2016年1月5日(火)
受験や緊張する場面。プレッシャーの和らげ方
質問: うちの子ども、受験をするのですが、日を増すごとに敏感になっている気がして・・・どう接したらいいのでしょうか。
心理カウンセラーの田中よしこさんに聞きました。
心理カウンセラーの田中よしこさんに聞きました。
緊張すると出てくる身体の変化
適度な緊張感は必要ですが、緊張しすぎると身体に様々な変化が現れることがあります。例えば、「呼吸が浅くなる」「手が汗ばむ」「おなかが痛い」など。これらの症状をお子さんが訴えてきたら、もしかしたら「緊張」からくるものかもしれません。
普段と同じように接すること
私がこれまでに行ってきたカウンセリング経験から感じるのは、緊張するのは「もし(受験)失敗したらどうしよう」「できなかったら・・・」といった悪いことを考えたときに起こりやすいですね。例えば、受験の場合、「合格しなければ、親に迷惑をかけてしまう」と、親の期待を背負っているプレッシャーから、より緊張感が増して、身体に変化が出てくる子どももいます。また、日ごろから優しくしていれば、問題はないのですが、親も子どもに緊張感を与えないようにしようと、急に優しく接したり、「もし落ちたら、お金が大変だわ」など、ネガティブな情報を子どもに伝えると逆効果になります。態度を変えると、子どもからしたら、腫れ物に触られているような気分になり、親の期待を裏切らないために頑張らなきゃ・・・と、プレッシャーを感じてしまいます。結果として、傷つけてしまったり、自己否定のきっかけとなります。大事なのは、普段と変わらない生活、接し方をすることですね。
緊張の和らげ方
まずオススメしたいのが、深呼吸。息を4秒吸って、6秒かけて吐く。これを何度か続けることで落ち着きますよ。他にも「肩を上下に動かす」「手のひらを揉む」「腕の親指側の骨のラインを揉んでみる」などもいいですね。
肩を上下に動かす
腕の親指側の骨のラインを揉んでみる
また、人肌に温めた「牛乳」「豆乳」を飲む、バナナを食べることも気分を落ち着ける効果があると言われています。
受験をされるお子さんですと「目の前のことをやればいいだけだ」というように、常にポジティブな言葉を思い浮かべてみましょう。また、「試験官のメガネ、珍しい色だな」など、試験とは関係ないことを考えると気が紛れて、緊張がほぐれることがありますよ。もし、緊張していると感じたら「あっ、緊張しているな~」と認めてみましょう。緊張しているのに「緊張したらダメ」と言い聞かせると逆効果になります。焦りやパニックに陥りやすくなります。落ち着こうとするほど、緊張しないようにすることへの意識が集中し、緊張感が高まってしまうからです。緊張している自分を受け止めると、気持ちが楽になると思います。また、適度な緊張感は脳のパフォーマンスを高めるのは科学的にも裏付けられている事実なので「緊張感はむしろいいのだ」と頭で唱えてみるのもオススメです。
一例 : 緊張を和らげるために、自分自身に言い聞かせる言葉
× 緊張したらダメ 手足が震えるどうしよう・・・
○ あっ、緊張しているな~ 緊張しているから手足が震えるのか~
○ 緊張感だとよく頭が動くらしい 試験官のメガネ珍しいな
ネガティブにではなく、事実を見たり、ポジティブな情報を与えてあげる。
一例 : 緊張を和らげるために、自分自身に言い聞かせる言葉
× 緊張したらダメ 手足が震えるどうしよう・・・
○ あっ、緊張しているな~ 緊張しているから手足が震えるのか~
○ 緊張感だとよく頭が動くらしい 試験官のメガネ珍しいな
ネガティブにではなく、事実を見たり、ポジティブな情報を与えてあげる。
何でも言える関係を!
もし、失敗をしてしまったら、そっとしておくのではなく、事実を伝えましょう。「今回は失敗して残念だったね。」「よく頑張ったと思うけど、時には思う結果を受け取れないこともある」など、失敗した“事実のみ”を伝えて、そのあとに一緒に何ができるか考えるなど将来に向けた言葉をかけてあげることが大切です。何も言われないと気を遣われていると感じ、余計失敗したことに申し訳ない気持ちが膨らんでくるからです。「やっぱりダメだったんだね」という否定する言葉はNGです。期待を押し付けることで、追い詰めることになり、加速していくと自己を認められない、自信を喪失して将来を悲観する所まで考え過ぎてしまったり、色んなことが重なって、最後のとどめが受験の失敗というきっかけで「暴力を振るう」「ひきこもりになる」例もあります。
普段から、結果だけでなく、勉強している過程もよく見てあげましょう。子どもは親をよく見ています。まずは、親御さんが笑顔でいることで、自然と子どもも穏やかな気分になると私は思います。
普段から、結果だけでなく、勉強している過程もよく見てあげましょう。子どもは親をよく見ています。まずは、親御さんが笑顔でいることで、自然と子どもも穏やかな気分になると私は思います。
- 田中よしこ(たなか・よしこ)
- 心理カウンセラー・笑顔調律師