビや携帯など)見たら、10分程度は遠くを見て、目を休憩させること。
・本を読む、携帯を見るときは、30センチ以上離すこと。テレビなどの大画面は、離れて見ること。
・暗いところではなく、明るいところで物を見るようにすること。
・長時間にわたり、携帯(特にスマートフォン)の画面でゲームやSNS、テレビを見る ようにしないこと。
・1時間(テレビや携帯など)見たら、10分程度は遠くを見て、目を休憩させること。
・本を読む、携帯を見るときは、30センチ以上離すこと。テレビなどの大画面は、離れて見ること。
・暗いところではなく、明るいところで物を見るようにすること。
長時間、近くを見ていると水晶体の厚みが増した状態をずっと保つことになりますので、元の状態(遠くを見る)に戻してあげることが大切です。水晶体の厚みが増した状態をキープし続けることで、ピントを調節する筋肉が緊張し、一時的に遠くが見えにくくなる「仮性近視」になります。その状態が長くなればなるほど、目がそれを基準にピントを合わせようとします。その結果、本格的に治らない「軸性近視」になります。しかし、早く治療すれば、視力が回復する可能性もありますので、諦めないでくださいね。
片目に手をあてて、両方の視力を見てみましょう
視機能の発達は1歳頃でピークを迎え、8歳程度までと言われています。その発達の過程で見ることを遮断されるようなものがあると、視覚が刺激されず、物が見えないままとなってしまいます。ですので、お子さんがA判定の視力だったのに、最近BやC判定(0.7未満)になってきた、片方どちらかの目が見えにくいような兆候があれば、早めに眼科受診をしてください。視力の値としては、0.7未満が目安となります。
外傷に注意
市内のある小学校の教育委員会では、外傷を受ける身体の部位で最も多いのが頭部と顔面という結果が出ていました。子どもたちは、学校以外でもケガをする危険性があります。万が一顔面を打った場合は、目を打撲していないか確認をしてください。「見えにくくなる」「痛みを感じる」「物が二重に見える」「目の前を蚊が飛んでいるように見える(飛蚊症)」などという症状が現れたら、すぐに受診してください。特に初期の網膜剥離はわからないことも多く、親が気づいてあげられない可能性もありますので、目を打った可能性があるなら、特に注意が必要です。
そのほか、目が充血していたら、ドライアイ、寝不足、感染症、炎症など、様々な原因が考えられますので、定期的に眼科検診をされることをオススメします。大切な「目」を守りましょう。
- 日本眼科学会眼科専門医
戸田眼科的場医院 院長 戸田慎三郎(とだ・しんざぶろう) - 平成11年4月 広島市眼科医会会長
平成17年4月 広島県眼科医会会長
平成21年~ 広島県眼科医会顧問